デザイン 2020.03.11 『Bigbeat LIVE BOOTLEG 3』制作で学んだコピーライトに必要な3ステップ

新米コピーライターの自己紹介

はじめましての方も、ニシタイの記事で見たことある!という方も、
すでにお仕事をご一緒させていただいている方も、あらためましてのご挨拶を。

私は、ビッグビートの小笠原と申します。2016年春に新卒でビッグビートへ入社して以来、営業としてクライアントにいちばん近いところに立って、イベントや広告、映像制作などの案件を担当してきました。

そして2020年、新米コピーライターとして新たな挑戦をしていくことになりました!
これから、ニシタイで「言葉のデザイン」についての記事を連載していきます。



そして、こちらの内容はラジオでも聞けます。
10分ほどなので通勤や移動時間にぜひお聞きください!


コピーライター 小笠原
 

言葉のデザインが認識のズレを無くす

「言葉のデザイン」とは、言葉を設計することを意味します。誰に対して、どんな想い・考え・情報を伝えたいのか。それをどんな言葉で伝えれば、相手が正しく理解してくれるのか。要点を整理して、相手に伝わりやすい言葉を選ぶ・つくる、という作業を指します。

さて、皆さんの中で、こんな経験はありませんか?
・相手の言いたかったことと、自分の理解が違っていた。
・言いたいことが相手にうまく伝わらない。
ビジネスに限らず、プライベートでも往々にしてありますよね。これは、言葉のデザインがうまく機能していないことが原因かもしれません。

私も最近、相手の言葉から想いを汲み取りきれなかった…と感じる出来事がありました。

それは私の挑戦の第一歩、昨年8月に行われたBigbeat LIVEの事後コンテンツである『BOOTLEG3』を編集・執筆する中で起きたのです。

代表の濱口への取材や、当日の講演内容を振り返って記事を書き進めていくうちに、全体に共通するキーワードが ”未来” や “変化” だと気づきました。それを元に「表紙は”未来” もしくは ”変化” が感じられるようなデザインで作ってほしい」とデザイナーに6パターンほど作成してもらいました。

BOOTLEG3

私としてはきちんと ”未来” や “変化” が感じられるデザインに仕上がったため、意気揚々と濱口にプレゼンをしたところ…
「これは少し違うなあ」と一言。
これまでの過程が見事にひっくり返った瞬間でした。

それから、あらためて濱口との対話です。
BOOTLEGはビッグビートとしての想いや考えを凝縮した1つの作品になるため、ビッグビートらしさがにじみ出ていなければなりません。そして表紙は、デザインそのものから入るのではなく、まずはコピーから作ってみよう、という話になりました。

「どう感じてほしいか?」の核を見出し、わかりやすい言葉(コピー)にまとめて表して、デザイン(絵)へと落とし込む。
すると、芯をとらえたクリエイティブが出来上がる。


濱口との対話の中でこの考え方に触れたとき、今のデザイン案では想いや考えがわかりやすい言葉にまとまっておらず、単にキーワードしかない状態だったため、メッセージがぼやけたクリエイティブになっていたことに気づきました。これを改善すべく、3つのステップを実践をしてみることにしました。


1.「どう感じてほしいか?」の核を見出す


「どう感じてほしいか?」を探るために、伝えたい想いを強く持つ濱口から話を聞きました。特に、BOOTLEGは自社の経営・マーケティング戦略に直接的に紐づくものなので、濱口にヒアリングをする必要があります。その時に注意したのは、濱口の言葉を自分の言葉に置き換えて理解したこと。言葉の表面上の理解にとどまるのではなく、その言葉の裏にある意図を正確に捉えるために、あえて自分の言葉にして確認する作業を行いました。例えば、「お腹が空いた」と言われれば、「【何か食べたい】ということですか?」と確認するような作業です。濱口と私との間で、言葉の解釈とその言葉に込められている想いがズレないよう、入念にすり合わせをしました。

核をとらえて整理すると、”未来”と”変化”というキーワード以外に、下記のような想いがあることがわかりました。

・未来が今よりも良いものだと感じられるよう、変化を続けることが必要。
・変化には失敗や痛みを伴うこともある。
・失敗を恐れずに挑むことが重要。


 

2. わかりやすい言葉(コピー)にまとめて表す


「どう感じてほしいか?」の核からさらに言葉を絞り、相手にうまく伝わるように言い換えをして、わかりやすい言葉(コピー)にまとめていきます。言葉の選び方で特に意識をしたのは、ビッグビートらしさがにじみ出るかどうか。新米コピーライターとして意地でも妥協をしたくないところだったので、いろいろな角度から言葉を考えました。

「泥だらけ」「自由になる」「攻めの姿勢で楽しむ」「成功した後の乾杯」「山を登る」「晴れ間を目指す」など、言い換えられる表現はたくさん出てきました。その表現から膨らませて、何本ものコピー案にまとめます。そして、濱口と再度すり合わせを行い、ビッグビートらしさが表れた「転んだ分だけ、未来はころがる。」というコピーに決まりました。


copywrite

 

3. デザイン(絵)へと落とし込む


コピーが固まったところで、このコピーに込められた想いを表現できるモチーフは何か、デザイナーとアイデア出しの時間を設けました。そこで出たのは「運動会のかけっこ」「自転車に乗る練習」「ラグビーのオフロードパス」といったモチーフ。そこから、どのモチーフが想いを表現するのに適しているか、またどんな表情の絵にしていくかを、実際にデザインを起こしてもらいながら、すり合わせていきました。

想いを的確に表現していると感じたモチーフは「顔に泥をつけた男の子が、やっと自転車に乗れたシーン」でした。1日中、自転車に乗る練習を繰り返し、時には転びながら、擦り傷を作りながら、夕暮れ時にはようやくうまく乗れるようになった…。そんなシーンを切り取りました。

コピーとデザインが一体となって、ようやく想いの芯をとらえたクリエイティブが完成したのです。


言葉のデザインから生まれた反応


「どう感じてほしいか?」の核を見出し、わかりやすい言葉(コピー)にまとめて表して、デザイン(絵)へと落とし込む。この手順を踏むことで、想いの芯をとらえた、力のあるクリエイティブを生み出せるのだと学びました。

私の初めての挑戦になった『BOOTLEG3』。登壇者の徳力基彦さん、長橋明子さんには、お渡ししてすぐに情報のシェアもいただくことができました。これらのシェアにはたくさんの「いいね!」がついています。



他にも、とあるお客様に『BOOTLEG3』をお渡しをした際、この表紙を見て「ビッグビートさんの雰囲気が出ていますね!」とコメントをもらうことができました。メッセージとともに”企業らしさ”を感じてもらえ、とてもうれしく感じた瞬間です。

BOOTLEG3はこちらからダウンロードいただけます。

今回は、想いをわかりやすくまとめた「言葉」を中心にしたクリエイティブのお話をしました。今回の例のように、想いや情報を相手に届ける場面で、言葉そのものと、そのデザインは大きな力を発揮します。

これからこのコラムでは、言葉にするために必要な 情報を整理する力 はどう磨いていくとよいのか、また 相手に”伝わる”言葉、相手を”動かす”言葉 とはどんなものか、さまざまな人・本・言葉に出会って、考察を重ねていきたいと思います。

 
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