社長コラム 2022.06.01 だからここにいる、これからも


四谷三丁目から曙橋に下る坂道の途中に素敵なRock Bar があります。ご夫婦2人で経営されていて、30年ほどになると伺っています。音楽とお酒が好きな大人が本当にいい笑顔でくつろぐ空間です。お店を大切に思うご主人とお客さん達が創ってきたかけがえのない空気が店内に流れています。



また先日、横浜元町にあるクリフサイドという1946年創業の老舗ダンスホールで開催されたライブイベントで演奏させていただいた際にも、同じような空気を感じました。そのイベントを主催したのは元町で40年ほど続く老舗のBARです。日本人のマスターとスコットランドご出身のママさんがそのお店をとても大切にされていることを、初めてお邪魔した時に感じました。80年近く続くダンスホールを舞台に、お店の人たちとたくさんのお客さんが創る素晴らしいライブイベントでした。



「企業の経営もこれに似ているのかなぁ」とステージ上でチークタイムのナンバー(You make me feel like a natural woman)を弾きながら、そんなことを思いました。

店主、会社で言えば経営者が自社の企業文化を何より大切にし、その風土から生み出される製品やサービスを共に働く仲間たちが賛同し、品質にこだわり提供している。永く支持してくれるお客さんやパートナーの皆さんにも共感が生まれ、そんな営みが続いている状態が理想です。例え同じ音楽が流れ同じウイスキーを飲んでも、その空気により味も違うかもしれないし、何よりお客さんのその時間、場所にかける思いが違いますね。

2020年世界を襲った疫病により、たくさんのことが変化しました。そして多くのことに気づきました。ビジネスで言えば働くカタチが変わりました。
職種によってはテレワークが定着し、どこでも働ける大きな自由を手に入れました。通勤時間やオフィスの場所など縛られていたものから解放されたと同時に、難しい問題にも直面します。

テレワークで忙しい最中に『私はなぜここで、この仕事をやっているの?』と感じたことはないでしょうか?テレワークで、PC上でやる仕事のカタチはどの会社でもさほど大きな変化や差異はないですね。じゃあどこで働いても同じ?だったらなるべく時給の高いとこを選ぶ?いや、それもなあ。。。
過酷な通勤電車は無くなったけど何か違うストレスや虚しさを感じます。

だからこそ、ここにいる理由、このステージを選ぶ理由がないと続けられないのです。その一つはやはり企業文化であり、そこにある空気だと思います。
オンライン飲み会には曙橋や元町のBARの空気は創れないからです。

戦争や疫病、地震など災害を乗り越えてたくましく変化し存続していくお店や企業には強い文化がある。
それが選ばれる理由だし、そこで働く理由だし、そんな自分の居場所を感じられる場所があるということも、人生で幸せを感じる要素ではないでしょうか?

もちろん仕事だけの話ではありません。いつの時代、どんな国で生きても、自分の大切な居場所がなくなってしまうことがあります。海外からのニュースでも目のあたりにしているでしょう。そして人々は自分の大切な居場所を守り、創り続けていこうとします。

オンライン、デジタルを否定する話ではなく、テクノロジーを駆使し変化していくことで、これからも大切な居場所を、ビジネスのステージを創り続けていきます。関わった全ての人に『あ、この場所があってよかった』と感じて欲しいから。


そのために、これからもここにいたいのです。


2022年6月1日 濱口豊
 
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