BigbeatLIVE 2020.12.21 発信力の強化は日米共通の課題【Bigbeat LIVE 2020 ~Day4~<前編>】

8月3日(月)~8月7日(金)の5日間、オンラインにて開催された『Bigbeat LIVE 2020』。
白熱した5日間の模様を、コピーライター小笠原の視点でお届けします!


『Bigbeat LIVE 2020』の4日目は、グローバル セッション / ポストミレニアル セッションの2つのテーマが行われました。今回は、グローバル セッションの1つ目、『マーケティングの今を見つめる ~アメリカの事情~』をご紹介します。第1回のBigbeat LIVEにも登壇いただいたニール シェーファー さんをゲストにお迎えし、COVID-19の影響下におけるアメリカのマーケティングについて、たくさんの事例を踏まえてお話しいただきました。

【登壇者】
PDCAソーシャル(米国)代表 ニール シェーファー さん



 

社会の役に立てることとは何か?

ニールさんからははじめに、アメリカの大手企業Walmartの副社長が語った「Business exists to serve society(社会の役に立つため、企業は存在する)」という言葉が紹介されました。COVID-19によって、どんな企業にも少なからず困難な局面が訪れていることかと思います。危機的な状況にあればこそ、社会に対してどのように貢献していけるのか、今の状況からすべきことを判断する力が求められています。
例えば、飲食業界においては、日本でも多く見られましたが、アメリカでも店頭でのテイクアウトやインターネットを活用したサービスが拡大しました。ニールさんからはカリフォルニアにある日本料理のレストランの例が挙げられました。そのレストランでは、カリフォルニアに多く在住している日本人の単身赴任のサラリーマン向けに、自宅で調理できる料理キットを販売し始めました。その中には、当時品薄になっていたトイレットペーパーやマスクも同封。日本とのコネクションから品薄な日用品も入手することができたため、飲食店=料理を提供する場という以上に、そのお店にできることを考え、実践された例でした。


カリフォルニアにあるレストランのサービス。食材と合わせて、需要の高い日用品がセットになっている。


また、とあるアメリカのSaaS系企業では、「6か月間無料にするので、ぜひこのサービスを役立ててください!」というメッセージと共に、これまで触れてこなかったお客様を対象に、一定期間自社サービスを無料で提供することも行われました。短期的に売上を増やすことはできなくても、新しい顧客に触れてもらう機会はつくることができる。COVID-19による困難を逆手にとって、お得意様を見つけ出すことにつなげたのだと、ニールさんは語りました。

2020年の1年間で、ビジネスでもプライベートでも、デジタルの活用がかなり促進したと私自身も体感しています。私たちビッグビートのお客様にはIT企業も多く、COVID-19で加速するデジタル化でまさに必要とされるサービス・ソリューションをお持ちだと考えています。私たちが社会のためにできることは、お客様とその先の顧客の方々とをつなぐコミュニケーションの場をつくること。法人向けオンラインイベントプラットフォーム「KODOU」のリリースを筆頭に、この半年間でオンラインイベントのスキル・ノウハウを一気に高めることができました。そして、今回のBigbeat LIVEのように、8月のタイミングで私たち自身の想いや考えを主張することも、あのときの私たちにできることの一つでした。
どんな企業でも、社会のために今できることは何かを考え続けている、その真っ只中だと思います。常に変化する状況をとらえ、何ができるかを考え続けることは、これまでもこれからも、変わらず必要なことなのだと感じます。

 

発信する人の周りに、コミュニティが生まれる

世の中のニーズをとらえ、困っている人とそれを解決できる企業がマッチングすること。マーケティングは、このマッチングの機会を広げていくことです。ニールさんは、これからのマーケティングについて、こう語りました。


PDCAソーシャル(米国) ニール シェーファー さん(右下)。ビッグビートのジョセフ(左上)との対談で、セッションが進行した。


「これからの企業のマーケティングに必要なことは、コンテンツをタイムリーに、解決策を探している人の目につくようにアップし、サポートできる存在だと示すことです。そして、ソーシャルメディアを活用してWEBサイトへ誘導し、MAでデータを可視化して、コミュニケーションを個人化する。この一連の流れをつくることが重要ですが、すべては “自分たちがここにいる” と発信することから始まります。」(ニールさん)

ニールさんは、ソーシャルメディアを通じて自社の存在を示す、「ソーシャルマーケティング」の考え方を述べました。ソーシャルメディアを単なるマーケティングの場ではなくコラボレーションの場と考え、従業員・顧客・パートナー企業など、その企業に関わりのある人を巻き込んでコミュニティを形成していきます。特に、その業界のインフルエンサーや、デジタルに慣れている若手の従業員とのコラボレーションも注目すべきだと、ニールさんは語りました。



ビッグビートでは今年の4月から、TwitterやFacebookの運用に力を入れるようになりました。特にTwitterは、4月と比べると12月の時点で300名以上フォロワーも増加しました。また、2年目の社員はstand.fmという音声配信アプリで「ラジタイ!」というチャンネルを立ちあげ、社外の方をゲストにお迎えして、ラジオ形式のコンテンツ配信を続けています。私自身も昨年と比べると、Twitterでアウトプットをする機会が格段に増えました。Bigbeat LIVE関連の投稿をはじめ、コピーライター養成講座での学びなど、ビッグビートに直接かかわらないことも含めて今の私ができるアウトプットを行っています。私の周りにも、そしてビッグビートの周りにも少しずつ人が集まり、つながりが広がっている感触があります。
小さなことからでもアウトプットを積み重ね、新しい人と出会い、自分の存在を知ってもらう。デジタルの世界では、自分の存在を知ってもらえないと、何も始まりません。ビッグビートも、私個人も、さらに声を上げ続け、誰かに必要とされる存在になりたいと感じます。

 

ルーティーンから価値あるコンテンツへ

このセッションの最後に、ニールさんからはコンテンツの質についてコメントがありました。

「アメリカのビジネスシーンにおいて、人々がデジタルに慣れているという事実は確かにあります。COVID-19の拡大する以前から、企業はメールやSNSでのマーケティングへ積極的に取り組んできました。しかし、多くの企業がそれをルーティーンで行っており、必ずしもコンテンツの中身が良かったわけではありません。エンドユーザーとうまく交流できていたわけでもありません。デジタルに寛容な文化と、それを活かすインフラはあっても、うまく運営できていない状況があったのです。BtoBマーケティングは日本と比べてかなり進んでいると言われますが、必ずしもすべてがそうではないということですね。デジタルでの発信がますます増えていく今、意味のある活動にするためには、インパクトのある発信にこだわらなければいけませんね。」(ニールさん)

アメリカのBtoBマーケティングは日本よりも成功している企業がかなり多いのだと、私自身感じていましたが、テクノロジーに比べてコンテンツの質が少し置き去りにされているという事実は知りませんでした。また、ニールさんのインパクトという言葉には、質が高いことと、アテンションをつくれるということの2つの要素が含まれていると感じました。
日本では、COVID-19の影響を受けてメールマガジンが大量に届くようになったり、毎日のようにウェビナーやオンラインイベントが開催されるようになりました。少しずつデジタルを活用したマーケティングの幅が広がる中で、相手にとって本当に有益なコンテンツになっているか?という検証は、これからもっと必要になっていくことだと思います。アメリカの方が一歩先に進んでいる部分もありますが、結局はコンテンツがカギを握るのだと、あらためて感じました。



アメリカの事情について、様々な切り口からお話をいただいたニールさん。ニールさんの詳しいプロフィールや実績は、こちらから確認ができます。

グローバルセッションはもう1つ、『タイの市場で選ばれるための知恵と工夫』と題して、COVID-19の困難にタイではどう立ち向かっているか、Bigbeat Bangkokの金子を中心にディスカッションがなされました。こちらのセッションは、次回の記事にてお届けします。




 
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