マーケティング 2022.02.09 来場者自らがブース内で情報を取得してもらう ー ”密”になれない時代の展示会ブースデザインの工夫

みなさん、こんにちは。
ニシタイ編集部の多田です。

緊急事態宣言の継続的な発令により、オフライン施策の実施は困難だった昨年に対して、2022年からは徐々にオフライン施策の実施を検討しているご担当者様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。オフライン施策の中で、代表的な施策の1つが「展示会」です。しかし、現在も続く感染対策をしながらの展示会出展ということで、コロナ前とは異なる考え方で展示会を実施することが必要になります。

来場者と接点をもち、関心ごとのヒアリングや最新情報の提供として密なコミュニケーションをするための場でありながら、感染対策により”密”になれないジレンマに、どのような工夫をされているのか...

そこで今回は2月1日(火)より4日間東京ビッグサイトの東1・2ホールで開催していた一般社団法人日本冷凍空調工業会主催「HVAC & R JAPAN 2022」にお伺いさせていただき、各社がどのような工夫をされている視察してきました。
 

当たり前になった無人の受付

まずは入り口ですが、コロナ禍で定番になった無人の来場者システムを設置。オンラインで登録を済ませ、事前に発行したバーコードを読み取り、来場証を受けとるフローです。このHVAC & R JAPAN 2022独自の試みと思われるのは、体温検査済みを証明するシールを来場者証に貼る必要があること。入場時に体温検査をしてパスをした人がシールを受け取り、シールを印刷した来場証に張ります。



入場してみると、目につくのは出展キャンセルにより空いてしまった広大な空間です。特に大きな小間での出展を予定していた企業のキャンセルが多かったので、「空いている」印象を受けました。混雑具合は、蔓延防止宣言が出ていたタイミングということもあり、会場内はまばらな印象。実際、展示会終了後の来場者速報を例年と比較すると来場者数は約8割減など、集客面では非常に厳しい状態だったと言えます。
 

少ない人員で来場者に情報提供をするためのブースデザイン

出展している企業のブースは、いずれも装飾がしっかりとされており、華やかな展示会の雰囲気を思い出させてくれます。
来場者が減少傾向にあるなかで、自社のブースに誘導するために「装飾により一層力を入れている」と話すご担当者様もいらっしゃいました。



華やかなブースの一方で、ブース内にいる出展企業のスタッフは例年に比べかなり削減されており、なかにはスタッフが誰1人いない無人のブースもありました。感染対策で密を避けるためにはスタッフの削減は必要な措置ですが、来場者との情報交換が1つの目的とするとスタッフの削減は出展担当者にとっては苦しい判断です。コロナ禍前のように「自社の社員を多数導入して、来場者へのアプローチの機会を増やす」といった方針は、しばらくは通用しないことを思い知らされました。こうした出展企業側からのアプローチが難しくなった影響か、今回の出展企業のブースの一部に見られた設計には「来場者が自ら情報を取得してもらうブース」が意識されたものがありました。

例えば、「入り口をあえて1つに限定し、床に動線を印刷しているブース」です。



ブース内に来場者の滞留を生まないという意図もあるかもしれませんが、流れを明示することでブース内にもストーリー​に基づいた動線作りが可能になります。こちらのブースでは「新製品の概要を入り口に示し、ブース内を進む​と開発背景や活用例を知れるような動線」が作られていました。そのため、来場者に個別の案内が少なくとも、来場者自らが出展者の意図に沿った形で情報を取得することができます。

もう1つ、来場者への理解を促すために展示品の紹介にも​工夫がされていました。個別の案内が難しい中で、従来のように展示品を陳列しているだけ​では、来場者が取得できる情報に限りがあるため、理解が難しく補助的なコンテンツが必要に​なります。こちらのブースでは、気になった製品資料はQRコードにて​ダウンロード可能にしていたり、展示品の横にモニターを設置して​紹介映像を流すなど、1つ1つの展示品に理解を深めやすいような工夫がされていました。​



こうした来場者が自ら情報を取得してもらうことを意図した場所という観点で、最も近い場所は「博物館」かもしれません。博物館では来場者自らが情報を取得するため、博物館​内を移動するごとに体系的に内容を学習し次への​興味を示すような動線設計や、博物館の展示品に付属する音声紹介ガイドなど、自発的な情報取得とそのサポートを実施する工夫が多くあります。そのため、コロナ禍の展示会ブースデザインには参考にできる箇所はあるかもしれません。例えば、ブースに設置されている展示品個別にQR​コードで読み取れる音声の案内等を設置することも考えられます。

今後のブース設計では、出展者側のタイミングで情報提供するのではなく、来場者が必要な情報を​必要なタイミングで自由な形で取得できるかが、密になれない時代の展示会コミュニケーションのポイントかもしれません。​
 

顧客との接点の場をリアルとデジタルで双方作る主催者の工夫

まだまだコロナ情勢が不安定な中、主催者としてのサポートプログラムも工夫を凝らしております。

例えば、出展ブースを特殊なVRカメラで撮影し、バーチャル空間としてアーカイブ保存ができる個社VRサービス
これは施工期間中にブースを撮影し、会期後に映像を納品するというサービスですが、そのコンテンツをHVAC&R JAPANアフターイベントでの利用や自社のプロモーションツールとしても活用できます。

そのほかにも、リアルな展示会場内で実施される出展者プレゼンテーションをオンラインでのライブ配信するサービスや出展者専用WEBサイト内で事前の来場登録者とチャットができるサービスなどが準備されていました。

このように、展示会当日に来場できるかどうかわからない来場予定者の方に対して、自社を知ってもらう、想起してもらうための事前・事後のコミュニケーションを設計することも必要になってきています。コロナの情勢に左右される可能性はまだまだありますが、今後の出展計画において当日の出展小間数を広く取る、という考えだけでなく、少し規模を小さめにしつつ、デジタルでの補完を考えるのも一つかもしれません。

上でデジタルを活かした試みについて挙げさせていただきましたが、出展者にとっては新しい施策をする絶好の機会とも言えます。在宅での仕事をする機会が増え、プライベートとビジネスの境界が以前よりも曖昧になっている昨今は、BtoBの事例だけではなく、BtoCの事例も参考にしながら、新しい施策を実施してみるのもいかがでしょうか。例えば、先にご紹介させていただいたデジタルを掛け合わせた試みは、ライブコマースの手法が展示会ブースでの商品紹介の観点で参考になるかもしれません。

展示会の新しい潮流をお届け、深堀りしていけるように、引き続き現場から最新情報をお届けして参ります!

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