Bigbeat 2023.07.26 青年エンジニアと哲人の物語 前編:何のためにつくるのか
広告会社Bigbeatの片隅で開発されるWebシステム周辺のお話を、物語形式で全3回にわたってお届けします。
青年エンジニア……加藤。新卒入社5年目。半年前に営業からエンジニアに転身
哲人……西田。加藤の上司。還暦のベテランエンジニア
(この物語は事実をもとに構成したフィクションです)
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Bigbeatのオフィスで、加藤は眉間にしわを寄せてモニタ画面をみつめていた。隣には、西田がいる。何も言わず、穏やかにただ存在している。
加藤は入社5年目。新卒で営業として入社してから、半年前にエンジニアに転身した。いまはWebシステムグループで修行中の身だ。
営業時代はIT系クライアントの担当として企画提案を行い、たくさんの案件を通して成長もした。クライアントの課題を解決するために奔走するのは、とても大変だけどやりがいのある仕事だと感じている。しかし加藤はいつからか、一度立ち止まってこれからのキャリアを考えてみたいと思うようになっていた。
自分はどこに向かいたいのか、どんなことが向いているのか、何をやってみたいと思うのか。
自分探しの旅に出ようと思い上司に相談すると「それ、西田さんのところで探してみたら?」と提案された。
西田とは、ある案件で一緒に全国を回ったことがあった。それまであまり話したことはなく、まじめで芯のある「THE 職人」という印象を持っていたくらいだが、寝食を共にしてみると、その人柄に一気に惹き込まれたのだった。
寡黙で謎の多いクールなベテランエンジニア。そして呑むと驚くほど熱く語る高知のおじさん。
加藤はこの師匠のもとで修行をすることを決めて、勇気を出して新しい扉を開いてみた。するとそこには、想像以上に広くて深くて不安になるような、楽しい世界が広がっていた。
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加藤「西田さん、これって何がおかしいんでしょうか。思うように動かないんです」
西田「……ここやね」
加藤「……なるほど!」
エンジニアとしてゼロから学ぶ日々。いまは案件を進行しながらサーバ言語のPHPやブラウザについて勉強している。
西田はとにかく寡黙だ。9割くらいは加藤から話しかけている。それでも、聞けば細かい部分まで教えてくれるし、気分がよければ雑談にも付き合ってくれる。
加藤「西田さんはビッグビートに来て何年経つんですか」
西田「16年ばあ」 ※ばあ……土佐弁。くらい、だいたい、aboutを意味する
Bigbeatは、広告会社としてクライアントのマーケティングコミュニケーション分野を支援している。具体的には「広告」の制作を始め、Webや印刷物、セミナーや展示会などのイベントづくり。企業が伝えたい想いを、しかるべき人に伝えるのが仕事だ。
創業まもない頃は、日本市場に進出してくる外資系、特に米国ソフトウェアメーカーのクライアントが多く、当時は日本でもまだ珍しいようなイベント案件も多かった。米国で始まったという近代マーケティング。それと比べて日本のマーケティングは30年ほど遅れていると言われている。最先端のカンファレンスイベントを手掛ける中で、Bigbeatはそのイベントの受付システムを自社でつくることを決めた。それが2000年頃のこと。当時は日本製のイベント受付システムも、広告会社がシステム開発をすることもかなり珍しかった時代だ。
そこで社運をかけて代表濱口が呼び寄せたのが西田であった。当時、大企業のバックエンドシステムを手掛けるエンジニアだった西田は、何とか説得されてベンチャーの広告会社に入社した。
西田は入社してすぐにある大型イベントの受付システムを構築しながら汎用的に使えるようシステムのベースを作り上げた。短期間でフレームワークを整え、ビジネスロジックを実装。それから16年かけてクライアントやユーザーの声を反映して、いまのB-Squareが出来上がっている。
通常、エンジニアの仕事は細かく業務範囲が分かれており、それぞれ専門分野を深めるキャリアを選択することが多い。西田はというと、バックからフロントまで幅広く自身で開発ができてしまう、超人だ。加藤は西田のそばで働くようになってから、その凄さがよくわかるようになった。
日頃は口数の少ない西田だが、システムづくりにおいてはとことん言葉のキャッチボールをする。
営業時代によく聞かれていたことがあった。
西田「今回のイベント受付はどうやるが?運営方法は?」
こんなこともあった。クライアントからシステムへの要望を西田に伝えたときのこと。
西田「それは何のために必要?誰のため?」
営業としては何としてもクライアントの要望を叶えたいと必死だった。しかし西田に「なんで」と問われると、うまく答えられないことも多かった。答えられなければ、たいてい西田は動かない。西田は常にユーザー目線で、一番にはイベント参加者のこと、そしてそれを使ってよりよい仕事をしようとする人のことを考えている。
一度は断られて冷たく突き放されたと思えば、結局納期までに実現してくれたことも少なくない。それが本当に必要で、誰かの役に立つものだと判断したら、西田はそれがどうしたら実現できるのかを考えて実行してくれる。誰から言われたわけでもないのに、気が付けば機能が追加されているなんてこともあった。「前に困っていたようだから、今回できるようにしておいた」などとさらっと言うのだ。
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2020年1月、新型コロナウイルスが世界を襲い、企業活動は自粛、イベントは中止となった。Bigbeatでも予定されていたイベントは軒並みキャンセル、企業のマーケティングコミュニケーション活動が止まった。
Webシステム開発を担当するチームの業務はというとすぐに影響が及ぶことはなく、しばらく忙しいままだった。しかしクライアントや営業が困っている現状をみて、西田は動いた。そしてほどなくしてオンラインイベントのプラットフォームを完成させていた。
(Bigbeatの自社イベントもオンラインに切り替えて開催をすることができた)
そうしてコロナ禍に生まれたオンラインイベントシステムKODOUは、ウィズコロナになって、またカタチを変えていた。
現在は『B-Square 3.0』として、オンラインイベントもフィジカルイベントもできるハイブリッド総合イベントプラットフォームへと進化している。
西田「必要としてくれる人がおるき、俺らエンジニアがつくる。それが仕事」
そのシステムは、エンジニアは、キミは、何のために存在するのかー西田の言葉の裏にある大きな問いと向き合いながら、加藤は今日もモニタ画面を見つめている。
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青年エンジニア……加藤。新卒入社5年目。半年前に営業からエンジニアに転身
哲人……西田。加藤の上司。還暦のベテランエンジニア
(この物語は事実をもとに構成したフィクションです)
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Bigbeatのオフィスで、加藤は眉間にしわを寄せてモニタ画面をみつめていた。隣には、西田がいる。何も言わず、穏やかにただ存在している。
加藤は入社5年目。新卒で営業として入社してから、半年前にエンジニアに転身した。いまはWebシステムグループで修行中の身だ。
営業時代はIT系クライアントの担当として企画提案を行い、たくさんの案件を通して成長もした。クライアントの課題を解決するために奔走するのは、とても大変だけどやりがいのある仕事だと感じている。しかし加藤はいつからか、一度立ち止まってこれからのキャリアを考えてみたいと思うようになっていた。
自分はどこに向かいたいのか、どんなことが向いているのか、何をやってみたいと思うのか。
自分探しの旅に出ようと思い上司に相談すると「それ、西田さんのところで探してみたら?」と提案された。
西田とは、ある案件で一緒に全国を回ったことがあった。それまであまり話したことはなく、まじめで芯のある「THE 職人」という印象を持っていたくらいだが、寝食を共にしてみると、その人柄に一気に惹き込まれたのだった。
寡黙で謎の多いクールなベテランエンジニア。そして呑むと驚くほど熱く語る高知のおじさん。
加藤はこの師匠のもとで修行をすることを決めて、勇気を出して新しい扉を開いてみた。するとそこには、想像以上に広くて深くて不安になるような、楽しい世界が広がっていた。
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加藤「西田さん、これって何がおかしいんでしょうか。思うように動かないんです」
西田「……ここやね」
加藤「……なるほど!」
エンジニアとしてゼロから学ぶ日々。いまは案件を進行しながらサーバ言語のPHPやブラウザについて勉強している。
西田はとにかく寡黙だ。9割くらいは加藤から話しかけている。それでも、聞けば細かい部分まで教えてくれるし、気分がよければ雑談にも付き合ってくれる。
加藤「西田さんはビッグビートに来て何年経つんですか」
西田「16年ばあ」 ※ばあ……土佐弁。くらい、だいたい、aboutを意味する
Bigbeatは、広告会社としてクライアントのマーケティングコミュニケーション分野を支援している。具体的には「広告」の制作を始め、Webや印刷物、セミナーや展示会などのイベントづくり。企業が伝えたい想いを、しかるべき人に伝えるのが仕事だ。
創業まもない頃は、日本市場に進出してくる外資系、特に米国ソフトウェアメーカーのクライアントが多く、当時は日本でもまだ珍しいようなイベント案件も多かった。米国で始まったという近代マーケティング。それと比べて日本のマーケティングは30年ほど遅れていると言われている。最先端のカンファレンスイベントを手掛ける中で、Bigbeatはそのイベントの受付システムを自社でつくることを決めた。それが2000年頃のこと。当時は日本製のイベント受付システムも、広告会社がシステム開発をすることもかなり珍しかった時代だ。
そこで社運をかけて代表濱口が呼び寄せたのが西田であった。当時、大企業のバックエンドシステムを手掛けるエンジニアだった西田は、何とか説得されてベンチャーの広告会社に入社した。
西田は入社してすぐにある大型イベントの受付システムを構築しながら汎用的に使えるようシステムのベースを作り上げた。短期間でフレームワークを整え、ビジネスロジックを実装。それから16年かけてクライアントやユーザーの声を反映して、いまのB-Squareが出来上がっている。
通常、エンジニアの仕事は細かく業務範囲が分かれており、それぞれ専門分野を深めるキャリアを選択することが多い。西田はというと、バックからフロントまで幅広く自身で開発ができてしまう、超人だ。加藤は西田のそばで働くようになってから、その凄さがよくわかるようになった。
日頃は口数の少ない西田だが、システムづくりにおいてはとことん言葉のキャッチボールをする。
営業時代によく聞かれていたことがあった。
西田「今回のイベント受付はどうやるが?運営方法は?」
こんなこともあった。クライアントからシステムへの要望を西田に伝えたときのこと。
西田「それは何のために必要?誰のため?」
営業としては何としてもクライアントの要望を叶えたいと必死だった。しかし西田に「なんで」と問われると、うまく答えられないことも多かった。答えられなければ、たいてい西田は動かない。西田は常にユーザー目線で、一番にはイベント参加者のこと、そしてそれを使ってよりよい仕事をしようとする人のことを考えている。
一度は断られて冷たく突き放されたと思えば、結局納期までに実現してくれたことも少なくない。それが本当に必要で、誰かの役に立つものだと判断したら、西田はそれがどうしたら実現できるのかを考えて実行してくれる。誰から言われたわけでもないのに、気が付けば機能が追加されているなんてこともあった。「前に困っていたようだから、今回できるようにしておいた」などとさらっと言うのだ。
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2020年1月、新型コロナウイルスが世界を襲い、企業活動は自粛、イベントは中止となった。Bigbeatでも予定されていたイベントは軒並みキャンセル、企業のマーケティングコミュニケーション活動が止まった。
Webシステム開発を担当するチームの業務はというとすぐに影響が及ぶことはなく、しばらく忙しいままだった。しかしクライアントや営業が困っている現状をみて、西田は動いた。そしてほどなくしてオンラインイベントのプラットフォームを完成させていた。
(Bigbeatの自社イベントもオンラインに切り替えて開催をすることができた)
そうしてコロナ禍に生まれたオンラインイベントシステムKODOUは、ウィズコロナになって、またカタチを変えていた。
現在は『B-Square 3.0』として、オンラインイベントもフィジカルイベントもできるハイブリッド総合イベントプラットフォームへと進化している。
西田「必要としてくれる人がおるき、俺らエンジニアがつくる。それが仕事」
そのシステムは、エンジニアは、キミは、何のために存在するのかー西田の言葉の裏にある大きな問いと向き合いながら、加藤は今日もモニタ画面を見つめている。
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