BigbeatLIVE 2025.07.14 新潟・佐渡島のトキブルワリーで、「Bigbeat LIVE」オリジナルビールを仕込む!
「Bigbeat LIVE 2025」では、お酒好きな集まるビッグビートならではのアトラクションとしてオリジナルビールをご提供します!!
オリジナルと言っても、オリジナルラベル…とかのレベルではありません。
なんと、クラフトビール専門店『ビビビ。』さんタイアップのもと、佐渡島にある「t0ki brewery」さんにも完全協力をいただき、
フレーバーや醸造の仕方までこだわり抜いた完全オリジナルの超絶おいしいビールになる予定です。
一部のご参加者の中には、このビールをいちばんの楽しみにいらしてくださる方もいるとの噂。
今回はそんなオリジナルビール制作の秘話を、タイアップいただいた『ビビビ。』の友清さんにレポートいただきました!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
来たる8月1日に開催される「Bigbeat LIVE 2025」では、2種類のオリジナルビールをご提供します。
醸造元は新潟・佐渡島の「t0ki brewery」(以下、トキブルワリー)。
そして今回、このオリジナルビールをコーディネートしたのは、東京・代官山の国産クラフトビール専門店『ビビビ。』です。

そこで本記事は、フリーライターであり『ビビビ。』の共同オーナーの1人でもある私、友清哲がレポートを寄稿させていただきました。
ビジネスに物語を。そしてビールにも物語を
『ビビビ。』では一昨年のオープン以来、ただ美味しいビールを売るだけでなく、それぞれのビールの背景にある物語をセットで発信してきました。なぜなら、酒はつくり手を知ればよりいっそう美味しくなるものだから。これはもう1人のオーナーである日比谷尚武と、全国各地を飲み歩くうちにたどり着いたコンセプトでした。ちなみに相棒・日比谷の本業は、経営コンサルタント。彼が過去に「Bigbeat LIVE」で登壇経験があることから、Bigbeatと『ビビビ。』の御縁が繋がりました。そういえばBigbeatもまた、「ビジネスに物語を」というキャッチコピーを掲げています。親和性の高さは一目瞭然で、我々は出会うべくして出会ったのかもしれません。

※ ビビビ。代表 友清哲さん、日比谷尚武さん
ならばここはぜひ、「Bigbeat LIVE 2025」に向けたオリジナルビールも、背景にしっかり“物語”を持ったつくり手をアサインしたい。そこで日比谷と2人で夜な夜なディスカッションを繰り広げた結果、白羽の矢を立てたのが新潟・佐渡島にあるトキブルワリーでした。

「気に入ったものは何でも自分で作りたい」
現在、全国に900を超える醸造所が存在するなど、活況を呈するクラフトビール市場。しかし産業としては比較的新しい分野であるため、つくり手それぞれにたいてい“前職”があるのが実は面白いポイントです。トキブルワリーを立ち上げた藤原敬弘さんのそれは、エンジニアでした。「僕はもともと北海道の生まれで、地元・苫小牧の高専を出たあとは、日立製作所でエンジニアとして働いていたんです。でも1年ほどで辞めてしまい、しばらくフリーで開発の仕事を請け負っていたところ、高専時代の仲間に誘われて、フラー株式会社を立ち上げることになりました」(藤原さん)

※t0kibrewery代表 藤原敬弘さん
関東某所でフラー株式会社が起業したのが2011年。藤原さんはCTOとして腕をふるい、同社は順調に業績を伸ばしていきます。
なお、当時からお酒は好きだったものの、「勧められれば何でも飲んでいた」という雑食派。そんな中、海外出張中に衝撃を受けたのがビールでした。
「イギリスに出張にした際、ロンドンで『フラーズ醸造所』という自社と同じ名前の銘柄を見つけ、親近感を覚えて飲みまくりました。向こうはビールの種類が豊富で、日本のように“とりあえずビール”ではなく、店員さんから“どのビールにする?”と聞かれるのが普通なんです。これは新鮮な体験で面白かったですね」(同)
以降、国内外を問わず、多種多様なビールを口にするようになった藤原さん。ビール沼の始まりです。

ところで、根っからエンジニア気質の藤原さんは、気に入ったものは何でも自分で作りたくなる性分の持ち主なのだそう。
「釣りにハマったら海へ行かずに部屋でひたすらルアーを作り、ギターにハマったら練習に行くよりエフェクター作りに励む。子どもの頃から、ずっとそんな感じでした(笑)」
日本でも急増するマイクロブルワリーを見ながら、藤原さんが「いつか自分も…」の思いを募らせたのは自然な流れでしょう。
その“トキ”のビールとの出会いを楽しむ

※醸造工程を見学中のBigbeatメンバー
そして2020年、藤原さんはついにフラー経営の第一線から退き(※現在は技術顧問)、佐渡ヶ島で醸造所設立を決意。なぜ佐渡島だったのかと尋ねると、「単に好きだったから」と藤原さんは笑います。物流面など離島では何かとハンディキャップがありそうですが、フラーが新潟市内にも拠点を置いていたことから、島に何度も足を運んだうえでの決断でした。
ちなみに醸造所の用地は、地元の酒蔵、天領盃酒造の敷地内。半ば飛び込みで酒蔵を訪ね、この島でビールをつくりたいと相談すると、「いいよ、空いているスペースを貸してあげるよ」とトントン拍子に話がまとまったのだそう。
「天領盃の蔵元さんは感度が高く、新しいことをどんどん受け入れて島を盛り上げたいという人なんです。同じ敷地内に、今度は新たにクラフトサケ(※酒税法上は日本酒に括られない、新しい酒のジャンル)の醸造所も立ち上がるそうですよ」
かくして、醸造タンクなどの機材を揃え、天然記念物トキの名を冠するビールを世に送り出し続けてはや5年目。なんでも自分で作りたい藤原さんにとって、これは必然だったのでしょう。実際、藤原さんの表情は実に晴れやかです。
「やっぱり僕は、スタッフのマネジメントをやるよりも、自分で手を動かすほうが好きですね。コードを書くのも好きですから、システム開発の仕事も醸造と並行してやっています。ちなみにトキブルワリーの屋号は、特別天然記念物のトキだけでなく、佐渡ヶ島で楽しいトキを過ごしてほしい、そのトキドキのビールとの出会いを楽しんでほしいといった願いを込めています。あと、『t0ki brewery』と数字の0を入れているのは、エンジニアとしての矜持ですかね(笑)」

※醸造タンクが林立する、トキブルワリーの醸造室
「Bigbeat LIVE 2025」にふさわしいビールとは?
さて。今回の佐渡行は、オリジナルビール2種類のレシピについて相談することが主目的です。今回の「Bigbeat LIVE 2025」で提供するビールは、一体どんなテイストが相応しいのでしょうか。
過去のトキブルワリーのビールをいくつかテイスティングしながら、「ああでもない」「こうでもない」と議論を交わすメンバーたち。
「このIPA、杉のチップの香りがよく利いてますね。森をイメージさせるビールって、すごく新鮮!」(Bigbeat・越膳)
「せっかく2種類つくるのだから、それぞれ方向性の異なるビールになると楽しいかも」(Bigbeat・髙田)
「ご来場の皆さんが、どちらを先に飲んでも違和感が残らない設計にしたいですよね」(Bigbeat・樋口)
「このグレープフルーツのビール、季節的にいいのでは? これをベースにアレンジしてみるのはどうでしょう」(「ビビビ。」日比谷)

※オリジナルビールの醸造について、真剣な面持ちで話し合うメンバー
議論が盛り上がるなか、藤原さんの何気ないひとことから、今回のビールづくりの方針が見えてきました。
「たとえばオーク樽のチップを漬け込んでアクセントを表現すると、温度変化と共に風味も変化します。イベント中、そうした変化を楽しんでもらうのも面白いのでは」(藤原さん)
この言葉に、「それ、いいですね!」と反応したのが髙田さんでした。
「今回の『Bigbeat LIVE』は、初代から2代目に社長がバトンタッチするタイミングで開催するものですから、それによってBigbeat自体がどうアップデートするのか、“変化を楽しむ”というコンセプトを添えてもいいかもしれません」(髙田さん)
――こうして、どうにか着地した2つのビールのレシピ。いかがでしょう。こんなプロセスを知ったうえで味わうビールは、今から垂涎ものであるはず。
そしてそれこそがビールと物語をセットで届けたい『ビビビ。』の目論見であり、「ビジネスに物語を」と掲げるBigbeatの想いにも通底しています。仕上がった2つのビールを、ぜひ「Bigbeat LIVE 2025」の会場で、こうした背景の物語と一緒に味わってみてください。

※今回の取材メンバー。上段左からBBT越膳・樋口。下段左からBBT高田、トキブルワリー藤原さん・野上さん、ビビビ。日比谷さん・友清さん。
取材・執筆:友清 哲
≪筆者プロフィール≫
フリーライター。主な著書に『クラフトビールのお店、はじめました。』、『日本クラフトビール紀行』、『消えた日本史の謎』、『物語で知る日本酒と酒蔵』、『横濱麦酒物語』、『ルポ "霊能者"に会いに行く――「本物」は存在するのか』ほか多数。東京・代官山でクラフトビール専門店「ビビビ。」を運営中。