ニシタイ 西葛西駅前タイムズ

Bigbeat 2026.05.28 ニョクマム片浦が見たハイフォンのフィーバー。製造業の未来を「仕込む」現場から


「シンチャオ」
久しぶりにビッグビートのオフィスに現れたのは、ASEAN推進営業部のニョクマム片浦さん。
Bigbeat Vietnamと東京オフィスを超えて、ASEAN地域を行き来しており、最近では東京オフィスで見かけることが珍しい存在に。
社内では『遭遇できたら幸運』と言われるほどのレアキャラと化しています。

4月にASEAN数カ国を駆け巡り、帰国したばかりの彼の目は、かつてないほどギラついていました。 
「今はオンラインでどこでも誰とでも仕事はできますが、やっぱりリアルにライブに肌身で感じるって大事っすね」
彼が、今回亜熱帯の空気とともに吸い込んできた「熱気の正体」を、編集部が紐解きます。
 

ニョクマム片浦のヒストリー

そもそも、海外を飛び回るこの片浦さんとは何者か。ニシタイには特派員として登場していますが、改めて少しご紹介します。
2004年に新卒入社して以来、広告業界の新規開拓担当として泥臭い道を歩んできた彼。
出張時に成田と羽田を間違えるようなおちゃめな一面もありますが、転機は約10年前に訪れました。
当時の代表・濱口氏がASEAN展開を本格化させる際、その担当として真っ先に指名したのが、思春期を米国で過ごし英語が堪能な片浦さんだったのです。
「こう聞くとかっこよく聞こえるでしょ?でも最初にベトナムについたときはずっとびくびくしていて、同じフォーを食べたのにこいつだけあたって(笑)」
濱口氏は振り返ります。

しかし、当時の片浦さんは「ベトナム行き」に消極的でした。
 「飛行機は好きじゃないし、お腹も弱いし。正直、行きたくありませんでした」
当時30代半ば、キャリアもプライベートもふらふらしていたと振り返ります。
濱口氏が彼をさそってベトナムに飛んだのには、そんな状態を見かねたという背景もあったかもしれません。
それでも濱口氏の「自分の未来をどこで作るか、覚悟を決めてやれ」という一喝で、片浦さんは退路を断ちました。



(2016年、ベトナムにて。二人で「必ずここでまた乾杯しよう!」と誓ったあの日) 


実は、彼とベトナムの縁はもっと前から始まっていました。
入社直後に結成された社内バンド、その名も「ザ・ニョクマムズ」。ボーカルがニョクマム片浦、ギターがパクチー濱口。
命名した濱口氏の第六感は、20年後の今、彼がベトナムと日本の架け橋になることを予見していたのかもしれません。
今では渡航回数も20回を超え、「ホーチミンに帰ってきた」と感じるほど。道路の渡り方もベトナム流が染み付き、日本だと車にひかれそうになる」と笑います。


(2006年発足のザ・ニョクマムズ。今年結成20年を迎えたが、そのうち活動休止期間は10年を超える)
 

物流とモノづくりの街、ハイフォン

さて、本題にうつります。片浦さんが今回訪れた街の一つが、ベトナム第3の都市、ハイフォンです。ニシタイ編集部は、ハイフォンについて改めて調べてみました。
まず、目に入るのは北部最大の深水港であるラックフェン港の存在です。主要都市との直行便が絶え間なく行き交うこの場所は、まさに世界とベトナムを繋ぐゲートウェイとして機能しています。
さらに、この街の現在を象徴するのが、新興自動車メーカー「VinFast」の巨大工場。爆速で成長を遂げる同社のエネルギーが、街の景色を作り、産業のあり方そのものをアップデートしようとしている。そんな実態が浮かび上がってきました。

「ハイフォンは、ホーチミンとは違って、武骨な『モノづくり』の気概を感じる街でした。日本で言うとどこだろう。愛知とか、川崎、横浜とか?たぶん日本の高度経済成長期の熱に似ていると思います」
片浦さんが感じた「熱」は数字にも表れています。ハイフォンは2026年、ベトナム全土で最高となるGRDP成長率目標13〜14%を割り当てられています(※1)。
さらに、ラックフェン港では今年、新たなターミナルが次々と稼働し、欧米への直行便を支える北部最大の深水拠点としての機能を強化しています(※2)。
調べてみると、JICA(国際協力機構)を通じた資金援助や日本の最新技術によって、アクセス道路や巨大な橋梁といった基礎インフラが整備されたそうです。まさに、日本とベトナムが手を取り合ってゼロから築き上げた、両国の協力関係を象徴する港と言えます。 


この街で開催されるVIMFとは?

そんな中、ハイフォンで4月に開催されたのが「Vietnam Industrial & Manufacturing Fair(ベトナム工業製造業見本市)」です。ベトナム各地の工業地帯を巡回して開催される、現場直結型の展示会で、最新の工作機械や自動化技術が集結します。

「会場内は熱気がすごかったです。いや、ベトナムだから暑いとかじゃなくて。最新ロボットの前で、工場で働く人たち、来場者が説明員にたくさん話しかけていました」
それはそれは力強い眼光だったと片浦さんは続けます。

主催者レポートによると、来場者の87%が『新しいサプライヤーを見つけた』と回答(※3)。2026年3月に発表されたジェトロの調査レポートでは、”近隣他国と比して高いGDP成長率を背景に今後の内需拡大余地による自動車産業の拡大が見込まれる一方で、現状では他国に比して製造台数は少なく、供給面の整備は未知数”とあるように(※4)、革新的な技術を求める人々の姿が想像できます。





※関連記事:イベントについての詳細レポートはこちら
 

ベトナムのインダストリー4.0?

展示会のメインテーマは「インダストリー4.0」。ベトナム政府は「2030年までにデジタル経済がGDPの30%を占める」という非常に高い目標を掲げています。かつての「安価な労働力の国」から、AIや半導体、DX(デジタルトランスフォーメーション)を駆使した「高度な製造拠点」へと脱皮しようとしている真っ最中だそうです。(※5)2026年5月には日本の首相もベトナムを訪問し、DX分野で協力覚書を交わしています。 国を挙げてDXが推進される中、片浦さんは現場のリアルを肌身で感じてきていました。
未舗装の道端から見える高層ビル、サンダル履きでスマホを操る人々。この国の革新は、階段5段飛ばしのエネルギーがあるのだと、片浦さんは鼻の穴を膨らませました。
「10年前はコンビニすらなく不便を感じることもありましたが、今やスーパーやインフラも完備。Grab(配車アプリ)の普及スピードも驚異的で、日本の変化を遥かに凌ぐスピードで街が作り替えられています」 


(10年前は『白いビナサン(Vinasun)か、緑のマイリン(Mai Linh)以外は絶対に乗るな!』というアドバイスに、おびえながら入国した片浦さん。)

 

次は6月、南部の経済都市「ビンズオン」

ハイフォンの熱気も冷めぬまま、次なる舞台は南部の経済拠点、ビンズオンへと移ります。2026年6月17日から3日間、WTC Expoにて「VIMF 2026」が開催されます。

日程: 2026年6月17日(水) 〜 19日(金)
会場: WTC Expo(ビンズオン・ニューシティ)


またまたニシタイ編集部が調べたところ、このビンズオン省を含む南部経済圏は、北部よりも早くから工業化が進んできた”ベトナム製造業の先駆者”ともいえるエリア。電力や通信、廃水処理といったインフラの成熟度は国内随一です。最大都市ホーチミンから車でわずか1時間という好立地もあり、多くの企業がサプライチェーンの要として拠点を構えています。

関連記事:https://asean.bigbeat.co.jp/blog/binhduong-industrial-park-appeal/


片浦さんは今、Bigbeat Vietnamのメンバーと連携して、この6月のイベントに向けて何やら気合を入れて仕込んでいる様子です。
「いま、こう見えて実はとてもワクワクと興奮しています。日本の素晴らしい技術を、暑くて熱いベトナム・ASEANに届けるための企画を、東京オフィスのサイさんベトさんはじめ、みんなで準備してるので。ニシタイで情熱大陸やってもいいっすよ」
 

東南アジアを縦断。「動くところに道はできる」

片浦さんの今回の旅は、ベトナムだけでは終わりませんでした。マレーシア、そしてタイへとその足跡は続いています。
マレーシアでは、半導体産業の熱気渦巻く現場へ。展示会出展をサポートしただけでなく主催事務局や現地の強力なパートナー企業とも連携を深めてきた様子。
さらにタイでは、Bigbeat Bangkokのチャーリー金子氏と密会し、何かが再び動き出しそうな気配。
ASEANの点と点が、片浦さんの足跡によって一本の線に繋がろうとしています。
片浦さんは今、ASEANという巨大なステージで、新しいビジネスのビートを刻み始めています。

「動くところに、道はできる。砂利道も、歩けばそこが未来になる」
その言葉通り、日本とASEAN、そしてビッグビートと未来を結ぶ新しい道がしっかりとできつつありました。
次は6月のビンズオン。そこで片浦さんがどんな「仕込み」を披露してくれるのか、目が離せません。


(Bigbeat Bangkokのチャーリー金子氏と東京オフィスのサイさんと)


※1:Hai Phong News (2026/04/26) 
※2:https://www.phaj.or.jp/distribution/lib/world_watching/Asia/ww_2411_294.pdf
※3:VIMF Official Visitor Profile 
※4:https://www.jetro.go.jp/world/reports/2026/02/61a5971253c22b08.html
※5:https://piripiri.bigbeat.co.jp/blog/vietnam_dx
※6:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin07_02000004.html

 
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