BigbeatLIVE 2020.11.11 異なる考えを持つからこそ、互いに声を上げること【Bigbeat LIVE 2020 ~Day2~<後編>】

8月3日(月)~8月7日(金)の5日間、オンラインにて開催された『Bigbeat LIVE 2020』。
白熱した5日間の模様を、コピーライター小笠原の視点でお届けします!


2日目にはもう1つ、地域・行政でのマーケティングの実態に切り込んだ、『ー ワカコとクマコの女子トーク!ー 「マーケティングで地域も変わる」のリアル ~地域だって選ばれる時代。 選ばれるためカタチづくり。~』というセッションが行われました。

【登壇者】
千葉県流山市 流山市役所 総合政策部 マーケティング課 課長 河尻 和佳子 さん



 

相手の考え方を知る行動

地域のマーケティングを盛り上げていくときに必ず向き合わなければいけないのが、様々な立場・考え方の人たちが暮らしているという事実です。「独りよがりな考え方で進めたプロモーションには、誰もついてこなかったという経験もあります」と、河尻さんは語りました。


千葉県流山市 流山市役所 総合政策部 マーケティング課 課長 河尻 和佳子 さん

地域にはそこで暮らす人の数だけ、いろいろな個人の考え方があります。例えば、長年課題として残っている物事に対して、それまでとは全く違うやり方で素早く劇的に変化を起こしたとします。自分ではスピードも速く、大きな変化を起こせたのだから当然良い仕事をしたと感じるでしょう。もちろんその変化にワクワクして喜んでくれる人も多いと思いますが、一方では劇的な変化を怖いと思う人も同じだけいるのです。スピード感をもって、劇的に変えることが必ずしも正解というわけではありません。様々な人がいて、自分とは違う考え方を持つ人もたくさんいるのだということをきちんと頭に入れておく必要があります。」(河尻さん)

人の数だけ様々な考え方があるという点は、組織にも共通しています。河尻さんは、自分とチームメンバーとの考え方が違うことに気づかず、自分の中で正しいと思うことだけを突き通して、失敗した経験もたくさんあったといいます。その経験を原点に置き、今はメンバーそれぞれの考え方を知るために会話の量を増やしたり、相手の話を正面から受け止めて聞く・引き出すことを意識しているそうです。

「仕事のモチベーション1つとっても、考え方は様々です。以前、チームのメンバーに『この仕事を自分事にできているモチベーションってどこにあるの?』と質問を投げかけたところ、あるメンバーからは『子どもに自分の仕事を見せられること』、また別のメンバーからは『昔やっていた音楽バンドでは成し得なかった、多くの人が笑顔で盛り上がっている瞬間をつくりだせること』と回答がありました。これだけ見ても、その人が大切にしていることが、それぞれにあるのだとわかりますよね。」(河尻さん)

私自身は1人のメンバーとしてマネージャーに相談をする立場ですが、気軽に相談ができるようになるまでには、やはりある程度の時間と会話の量が必要だったなと思い返します。今はテレワークで過ごす時間も増え、チームのメンバー同士で雑談する機会も減りました。より一層、見えない壁が自分と相手との間にできやすくなっています。それでもやはり、相手のことを知るためにはどんな形であれコミュニケーションを取るしか方法はないと感じます。私の所属するビッグビートのマーケティングチームでは、今、毎朝30分間オンラインで顔を合わせたミーティングを実施。チャットツールで些細なことでも連絡をしたり、たった5分でも電話で話をして認識を合わせるなど、意識的に行動するよう心がけています。これを読んでいる皆さんもそれぞれに、身近な人たちとのコミュニケーションの取り方を変えているのではないでしょうか?相手の考えを正しく理解できているのか、また自分の想いをきちんと伝えられているのか、お互いに相手のことを考えた丁寧なコミュニケーションが求められています。異なる考えを持つ者同士だからこそ、互いに声を上げ、理解しあうことが必要なのだと思いました。


 

そこにあるものがブランドになる

もう1つ、河尻さんのお話で印象に残ったのが、ブランドについてのお話です。ブランドとは、他者からの評価であり、他者に言われるから価値になるものだと河尻さんは定義します。

「企業であれば、自社の製品・サービスが独りよがりなものになっていないか、フィードバックをもらうのはとても大切なことです。地域では、そこで暮らす人たちからの生の声ですね。ブランドは他者からの評価でつくられていくものだからこそ、自分が持っていない価値や印象を与えることはできません。フィードバックをどう取り入れるかを考え、姿勢やストーリーで他者へ示していくことで、目指すブランドの姿に少しずつ近づいていくのだと考えます。」(河尻さん)



河尻さんからは、地域に暮らす人たちの声にハッと気づかされた経験も語られました。河尻さんは過去に、東京で最先端の魅力的なコンテンツを流山市にも持ち込もうと仕掛けたことがありました。しかし、その企画への反応はほとんど無く、半分無視されたような結果に。住民の方からは「都内へは20分もあれば行けるんだから、必要であればいつでも手に入れられる。流山らしさに惹かれてこの土地で暮らしているのであって、東京のおしゃれなものを求めているのではない。流山のことを何もわかってないね。」と厳しい言葉もありました。

「流山らしさ」のように、 “らしさ” がその地域の魅力となり、選ばれる理由になるという点では、前回のレポートにもある通り、企業でも同じことが言えます。また、その土地・地域が何を持っていて、何を持たないのかを見極めることの重要性は、今年の3月に行われた元高知県知事 尾﨑正直さんとの対談中でも同じようなお話があったのを思い出しました。

ブランドは内側からしか生まれないし、それを他者から評価されて初めて価値になるというメッセージは、まさにその通りだと共感するとともに、すごく強いものを感じました。個人でも同じことで、どう見られたいかという理想と、他者からの評価を一致させていくためには、自分のアウトプットで表現していくしかないのだと感じます。私はコピーライターとしての実績とキャリアをつけていきたいと考えていますが、それにはこの記事のように私なりの視点から言葉を紡ぐことや、コピーライティングの公募への参加、実際に書いた作品をシェアするなど、アウトプットで見せていくしかありません。今はまだ、自分のどの部分が他者からいいね!と言ってもらえるポイントなのか、自分でも手探りな状態ではありますが、アウトプットを続けていくことで自分が持っているもの、自分には無いものがよりはっきりと見えてくるのではないかと考えます。


壁にぶち当たって失敗を重ねながらも、さらなる挑戦を続けているという今の現状を、河尻さんには赤裸々に語っていただきました。「母になるなら、流山市。」や「森のナイトカフェ」といった数々の素晴らしいプロモーションを仕掛けてきた裏側には、今回話していただいたような悩みや葛藤もあったのだと知ることができました。ご自身の失敗をありのままにさらけ出して話してくれる河尻さんの言葉には、たくさんの共感が生まれ、私自身もとても勇気づけられるセッションとなりました。


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