マーケティング 2020.12.02 オンラインイベントはオフラインイベントで求められる機能を代替できるのか?
皆さん、こんにちは。ビッグビートで営業部に所属しています、石塚です。前回、「心が動くとは?ライブイベントの価値とは?」の記事を書かせていただきましたが、今回はその頃から今までの活動も振り返りながら、「オンラインイベント・オフラインイベントのそれぞれの価値」について考えてみました。
緊急事態宣言が解除され、第二波もやってきて、GoToキャンペーンも決行。
巣ごもり生活も徐々に変化してきたように感じますが、まだまだ、ビジネスでのオフラインイベントは敬遠されているように見えます。 最近ではオンラインとオフラインを併用するイベントや、オンライン開催でもイベントに参加しているという一体感を高めるグッズを送るなど、オンラインが「オフラインの代替」ではなく、独自の価値を模索し始めた時期だと感じています。
ビッグビートでは、今まで主にオフラインのセミナーカンファレンス、展示会などのサポートをお任せいただいていましたが、オンライン化が必須になってきている中でも変わらずお客様をサポートできるよう、社内で四苦八苦しながらも少しずつサービスを進化させてきました。
自粛が始まった今年頭あたり、当初オフラインで実施を予定していたイベントは中止、もしくはやむなくオンラインに代替しなければならず、苦労した方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。ただ、やってみると意外にできる。オフラインよりもいい面もある。一方でやはりオンラインでは限界を感じる面もあるなど、実際にやってみることで見えてきた部分も多いのではないでしょうか。
オンラインで数多くのイベントが開催され、もう少しで1年が経とうとしています。自粛期間の初めのころは「オフライン実施予定のものをオンラインに代替する」 というケースもあったかと思いますが、今では「そもそもオンラインという手段を使ってイチから企画を始める」というケースがほとんどなのではないでしょうか。イベントの骨子を作り、それをオンラインでどう実現していくのかを企画する際、単に「オフラインの代替」として考えてしまうと、オンライン本来の価値が半減してしまうように感じます。では、オフラインからオンラインに変換されるときに置き去りになってしまいがちなものとはなんでしょうか?オフライン、オンラインの特性を見ながら考えてみたいと思います。
オフライン、オンラインの明らかになりつつある生態系
オンラインは今や、オフラインの代替という立ち位置ではなくなってきています。
ということはオフラインだから出せる価値、オンラインだから出せる価値があると思います。上記を踏まえ、イベント/コミュニケーションを例にして考えてみました。
【オンラインイベント/コミュニケーション】
・場所と時間の制約を取っ払うことができる
・人数制限を取っ払うことができる
・常にその人の側に存在し続けることができる(デジタル広告など)
・興味がありそうな人の検討をつけることができる(SNS広告における拡張機能など)
・没入感を演出しづらい
・ながら見もできるため、優先順位が上がりづらく、内容以外の部分が印象に残りづらい
・コミュニケーションが大体一方向なので、熱量が測りづらい
(インタラクティブコンテンツで発信する人はごくわずか、かつ匿名が多い)
・参加者の解釈を助けるために、主催側の解釈が先行しやすい
つまり、頻度の多さ、時間軸を意識したコミュニケーション設計になりやすい
【オフラインイベント/コミュニケーション】
・講演者や会場の空気感を肌で感じられるので、五感が刺激され、様々な観点から印象に残りやすい。
・講演者や社員へのコミュニケーションが取りやすく、参加者の熱量が見えやすい
・偶発的な発見が生まれやすく、参加者へ解釈の余白を与えやすい
・コミュニケーションが双方向なので、関係性も深化しやすい
・非日常という特別感を感じることができる
・終わった後の余韻がある
・会場のキャパシティや場所の制約により人数が限られる
・瞬間風速は作りやすいが、持続させ続けるのは難しい
つまり、その瞬間の参加者への深度を意識したコミュニケーション設計になりやすい
オンラインがどんなに便利になってもオフラインがなくならないのは、人々が「体験」を求めているからだと思います。ネットショッピングをするのと、実際のお店にウィンドウショッピングしに行く違いも、「その空間で得られる体験」を求めているという目的につながるのではないでしょうか。
マーケティングやプロモーションの観点から考えると、広く認知してもらう(なんだかあの会社よく見るから知ってる、あの製品を知っている)を徹底的に追求するならば、オンラインコミュニケーションを駆使して相手に対して存在感を出し続けるのも一つの手だと思います。そこから更に、認知レベルから興味レベル、検討レベルとターゲットのフェーズに合わせたコンテンツを細かく出しわけられるような、大規模なイベントを開くのも一つでしょう。
オフラインで開催するとなると途方もない会場費や運営費用が掛かるものが、オンラインならばかなり抑えられます。
一方、企業の思いや会社の性格、思い描くビジョンを、相手の気持ちに残る形に変換して伝えるためには、オンラインという視覚・聴覚のみに働きかけるアプローチよりも、物理的な世界観を作り、その人の身一つ預けてもらえる「体感型」の空間を作るべきだと思います。
あるいは、いつもご愛顧いただいているユーザー企業のエグゼクティブ向けに製品のフィードバック会を開く場合にも、オンラインでの開催だとやはりどこか味気なく、この機会を利用してリレーションを強化するという目的もいまひとつ達成しきれないと思います。
このようにターゲットがどんな人で、その人にどうなってほしいのか、何を伝えたいのかというところを考えながら、それに適した方法を見極める。その選択肢としてオフライン、オンラインがそれぞれ同等の選択肢であるという未来はもうすぐそこまで来ていると思います。
それぞれの良さを捉えたチャレンジを
まだまだ先の見えない現状において、オフラインのコミュニケーションも少しずつ取り戻し始めていますが、たとえ完全に元に戻ったからといってオンラインのコミュニケーションがなくなることはないと思いますし、「オフラインが戻ってくるまではオンライン」という形では、新しい生活様式の中、また一歩後ろに逆戻りしてしまいます。オフラインの代替としてのオンラインではなく、それぞれの価値を改めて考え、オフラインとオンラインを駆使したハイブリッドなコミュニケーションをしていくのが今後のカギになっていくのだと思います。