BigbeatLIVE 2020.12.22 タイから学ぶ、変化への柔軟性【Bigbeat LIVE 2020 ~Day4~<中編>】

8月3日(月)~8月7日(金)の5日間、オンラインにて開催された『Bigbeat LIVE 2020』。
白熱した5日間の模様を、コピーライター小笠原の視点でお届けします!

『Bigbeat LIVE 2020』のDay4、グローバル セッションの2つ目は、『タイの市場で選ばれるための知恵と工夫』というタイトルで、タイで活躍する4名の登壇者から、国境を越えた中継でお届けしました。日本よりも厳しい基準の非常事態宣言の発令後、タイでのビジネスはどのように変化を遂げたのか、現地のリアルな様子を交えながらのセッションとなりました。

【登壇者】
HULFT Pte. Ltd. Head of Thailand Market Development 池田 和史 さん
WingArc1st Inc. Country Head Thailand office, Global Business division 湯原 圭亮 さん
QUALICA (Thailand) Co., Ltd. Managing Director 竹内 和也 さん
Bigbeat Bangkok Co., Ltd. CEO, MANAGING DIRECTOR 金子 秀明(★)
(★はモデレーターを担当)



 

人々の心情とビジネスの変化


タイの路面に設けられた、ソーシャルディスタンスの啓発表示

パネルディスカッションのはじめに、COVID-19が流行しはじめた当時の様子を振り返り、タイの人々の状況についてお話がありました。Bigbeat Bangkok Co., Ltd. の金子からは、自分の想像以上に従業員のメンバーが不安を感じていたことが語られ、日本と比べてタイの人々の不安感が高かったことがわかりました。従業員の身を守るため、多くの企業で働き方を変える措置が取られました。
そのような非常事態の状況下を越えて、少しずつビジネスにも変化が起こっていったと言います。

QUALICA (Thailand) Co., Ltd. の竹内さんは、COVID-19の影響を受ける前後で、お客様側の大きな心情の変化を感じたと話しました。

「私たちの会社は、製造業のお客様とお取引の機会が多いのですが、COVID-19以前だと直接お会いして現場の状況を見ながらお話しすることで、ようやくお客様が抱えている本当の課題を理解することができるような状態にありました。しかし、それが叶わない中でどうしようかと思っていたときに、お客様側の方から、例えば現場の確認も含めて映像でつないでWEB商談に挑戦してみようというお話が出たのです。私たちのようなIT企業は従来からWEB商談というのにも多少慣れている部分がありましたが、お客様側から変わろうとしている想いを受け取り、その想いに応えたいと強く感じました。」(竹内さん)

WingArc1st Inc. の湯原さんもオンラインでの打ち合わせに対しての変化に触れました。

「私の場合、お客様先に訪問していた頃は次の打ち合わせで話そうと思っていた話題も、些細なことであれば電話ですぐに聞く習慣がつきました。また、1回の打ち合わせで3~4時間かかっていた移動時間を無くすことができたので、お客様の提案準備にかける時間を増やすことができましたね。」(湯原さん)


写真上:WingArc1st Inc. 湯原 圭亮 さん / 写真下:QUALICA (Thailand) Co., Ltd. 竹内 和也 さん

こうしたお話を受け、コミュニケーションの取り方や時間の使い方という観点では、日本でもタイと同じような状況になったと感じます。わずか半年ほどで、オンラインでの打ち合わせも日常茶飯事に。一時期より数は減少しましたが、プライベートでもオンラインでの飲み会が企画されるようにもなりました。一方で、湯原さんより「提案準備にかける時間」について話がありましたが、私自身コミュニケーションを取るスピードは格段に速くなっているのを感じます。企業内のコミュニケーションツールとしてチャットツールの導入が進み、1時間ごとにオンラインでの打ち合わせが入り、1日の予定が埋まってしまうことも。効率化が進んだ分、忙しいときほどうまく自分のペースを見つけられないと、心と体のバランスを崩しやすい状況にもなっていると思います。まだしばらく続くであろうオンラインが優先される社会では、自分の時間と心身の状態をうまくコントロールする力が求められているのです。


 

これからのタイ市場に求められるサービスとは

セッションの中では、「これからのビジネスチャンスがどこにあるか」という視点でのディスカッションも行われました。
HULFT Pte. Ltd. の池田さんは、当面の間、事業継続のために優先されるコスト削減や業務改善に関するシステムの需要が高まるだろうと語ります。そして、お客様やパートナー企業と接点を持ち続けることが重要だと話しました。
竹内さんからは、タイは製造業の企業が多いためしばらくは経済が冷え込むだろうが、国が行うインフラ事業への投資が加速し、それに付随するITのソリューションには注目が集まるのではないかと意見が述べられました。
湯原さんは、なるべく会社に来なくても運用ができるようなシステムの需要が伸びてると言い、クラウドベースで展開されるサービスへの関心が高まっていると語りました。また、国を越えての移動に制限があることから、今後人件費が上がっていく可能性にも触れ、今まで人が行っていた作業を代替できるようなシステム・ツールも必要とされるのではないかと話しました。

日本の市場においても、テレワークに必要なシステムや、総務・人事系のクラウドサービスなど、急速に必要とされたサービスがありました。ビッグビートでも、新しいクラウドサービスを導入したり、申請・手続きをできるだけオンライン上で完結させられるように、アップデートされています。
また何よりも、そうしたソリューションを持つ企業に対して、私たちが広告会社としてできることがまだまだたくさんあるのだと感じます。世の中に必要とされているサービスを、きちんと知らしめていくこと。その想いは、国が違えど変わりません。日本のビッグビートのメンバーと、タイのBigbeat Bangkokのメンバーが協力して進めているタイでの取り組みの一つが、「Japan Recommend IT」という企画です。来年以降、さらにこの企画を発展させていくために、プロジェクトチームで計画が進められています。日本でも、タイでも、そして日本とタイが協力して、私たちの価値を提供できるような取り組みを続けていきます。


 

変化にどれだけ柔軟でいられるか


写真上:Bigbeat Bangkok Co., Ltd. 金子 秀明 / 写真下:HULFT Pte. Ltd. 池田 和史 さん

最後に、タイの人々の国民性について触れられる場面がありました。金子から話されたのは、強くロックダウンがされていた頃のバンコクの様子です。3月下旬から非常事態宣言によって商業施設が閉鎖となり、バンコクのショッピングモールも一時閉鎖となりました。5月に入ると徐々に規制が緩和され、ショッピングモール内の飲食店は持ち帰りのみ営業許可が下りました。しかし、肝心のショッピングモールは閉鎖中でお客さんは中に入れません。そこで、営業許可が下りた1日の間にショッピングモールの入り口に机を並べ、路面で注文を受け付ける対応を始めたのです。タイの人々のこの柔軟性対応力には驚いたと、金子は語ります。
一方で、池田さんからは対応力がある分、反対に飽きっぽいところもあるように感じると話されました。瞬間風速的に何かが流行ったり、何かが起こることがあるそうなのですが、次から次へと移り変わらないように、今すべきことは一気に詰め込むべきだと、池田さんは語りました。ビジネスでも同様で、システムなどの導入の機運が高まっているタイミングでは、一気に仕掛けていくことが成功のコツだそうです。

このお話を受けて、私もタイの人々の柔軟性に驚いたのと共に、自分自身もその柔軟性を意識しなければならないと感じました。広告会社の一員として、臨機応変に対応するスキルはもちろん必要なのですが、時にはアイデアを出す前提を自分で決めてしまわないことや、面白いと感じたことを実現できる方法を探すなど、自分で自分の限界をつくらないようにするべきだと思いました。先にタイの人々の国民性が感じられるエピソードを載せましたが、日本人の国民性としては、よく「真面目」や「協調性が高い」と言われるように感じます。これらは、変化を避けて、周りと同じことを好むという側面もあるのではないでしょうか。これを国民性として片付けずに、苦手な部分だと理解して意識しておくだけでも、変化への柔軟性は培われていくのではないかと考えます。これからもワクワクすることを考え続けられる私でいたいし、そんな私がいるビッグビートであり続けたいと感じました。




 
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