Bigbeat 2023.02.22 独占インタビュー!前編「DNA Meetingの秘密」

2023年2月、Bigbeatで「Bigbeat DNA Meeting」と呼ばれる社員研修がスタートしました。主催者は代表の濱口氏。
この研修は元々は新卒社員を対象にクローズドに開催されてきたもので、「謎の儀式をしている」「バンドに勧誘される」などこれまで様々な噂がなされてきました。その真相を明かすべく、ニシタイ編集部が濱口氏に独占インタビューを実施、全3回に分けてお届けします。
(聞き手:リトマス奈津子)

DNA  Meetingとは何か

―DNA  Meeting という研修がスタートしたと伺いました。そもそも、DNA Meetingとは?

Bigbeatの新入りとのコミュニケーションの一つです。Bigbeatがどんな会社で、経営者がどんな想いで経営しているのかを伝えるとともに、どんな想いを持ってここに来てくれているのかを聴き、お互いわかちあう場。経営者との距離を縮めたい、近さを感じてほしいという想いで朝コーヒーを飲みながらお話しをするというものです。入社後すぐから8月いっぱいまで、原則毎朝1時間、ときに延長しながら行っています。2009年か2010年頃に始めたと記憶してます。

私はこう見えて人見知りなので自分からうまく話しかけられないし、一応シャチョーだからかほっとくとみんな近寄ってくれません(笑)だから仕組みとして交流できる機会をつくったとも言えるかも。
これまで新卒向けに続けてきましたが、今回初めてキャリア入社の社員を対象にスタートすることができました。
 

―なぜいま、キャリア社員向けに?

キャリア社員はみなさんそれぞれの経験を持って入社してくれた仲間です。私がとやかく言わなくてもしっかり考えを持ってやってくれている。一方、初めて働く場としてBigbeatを選んでくれた新卒のみなさんには、社会人の第一歩を引き受けた経営者として、ある意味責任を感じているところがあります。そんなわけで新卒中心にやってきたけど、気付けば中途の大人のみなさんとあまり業務に関係ないことを話せていないな、とふと思ったのです。私自身「うざがられたらやだな」と遠慮していたのもありますが……
 

―つまり本当はもっと話がしたい、さみしかった、と。

……(ズボシ!という顔でしぶしぶ頷く)
 

はじまりは、底の底から

―DNA Meetingを始めたきっかけは?

当社にはDNA Bookというクレドのような、経営の想いを書きだしたものがあります。それを2009年に初めて社員に配布したのですが、配ったきりしばらく何もしなかった。それでは想いがあまり伝わらなかったんですね。

どうにかこの本を読んでBigbeatが大事にしていることをみんなにわかってほしいと試行錯誤。本の中身が虫食い形式で出題される「DNA テスト」なんてのをやってみたりしました。赤点とったら私との特別補講にご招待です。「宗教か!」と不評でしたね。

いま振り返ってみてもあの頃は経営的に過去最大のピンチのとき。どんゾコってやつです。当社のクライアントには外資系のお客様も多かったので、リーマンショックの煽りを受けてまず削られたのがマーケティング予算でした。

社員のみんなも苦しかったと思いますが、その経営の責任者として本当にしびれる想いをしました。米櫃にもう一粒も残ってないという状態で。それからオフィスをダウンサイズすることにしたのですが、移転直前に東日本大震災が発生。イベントを中心にキャンセルや自粛が続きました。

経営方針を巡って役員の金子(現 Bigbeat Bangkok Co.,Ltd. CEO)とはけんかも増えるし、会社全体の空気が重かった。創業まもないころから続けてきた新卒採用も、本当に無理だという
ことでいったん辞めると決めたけど、どうしても諦めきれなくてギリギリで何名か採用できました。

そんなときにやっぱり大事にしなきゃいけないと思ったのが、理念である「関わったすべての人がHappyを感じる」であったり、ビジョンである「クライアントの商売繁盛の熊手になる」という想い。Bigbeatの存在意義、なんで私たちはここにいるのかを、特に若手にちゃんと伝えなければならないと思ったのが、ミーティングを始めたきっかけです。
 

―儀式をしている、という噂があります

DNAテストへの恨みが生んだ亡霊のしわざでしょう……あの頃はあれで必死だったけど、ちょっとやりすぎましたかね。理念を伝えたい、私たちの存在意義を考えてほしい、という想いがあったことだけは本物なのですが。

バンド勧誘もしていません。ハラスメントにならないように。こう見えて一生懸命気を遣ってやってます。
 

―素晴らしい成長ですね

……バカにしてる?(笑)
 

サンフランシスコで生まれたDNA

―この理念やビジョンはどのように生まれたのですか?

創業から4年、1999年の暮れに当社で初めてCIを開発しました。企業スローガン「かんじる、つながる」を掲げ、このときに理念とビジョンを発表したと思います。


(Bigbeat初のCI)

理念は、書籍『7つの習慣』で有名なスティーブン・コヴィーさんの講演を聞いたときに感じたことが基になっています。

創業してまもない頃、クライアントの外資系CADベンダーがサンフランシスコでイベントを開催し、私たちは日本からの関係者をお連れするという案件がありました。その時の基調講演がコヴィーさんだったのです。恥ずかしながら当時はまだコヴィーさんのことを知らず、初めてその講演でその考えに触れました。

そこで「自分のお葬式シーンを想像してください。あなたはそこで何と言われたいですか」という問いかけがあったのです。私なりに考えてみたときに、例えばゴルフ仲間からは「あいつへたくそだったけどあいつとのプレイは面白かったよね」と言われたいと思いました。ゴルフは本気で取り組む人ほど嫌なやつが多いのですが、私はそうはなりたくないな、と(笑)バンド仲間からは「またあいつと一緒にやりたいよね」って。

そして仕事でも遊びでもこの「またやりたい」が大事だと思った。それから「関わった人たちみんなにHappyを感じてほしい」ということが思い浮かんだのです。儲かるけどあいつとの仕事は嫌だ、とか思われたくない。当時ITバブルで時価総額とかイグジットなんて言葉が流行っていたけど、私が目指すのはそこじゃないなと。

それから「7つの習慣」は私にとって大事な1冊になりました。若手にも勧めてちょいちょいプレゼントしています。そのうちの一人とゴルフに行ったときに、なぜかその本がゴルフバックから出てきたこともありましたけどね。かわいいでしょ。

今回のDNA Meetingでも「7つの習慣」を話題に語り合ったのですが、みんなしっかり考えていて感動しました。
 

―ビジョンにある「熊手」の由縁は?

前職のオフィスがビジネスの神様「神田明神」の近くにあって、若いころから年始に連れていかれていたので自然な流れで熊手とは付き合い続けてます。広告屋にもいろいろありますが、自分都合のサービスを売りつけるのではなくて、クライアントの経営の役に立つ広告屋でありたい、商売繁盛の熊手のような存在でありたいというところから、これをビジョンに掲げました。

毎年仕事初めに新しい熊手をお迎えしながら、みんなで屋台のコップ酒を飲んでオフィスに帰るのが当社の伝統です(笑)ビジネスライフにも年に一回くらいこんな余白が大事だと思うんですよね。
 

ハマロが未来に残したかったこと

―そんな理念やビジョンを含む経営の想いをまとめたDNA Book。執筆の背景をお聞かせください

初版を執筆したのが、2008年。当時、頭部にできた腫瘍を取り除くための手術を受けることとなりました。大がかりな手術となるので、ちょっとピリッと未来を考えましたね。

そんなときに思い浮かべたのは、自分の人生の大部分を占めるBigbeatのこれから。どんなことを大切にして、何を目指してやっていくのか。事あるごとに伝えてはきましたが、改めて仲間に伝えたいことを言葉にして書き残しておきたいと、いわば遺言のつもりでしたためることにしたのです。

創業以来始めての長期病欠で「10日ほど休むからあとはよろしく!」と宣言して、入院しました。脳外科病棟なもんで大部屋には痛そうな患者さんが溢れていて、見るのが怖くて怖くて。思い切って個室を借りて、文豪のような気持ちで執筆に挑みました。

その大学病院の病室の窓からは、煌々と大きく掲げられた葬儀屋さんの看板が見えました。すごいでしょ、嘘じゃない本当の話。その看板をみながら、コヴィーさんの「葬式をイマジンしてみよう」という話を思い出しつつ、理念やビジョンへの想いを改めて振り返りましたね。


―アメージングな病室で書き上げた一冊だったのですね

実は入院期間が短くなって、書き上げたのは自宅でしたが。お医者さんが「手術してみたら取り切れないからそのまま閉じました」って(笑)

それで予定より早めに出社したら「あれシャチョー、なんでいるんですか」なんて言われました。
ちなみにいまも腫瘍とは様子をみながら仲良く付き合っています。


(左が初版。更新を加えて現在第三版)


―――

インタビューの中で、濱口氏が新人の頃「出世したけりゃ前の晩何食べたか教えろ」と言われたという話がありました。昭和の時代の働き方、「3丁目の夕日」のような人間関係が伺えるエピソードです。そしていま、会社と働く人の関係性がその時代とは明らかに変わってきていることを濱口氏は感じています。

働く環境は技術の進歩や制度整備によって改善され、ブラックな働き方を撲滅しようというムーブメントが起こり、メンタルヘルスへの理解も少しずつ浸透してきている昨今。個々が尊重されるようになり、働き方の選択肢も増えつつあります。濱口氏自身も、多様な価値観を理解しよう、ハラスメントに気を付けようと、アップデートを続けていました。

「もちろん昔はよかったということではないし、今のほうがよいということでもないけれど。やっぱり根本は仕事や仲間や会社を『好き』で働いていたいし、そういう仲間と働きたい。『好き』を大事にしてほしい!嫌なものは『いや』でいい!」という濱口氏。その言葉に、Bigbeat のDNAが垣間見えました。


さて、社員のみなさんはDNA Meeting という研修についてどう感じているのでしょうか。元新人の方、数名にお聞きしてみました。


2012年入社
「(記憶捜索の末)新人はとにかく元気よく挨拶をすること、新人のはつらつとした笑顔があるとオフィスが明るいんだという話が印象的でした。とにかく、関わった人に元気よく挨拶をするということ。たぶん、そんな話をした気がします。たぶん。とても今に生きる教えばかりですね」

2018年入社
「社会人になって初めて感じた不条理や疑問を、社長にぶつけました。いろいろな視点、ものの見方で、一緒に考えてくれたのを覚えています。あと自分が彼女と別れた報告をしたら、どこに問題があったのか、みんなで課題を洗い出す回になったこともありました」


2003年入社
「私たちの頃には研修という研修はなかったですね。それでもシャチョーには吞みながらいろいろなことを教えてもらいました。背中に氷を入れたり寝顔に落書きしたり、子供みたいないたずらも多くてめちゃくちゃでしたが(笑)不器用な愛情表現ですね、仲良くなりたかったんだな。あの頃は反発もしたけど、いまならその愛がわかる気がします」



毎年カタチを変えて行われてきたDNA Meeting 。参加した新人たちには多少うざがられながらも、Bigbeatの大事なところや経営の想いは、それぞれにしっかりと届いているようでした。

次回はニシタイでも頻出の「マカナイメシ」について、その源泉をたどっていきます。

(中編に続く)
 
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