マーケティング 2021.04.21 「自社だから提供できるコンテンツ」をどう作る?どう考える?【B-VOCイベントレポート】

当社のオンラインイベント支援サービス「KODOU」。実際に本サービスを用いて、オンラインイベントを実施されたご担当者の皆様の声を通して、企画から運営までのプロセスやさまざまな体験談を紹介しているウェビナー「B-VOC」。

今回は、2020年11月24〜25日の2日間にわたり、「日本の未来を変える経営 Money Forward CXO LIVE」(以下、Money Forward CXO LIVE)を開催されたマネーフォワード 財務経理ERP本部 パートナーアライアンスの吉田 幸平 様にご登壇いただきました。


マネーフォワード 財務経理ERP本部 パートナーアライアンスの吉田 幸平 様(画面下)

マネーフォワードといえば、家計簿/家計管理アプリと認識している方も多いのですが、「マネーフォワード クラウド会計」は優れた企業会計機能を持ち、IPOの準備や上場企業向けに内部統制機能を充実させたバージョンもリリースするなど、財務・管理会計の強化をサポートしています。

Money Forward CXO LIVEの狙いは、これから上場を目指す成長企業、すでに上場している企業の最高財務責任者(CFO)やCXO(“Chief ~ Officer”と表記される執行責任役職の総称)に向け、企業会計システムとしてのマネーフォワードのブランドを確立することでした。今回の2日間で、申し込み・参加者は約400〜500名に達し、ターゲットとする層にリーチできたそうです。ブランド力の強化・認知という目的に向け、吉田様がどのようにオンラインイベントを設計・実行し、次の展開につなげたのか、ポイントを3つ披露していただきました。

 

秘訣その1:自社を軸にしたコンテンツ設計




今回のイベントは、あくまで「企業会計クラウドサービス」という分野におけるマネーフォワードのブランド力強化であり、案件創出やリード獲得が最優先の目的ではなかったという吉田様。そのため、「マネーフォワードだから出せるコンテンツ作り」に注力したかったといいます。心がけたのは、次のような点です。

・有名人を呼ぶより、関心に沿ったコンテンツの提供にこだわる
1日目は「IPO LIVE」というテーマで、著名スタートアップ企業のCFOやベンチャーキャピタルを招いたセッションを用意。2日目の「CFO LIVE」では、上場企業のCFOによるディスカッションを開催するなど、アプローチしたい対象であるCFOやCXO、財務担当者が知りたくなるような、コアなテーマにこだわりました。


・自社の体験を軸に各セッションの内容を考える
マネーフォワードの企業ミッションは、お客様企業と伴走し、お客様のビジネスを前へ前へと進めていくこと。そのため、社内や普段の業務で常に「お客様の0.5歩先を行く」という姿勢を意識しており、今回のイベントのタイトルにも入れています。具体的なセッションの設計についても、「自社の実体験をコンテンツとして話すことで、お客様に寄り添った内容になる」と考え、マネーフォワード自身を軸にコンテンツを組み立てていったそうです。そして「このコンテンツなら、この社員が適任」ということで、すべてのセッションで必ず社員をアサインするように工夫しました。


・企画立案に注力できる体制づくり
コンテンツの質を上げるための体制作りにも、吉田様はこだわりました。

吉田様が選択したのは、自社ではコンテンツの企画立案に集中し、そのほかイベントにおける調達・ロジスティクスや集客、運営配信、演出は、すべて代理店であるビッグビートに一任するという体制作りです。今回のイベントに関しては、プロジェクトオーナー兼プロジェクトマネージャーとして吉田様が立ち、ほかに1名、数多く社内セミナーを手がけてきた社員と2人でコンテンツの企画に当たりました。

このような体制を作ることで、イベント実施までの時間を企画に割り当てやすくなるため、「コンテンツの質を上げること」に注力することができたといいます。


オンラインイベントのコンテンツ設計において大切なポイント

なお、イベント実施において、「ここに集中したいから、あとはイベント運営業務に強い代理店に全部任せる」には、代理店への高い信頼が合ってこそ。どの代理店なら信頼できるかという見きわめも必要です。

また、自社側の運営スタッフもできるだけ少なくし、イベントの企画・成功を「自分ごと」として進めるような体制を組みました。人数を多くして細分化すると、作業としては楽ですが、その分イベントの開催を「自分ごと」として捉えられないリスクが生じます。今回は、規模感に対して社内体制をシンプルにしたことも、成功のポイントだったと吉田様は話します。
 

秘訣その2:鼎談形式の講演はリアルな場で実施

講演動画では、講演者の方に「できるだけ、スタジオに来てください」とお願いしました。講演者同士をリモートでつないで配信する方法もありますが、それだと間合いが取りづらく、相槌が打ちにくくなってしまいます。その結果、講演者同士が牽制するようになり、視聴者に熱量が伝わらなくなります。


4名形式でのセッションの様子

せっかくのいい内容のコンテンツなので、できるだけそのエモーショナルな部分が伝わるようにしたい。吉田様はそう考えて、講演者の方々にはスタジオに来ていただくように調整しました。講演者同士が顔を合わせることで絆も深まり、それが熱量に跳ね返るので、「やはりリアルな形を取り入れることは、とても重要だと感じました」と吉田様は振り返ります。スタジオに来てくださった講演者の方のケアとして、歓迎のメッセージを記載したパネルを入り口に設置したり、お茶菓子なども用意し、おもてなしに励みました。

また、絵作りに当たっては、「コロナ禍でテレビを視聴する人が増えているから、できるだけテレビっぽく見せるように」という点を意識したそうです。

 

秘訣その3:イベント終了後のコミュニケーションも合わせて設計

そして今回、ポイントとなったのはイベント後の施策です。もともとブランディングを第一目的に掲げていたので、案件創出やリード獲得数といった指標をイベントの評価軸に置いていませんでしたが、イベント開催の「意味付け」が必要でした。それが、今回集まったターゲット層の方々とコミュニケーションを深め、次のステップに落とし込んでいく事後施策です。



具体的には、11月下旬の2日間でMoney Forward CXO LIVEを展開した後、より具体的なソリューション紹介に向け、翌12月と2021年1月に製品紹介セミナーを実施する企画を立てました。11月の開催で得た参加者の熱量を逃さず、スムーズに製品紹介まで誘致することが狙いです。12月のセミナーに全員が再参加してくれるのがベストですが、さすがにそれは難しいので、「まずは12月に開催し、そこに来られなかった方に向けて、年明け1月にも数回に分けてセミナーを実施する予定を立てました」と吉田様は説明します。

そして2日間で集客した400〜500名のうち、12月の製品紹介セミナーに参加した方は約30名、年明けの1月は約60名の応募がありました。1月は何回か製品紹介セミナーを実施するので、次週も30〜40名の参加予定があるそうです。各セミナー単体での参加人数は、決して大規模ではありませんが、この点を結びつけていくことで、トータルで収益性を上げていくとのことです。

今回大規模なオンラインイベントを実施して、やはり「場所と時空を超えていつでも視聴できる」というオンラインならではのメリットを実感したという吉田様。オンラインだからこそ、多くの人に見ていただけるので、最も大切なのは「他社と差別化するためのコンテンツを企画すること」だといいます。「自社だからこそ提供できる」内容にこだわり、そこに注力するために、一任できる外部の代理店と信頼性を築くことがポイントで、それが実現できていたからこそ、熱量を伝えるために講演者同士のやり取りをリアルで実施するといった工夫が生きました。今後は参加者とのインタラクティブなやり取りも取り入れながら、引き続きオンラインでのイベントに挑戦していくそうです。

 
オンラインイベント実践者が企画の意図や実施の裏側を余すことなく語り尽くす“B-VOC”。皆様のオンラインイベントの企画の参考として、本記事以外のイベントレポートもぜひご覧ください。

CSカレッジ 丸田様:約1100名を集めた大型イベントの企画・実行におけるポイントとは?

富士通株式会社 小松様/牧野様:視聴者を飽きさせないための「伝えたいこと」「伝え方」のコダワリ

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