ニシタイ 西葛西駅前タイムズ

デザイン 2026.07.16 自分の五感で味わう「おそと」の醍醐味

長期休みのあとなどは、全国各地のお土産がところ狭しと並んでいるビッグビートオフィスですが、ここ最近は見るも鮮やかな海外のお土産がたくさん置かれています。
アジア圏っぽい色鮮やかなお土産に、なんとなくおしゃれな北欧の雰囲気を感じさせるお菓子、なにやらギャンブラーの血を騒がせそうなカジノマシーンのおもちゃまで。



このところ、ビッグビート社内で海外出張行く機会が増えているとのことで、いよいよニシタイも海外での取材のチャンスが…!?と思っていたところに、ビッグビートのクリエイター・タイヘイさんが、海外視察のレポート記事をニシタイに持ち込んでくれました。


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アメリカ視察で体感した、これからのBtoB体験型マーケティング(Experience Marketing) 

 
こんにちは、クリエイティブプロデューサーのタイヘイです。
BtoBマーケティングにおけるデジタル手法が均質化する中、リアルな空間での「体験」価値が高まっていると感じています。 
心を動かされて、ワクワクする体験とはなにか? 
その答えを探すべく、熱気にあふれたイベント現場、そしてラスベガス現地の空気を体感してきました。

 
ビッグビートのタイヘイさん(右)。お隣は営業担当の中村さん
 

■世界水準のテクノロジーがもたらす「体験価値」

航空運賃、宿泊費、そして滞在中のあらゆるコストが高騰…という手荒い(?)歓迎を受けつつ、参加したラスベガスの某セキュリティ企業のカンファレンス。(500ml水が1,000円を超えるインフレ環境・・・、出張に行くたび貧乏に。。。) 
今回のイベントもそうでしたが海外のBtoBイベントは有償であることが多く、主催者側も「高額な参加費を支払ってでも参加する価値のある、代替不可能な体験」を提供することが要求されるようです。
日本国内のような無料で参加できるカンファレンスイベントと同レベルの演出では、参加者の期待値を満たすことはできないため、イベント全体に求められるエンターテインメント性、ホスピタリティ、そして空間クリエイティブのハードルを極限まで引き上げていることをイベント全体を通して感じました。
 
一部のエリアにはAIによる無人自動車Zooxが走るなど随所に高度なテクノロジーが実装され、 カンファレンスのメインテーマも「AIセキュリティ」と、まさにAI時代を感じさせるコンテンツとなっていました。AIによる自律走行という最新のテクノロジーを肌で感じ、「最新のAIセキュリティ」を学ぶことで、自分自身の最先端のテクノロジーに対する受容性もさらに高まったような気がします。
 


講演会場内も華やかな照明で空間を演出


■「人」を生かしたホスピタリティ 

イベントの質は、華やかなステージ演出や最新テクノロジーだけではありません。

本カンファレンスの運営オペレーションは、日本のBtoBイベントとは根本的に異なっていました。
それは、来場者の誘導やサポートを行うスタッフの多くが、比較的年配の落ち着いた方が多く、そのほとんどが「インカム(無線機)」を装着していなかったのです。
日本のビジネスイベント運営は、全体の動きを一糸乱れぬよう中央集権的に統制し、ミスのない正確なオペレーションが一般的です。現場のスタッフには高度な自律性よりも、指示を迅速に実行する機動力が求められるため、結果として若年層(イベント派遣会社のアルバイトなど)が起用される傾向にありますが、海外のイベントは全く逆の発想でした。
年配のスタッフが多いということはイベントスタッフの業務が「その日限りのアルバイト」ではなく、経験と対人スキルが評価される「プロフェッショナルな職種」として社会的に確立されていることを表しているように感じました。
現場のスタッフの振る舞いは、マニュアルを読み上げるような機械的な対応は一切なく、人間としての深みと余裕があったように思います。(誘導の案内文句は人それぞれ、運営スタッフにも個性という魅力を感じた) 
このような成熟したホスピタリティを受けることで、イベントそのもの、ひいては主催企業に対する「信頼感」を無意識に高められていたことに気づきました。
 
ブランド体験(Brand Experience)とは、空間演出だけでなく、そこに介在する「人」の振る舞いによって完成します。
日本企業がグローバル水準のイベントを計画する際、効率性だけを考えたオペレーションシステムではなく、スタッフの自律性や人間力を引き出す組織体制にまで踏み込む必要があることを、インカムの無い運営風景を通して強く感じました。
 

■アフターパーティーの共体験(Shared Experience)

体験価値を更に高めたのが、2日目の夜に開催されたアフターパーティーでした。
会場は、約65,000人を収容する世界トップクラスの巨大ドーム型競技場「アレジアント・スタジアム(Allegiant Stadium)」。 
BtoBのプライベートカンファレンスの懇親会のために、NFL(National Football League)のスタジアムを貸し切るというそのスケール感自体が桁違いですが、そこで繰り広げられていた光景は、日本のビジネスパーソンの常識を覆すものでした。


アレジアント・スタジアム(Allegiant Stadium)での懇親会の様子。日本のビジネスイベントではなかなか目にしない光景だ
 

日本のBtoBカンファレンスにおける懇親会は、参加者がスーツ姿のままグラスを片手に、ユーザーやパートナー企業の方々と情報交換やコミュニケーションをはかるシーンが一般的ですが、そのアフターパーティーでは名刺交換をしている人たちはほとんどいませんでした。 
参加者たちは、スタジアムという非日常的な空間を歩き回り、提供されるエンターテインメント(出張シルクドソレイユなど)や、飲食を純粋に「楽しむ」ことに没頭していました。 
そこには、ビジネスという枠外の、人同士の自然な交流しかありませんでした。LinkedInなどのデジタル上のネットワークが普及した現在、物理的な名刺交換にはそれほど大きな価値はなく、重要なのは、圧倒的な感動や興奮を分かち合う「共体験(Shared Experience)」を通じて、お互いの人間性に触れ、強固な感情的な繋がりを構築することだと痛感しました。 
 
音楽ライブやスポーツ観戦のように、熱狂的な空間を誰かと共に楽しむ中で、自然に会話が生まれ「あのセッションのAIエージェントについてどう思うか?」「御社ではAIセキュリティ導入はどこまで進んでいるか?」などの情報交換が行われていたように見えました。 
名刺交換から始まる形式的なコミュニケーションではなく、体験共有から始まる本質的な関係構築こそが、メガイベントが提供し得る最大の付加価値であり、BtoBイベントが目指すべきコミュニティ形成の理想形なのではないかなと感じました。
 

■ラスベガスという都市

今回視察したカンファレンスイベントは、ラスベガスの最新鋭ラグジュアリーリゾート施設「フォンテーヌブロー・ラスベガス」にて行われました。 
この施設は、ホテルのみならず、合計550,000平方フィート(約51,000平方メートル)の途方もない広さのミーティングスペースを備えた、世界有数のコンベンションセンターです。 
最大規模のボールルーム(105,264平方フィート)を筆頭に、自然光が差し込む57の多様なミーティングルームが配置され、あらゆる規模のセッションやネットワーキングに対応できます。できる会場となっていました。
 
日本のBtoB展示会やカンファレンスの多くは、天井の低さや物理的なスペースの制約により、限られた数のセッション会場、展示ブース、商談エリア、ケータリングを効率的に詰め込まざるを得ず、結果として天井の低さ、音の干渉、過密な動線といったマイナスな体験要因が発生しやすく、やすいことも多いように思います。 
そして空間的な制約は、そのままクリエイティブ表現の制約へと直結してしまうことも・・・ 
 
しかし、フォンテーヌブローは、これらの物理的制約から完全に解放された空間でした。
天井高の余裕は巨大なLEDスクリーンの設置を可能にし、広大なフロア面積は、参加者が歩を進めるごとに景色が変わるようなダイナミックでラグジュアリーな体験設計を可能にしていました。
空間が大きければ大きいほど、ブランドメッセージは物理的な制限のようなノイズに邪魔されることなく、参加者の感覚に対して純度高く届きます。日本と米国のイベント環境の決定的な違いは、この「空間がもたらすクリエイティブの余白」にあり、日本企業が海外でイベントを計画する主催・出展する際には、このスケール感を前提とした大胆な空間演出が求められるのではないかと感じました。

また、イベント視察後に今世界的に話題となっている次世代型エンターテインメント巨大球体施設「The Sphere(スフィア)」にも行ってみました。 
外壁面に120万個のLEDパック(1パック48個のLEDを内臓)が敷き詰められ、2億5,600万色という驚異的な色彩表現に圧倒されました。 
また、この巨大な球体がBtoC向けのエンターテインメントや観光名所に留まらず、BtoBマーケティングにおける最強の広告媒体として機能している点も非常に驚きました。 
The Sphereでの広告掲載料は1日あたり約45万ドル(約日本円で7,250万)らしいのですが、そのインパクトは凄まじく、1日平均470万回のインプレッションを生み、そのうち30万回は現地での直接視認、残りの440万回はSNS等のデジタルプラットフォームを経由した波及効果と言われています。 
この圧倒的な露出は、OOH(屋外広告)の枠を超え、街の景観をハックする「文化的な事象」を引き起こしているようでした。


The Sphere。外壁面をそのまま広告ビジョンとして使うことができる


町全体が、エンターテインメント性に溢れ、刺激の街と言われているラスベガス。
最先端の施設やテクノロジー、体験価値を徹底的に追及した演出やコンテンツももちろんのこと、イベントというものが、開催する都市の空気感にも大きく影響されることを新ためて感じました。そして、それらが作り出す空間をカスタマージャーニーの一部として導線設計することが、イベントとしての効果を最大化させると再認識する体験でした。 


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ラスベガスという地でおこなわれたBtoBイベントで、まさに「グローバルスタンダードのスケール感」 を体感したというタイヘイさん。
それはまさに、その目で見て耳で聞いて、自身の五感を使って体感したからこそ得られた一次体験でした。

時同じく、アメリカのオーランドにも入社4年目の高木さんが同じく”某世界的なIT企業”のイベント視察に行ってきたとのことで、ニシタイは高木さんにも話を聞きました。

一昨年にはタイヘイさんと同じラスベガスにも行っている高木さん。同じアメリカの異なる都市でどのような発見があったのでしょうか。

「オーランドはテーマパークが多くある都市で、ラスベガスが計画の上つくられている都市だとすると、オーランドは森や沼など自然が多くあり、地形によって中心地が各地に点在している自然に発展した都市という印象で、もうさすがアメリカ!といったスケールの大きさに驚きました。イベントが開催された会場だけ見ても、展示会場だけでビッグサイト2つ分くらいの大きさの会場で、移動するだけでも大変でした(笑)



Orange County Convention Centerで開催されたイベントの様子。3万人以上が来場したという、ビジネスイベントらしからぬ規格外のスケール感



オーランドのBtoBイベントを視察して感じたのは、そもそも”イベントの目的が違う”というところでした。
日本のイベントはリードを取って、ログを取って、そこからビジネスに繋げていくのが目的ですが、アメリカのBtoBイベントはそもそも世界各国から参加するのでログを取ってもフォローなんてできないから、もう全力でブランディングに振り切っていました。そういう考えが、WEBや会場のシステムにも現れているなあと感じました。
来場者の姿勢も日本とは違っていて、中にはこのイベントのために僕みたいにものすごく遠くから国を超えて来ている人もいて、だからとにかく熱量がすごいんです。1日ずっとこの会場内で過ごして、少しでも多く何かを得て帰ろうとするからセッションも基本的には満席。
でもその裏にはやはりイベント自体がそこそこの費用を支払って参加する有償イベントだというのも大きいのではないかと思います。有償だからこそより来場者の満足値の高いものをつくろうとする。それは、その場にいるからこそ味わえる体験の価値であったり、感動の価値であったり。そういうものにこそ、重きを置いているんだなと感じました。
今回の視察を通して、僕自身はやっぱり日本のBtoBイベントも有償にしたい!と強く思いました。リードももちろん大事だけど、企業の価値を伝えるための場としてイベントを企画することで、大きなゲームチェンジが起こるんじゃないかな、とわくわくしました!」

そういって見せてくれた高木くんの記録写真には、イベントの写真に紛れてディズニーランドの写真も。
しっかりとテーマパークの街・オーランドを満喫していたようでした。




そんな若手たちの海外視察の裏で、ワールドカップ真っ只中の北欧の地を旅する人物がいました。
本人曰く「デジタル先進国である北欧で、AIはどのように人々の生活に関わっているのかを見てみたかった」とのことですが、Facebookの投稿を見る限り、路地裏のBarや中世の雰囲気の残る食堂でビール片手になかなかにエンジョイしていた模様。現地の熱に乗ってサッカースウェーデン代表のユニフォームも購入したようです。





「海外でのイベントの様子を見てみたい!」「BtoBイベントのグローバルスタンダードを体感したい」「海外の案件に関わりたいからこの国に行きたい!」年次や部署関係なく、”やりたい!”という思いから機会を手にして『おそと』に飛び出したビッグビートメンバー。
本場のディズニーランドも現地のうまいビールも、出張ならではの醍醐味、『おそと』に飛び出した人だけが味わうことのできる極上の価値を、身をもって体感してきたようでした。

結局今回は海外取材にはいけなかったニシタイ編集部ですが、オフィスに並ぶたくさんのお土産のおこぼれにあずかりながら、いつか自分たちも海外取材に行くことを固く心に誓ったのでした。
 

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