Bigbeat 2023.08.03 青年エンジニアと哲人の物語 中編:7082-見えないものの意味を知る

広告会社Bigbeatの片隅で開発されるWebシステム周辺のお話を、物語形式で全3回にわたってお届けします。

青年エンジニア……加藤。新卒入社5年目。半年前に営業からエンジニアに転身
哲人……西田。加藤の上司。還暦のベテランエンジニア

(この物語は事実をもとに構成したフィクションです)

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前編 青年エンジニアと哲人の物語:何のためにつくるのか

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Bigbeatのオフィスで、加藤は眉間にしわを寄せてモニタ画面をみつめていた。隣には、西田がいる。今日も何も言わず、穏やかにただ存在している。



加藤はいま、あるイベントのB-Squareのシステムカスタマイズを担当している。B-Squareはイベント事務局サービスだ。システムには基本構成があり、それをイベントごとにカスタマイズして運用をする。セミオーダーメイドのWebシステムと、それを使ってイベント開催までの準備をサポートするヒューマンサービス(事務局サービスと呼んでいる)がセットで提供される。

新卒で入社してから、加藤は他社のいろいろなイベント受付システムを見てきた。欧米で主流だというもの、MA(マーケティングオートメーション)と連動するもの、あるいは安価で気軽でおしゃれなサブスク。世の中にいろいろなイベントがあるように、ツールも多種多様だ。大事なのはツールを使う側なのだというのは、社会人になって学んだことのうちの一つだった。

加藤は、デジタルネイティブ世代と呼ばれる。エンジニアになったいま、正直Webシステムのないイベント運営なんて想像できないが、BigbeatでもかつてはFAXと電話受付で運営していたと聞いた。数千人からのイベント申し込み書がFAXで届いてそれをリスト化するなんて、狂気の沙汰だ。

いや、むしろその状況を経験したからこそ、B-Squareが生まれたのか、と納得した。




加藤「システムの中を覗いてみて、最初驚いたんです。初心者の僕にもわかりやすいファイル構成になっていて、何がどうして動くのか理解しやすかった」

西田「ビッグビートに入って全部整理しなおしたのよ。もう当時のシステムとはまったく別物やね」


西田が入社した当時のシステムは、アウトプットとしては問題なく目的を達成するものにはなっていた。しかし裏側を見るとファイルは規則性なくダンジョンのように存在し、持続的に効率よく使えるものではなかったという。

このシステムではこれ以上のイベント対応ができない、クライアントの期待に応えられない、という状況で呼ばれたのが西田だ。救い主である。

案件を進行しながら、システムのコア部分をつくる作業を進めた西田。GitHubでソース管理をしながら基本形を整え、それをフロントエンジニアがカスタマイズして仕上げていく流れをつくった。


西田「コアができてからも、しばらくはファイルを全部ローカルに落として編集してアップしよったが。分担してそれぞれに進めるから、先祖返りする可能性があるやり方やった」

加藤「今ではブラウザでサーバ上のファイルを編集できますもんね」




西田「早く安全にできるようになった。チームでやるには必要な仕組みだけど、みんなあんまり知らんね


エンジニアとしてみんなに知ってほしい推しポイントなんだけどな、と加藤は思った。きっと西田も同じ気持ちでいるだろうと思っている。


(加藤は『この美しさがわかる人と一度語り合いたい』と思っている)

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「フロントエンド」「バックエンド」「サーバーサイド」「ネットワーク」「データベース」など、「エンジニア」にはいろいろな専門があるが、西田はほぼ全ての分野を理解している。エンジニアでこれほど理解して実践している人物に出くわすのは、とても貴重だ。

あるとき、西田をバーに誘って聞いてみた。ウイスキーのチカラは、凄い。普段ミニマルな会話しかしない西田から、いろいろなことを言葉にして引き出してくれる。


加藤「西田さんは、なんでエンジニアになったんですか」

西田「ハマグチくんに言われたのがきっかけ」



西田は、Bigbeat代表濱口の幼馴染。中高一貫の進学校でビリ2とビリ3を競い合った仲だ。


(西田と濱口)

高校卒業後、高知を出て上京してから大学時代にもよくつるんでいた。一緒にバックパックの旅に出たこともあるという。


(旅先のタイでは様々なトラブルに見舞われたらしい)

バブル景気の少し前、大学生向けの求人情報にはIT系職種が増え始めていたが、エンジニアはまだ新しく珍しい働き方。そんな職業を西田に勧めたのが、濱口だった。

働き始めてみると、その見込みはズバリあたっていた。


西田「こわいばあ向きすぎちょった。このままじゃダメになっちゃうんじゃないかと思うほど」


当時はみな忙しく同僚たちは残業をしていたが、西田は「できるから帰れた」のだと言う。新人研修でゼロから学び始め、仕組みを理解した西田。プログラムを書けば、動いてしまう。人が悩んでいることも、さっとできてしまう。数時間かけて説明された内容も「つまりこういうことだよね」と2行でまとめて周囲を驚かせた。


西田「C言語はハードウェアに近いき、わかれば簡単」


哲人はウイスキーを片手に昔話を続ける。



それから西田は各部署の先鋭が集められたプロジェクトにも呼ばれ、社内研究所での開発にも取り組んだ。プログラミングがあまりに簡単に理解でき過ぎて「こんなに楽をしていいのか、このままでは成長できないかもしれない」あるいは「どこまで行ってしまうかわからない」という恐怖すら感じたと言う。いつしか西田は、エンジニアの世界から遠ざかりたいと思うようになっていた。


西田「その頃、家業を継がんといかんなって、高知に戻ることにした」


西田の実家は高知では名の知れた材木屋。西田は、3代目社長として経営に携わった。厳しい状態で引き継ぐことになり、何とか10年を過ごしたが、様々な事情で会社を畳むことに。幼い双子と身重の妻を抱えて、弁護士を探して様々な手続きに追われた。


加藤「大変でしたね」

西田「まあ人生のビッグイベントやったね。終わったら忘れるもんやなあ」


それから単身東京に出て裸一貫のスタート。自分にできる仕事はやっぱりエンジニアだと、IT企業に就職し、生活基盤を整えて妻と娘3人を東京に呼び寄せた。


加藤「10年ブランクがあったんですよね」

西田「うん。1、2か月黙って10年間の技術トレンドをキャッチアップした。けど基本は変わらんし、あんまり苦労は感じんかった」


それからフリーランスとなり、製薬会社の社内システムやC言語を使ったプログラミングに携わった。Webシステム開発についてはBigbeatに入社して初めて触ったのだという。

B-Squareには原型があったとは言え、初めての分野でここまでのプラットフォームに育てたのは本当にすごい、と加藤は思った。


2杯目のグラスが空くころ、話題はB-Squareのことに移っていた。


加藤「そういえばこないだイベント事務局チームが喜んでました。メール配信が楽になったって」

西田「APIで別サーバからデータをもってくるやつな」




システムの仕様変更は、たくさんのファイルに影響が及ぶことも多い。表面的に簡単そうに見えたものも、実はエンジニアが徹夜しなければならないほどの作業が必要で膨大なコストがかかるものだった、なんていうのもエンジニアになってからちゃんと理解したことの一つだ。


加藤「無駄なものは容赦なく断るし、でも本当に困っていたらプログラミングで解決してくれる西田さん、神です。カワウソに似てるけど」

西田「神じゃないけど……ずーっと考えたら、できるが」


西田の頭の中にはB-Squareがまるごと入っていて、構成やファイル一つひとつが見えている。だから実際のシステム上で最短距離で実現することができるのだな、と加藤はまた思った。

B-Squareは7082個のファイルで構成されている。加藤はそのファイル一つひとつに思いを馳せながら帰路についた。

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