BigbeatLIVE 2020.12.04 お客様が本当に得たい成果、提供できていますか?【Bigbeat LIVE 2020 ~Day3~<中編>】

8月3日(月)~8月7日(金)の5日間、オンラインにて開催された『Bigbeat LIVE 2020』。
白熱した5日間の模様を、コピーライター小笠原の視点でお届けします!


『Bigbeat LIVE 2020』の3日目は、『顧客とつながり未来を拓く』と題して、顧客とのかかわり方に焦点を当てたセッションが行われました。熱狂的なファンをお持ちの企業とカスタマーサクセスのスペシャリストの方にご出演いただき、顧客と長期的な関係を築いていく上で大切にしていること、つながりを保ち続けるための奮闘、環境の変化による新たなチャレンジ等が語られました。

【登壇者】
カスタマーマーケティングmeetup 主宰 カスタマーマーケター 長橋 明子 さん(★)
株式会社ABEJA カスタマーサクセスマネージャー 丸田 絃心 さん
IKEUCHI ORGANIC 株式会社 営業部 部長 牟田口 武志 さん
(★はモデレーターを担当)
(※8月5日時点のプロフィール)



 

製品・サービスを買ってもらうことがゴールではない

近年、「カスタマーサクセス」という言葉を耳にする機会が、格段に増えてきたと感じています。製品・サービスはすべて「顧客が成功する」ために提供されるものであり、製品・サービスの導入後も能動的・継続的に顧客の成功に向けて何ができるかを考え、支援し続けることがカスタマーサクセスだと、私個人は解釈しています。
特に、SaaS系の企業でカスタマーサクセスを実行する部署が立ち上がることも多くなりましたが、この考え方は所属する部署に関わらず、企業全体で理解するべきものだと感じます。

IKEUCHI ORGANIC 株式会社の牟田口さんは、BtoBの事例の中でカスタマーサクセスをどう考えているかについて語りました。

「IKEUCHI ORGANICのタオルは、レストランのおしぼりとしてもご利用いただいています。おしぼりはそのレストランで何度も何度も繰り返し利用されるもの。おしぼりを買っていただいて終わりではなく、洗濯の仕方や干し方、場合によっては洗濯機までもどのようなものがオススメなのか、私たちから提案させていただくこともあります。お客様に長期的に喜んでいただけること、使っていただけることが私たちが大切にしていることの一つです。」

株式会社ABEJAの丸田さんも、「ただ製品・サービスを導入しただけではお客様にとっての価値にならない」と話します。

「ABEJAの製品に、”ABEJA Insight for Retail” という顧客の行動データの取得・分析を基軸とした店舗解析サービスがあります。要は “これまで見えなかったお客様の行動・データを可視化するためのサービス” なのですが、ただ可視化するだけでは意味を成しません。 “売上を上げたい” というお客様が本当に欲しい成果を得るために、サービスを導入いただいてからきちんとPDCAを回すところまで、一緒になってたどり着くことが重要なのです。」



左から、カスタマーマーケティングmeetup 主宰 長橋 明子 さん / IKEUCHI ORGANIC 株式会社 牟田口 武志 さん / 株式会社ABEJA 丸田 絃心 さん


このお二人のお話からは、まさに「顧客が成功する」ことを最優先に考えていることが伝わりました。顧客が成功するということは、継続的に顧客側から指名が来る状態につながりやすくなる。つまり、顧客から「選ばれる」存在になることができます。自社の経営・マーケティングにとっても非常に重要な役割を持つのです。このことから先の主張にもつながりますが、結果的に自社の経営の成功にもつながるカスタマーサクセスの考え方は、今まさにあらゆる企業で、組織を超えた全社で注目すべきことだと考えます。
ビッグビートの理念は、「かかわった人すべてがHappyになる」こと。ここでいうHappyは、未来がよりよくなると感じられる状態を指します。マーケティングもカスタマーサクセスも、顧客と自社の未来がよりよくなることにつながるので、私たちの理念を実現する手段として重要な観点です。今はまだ十分とは言えませんが、ビッグビートの中でもカスタマーサクセスの考え方をもっと深く浸透させて、例えばお客様のオンラインイベントを実行して終わりというわけではなく、その先のお客様の得たい成果にきちんと向き合って伴走し続けたいと考えます。

 

共感から生まれる自発的な行動

もう1つ、私にとって印象的なお話がありました。それは、牟田口さんから語られたあるエピソードです。

IKEUCHI ORGANICでは、いわゆる注力顧客と呼ばれる人たちの、年齢・性別などの属性的な設定をしていません。代わりに、IKEUCHI ORGANICの考えに共感して好きだと言ってくれる人を大切にしたいという思いを持っているそうです。店舗やWEBサイト、オウンドメディアなどのあらゆる場所で「私たちはこういう考えをもって、こんな製品・活動で社会に貢献していきたい」という想いを強く発信していくことで、ブランドへの共感を高めることにこだわっています。その結果、IKEUCHI ORGANICに強く共感するファンの方たちが、自発的にファンコミュニティを立ち上げるまでに至ったそうです。
この他にも、毎回のようにイベントに参加していただける方、店舗で催事を行うときにボランティアで手伝いたいと申し出てくださる方、SNSなどを通じて外へ発信をしてくれる方など、様々な場面でファンの方々に支えられており、一人ずつ顔が思い浮かぶような大切な存在だと、牟田口さんは話しました。


IKEUCHI ORGANICの考え方がギュッとつまった店舗。COVID-19の発生以前は、イベント等も頻繁に開催されていた。


このお話を受けて、自発的な行動が生まれるだけの強い共感は、長い年月をかけて1つずつ積み上げてきた結果だと感じました。製品自体が良いと思って好きになる方もいるでしょうが、きっと店舗での接客やWEBサイトでのメッセージなど、あらゆるところでブランドの想いを体感して、好きだと思う気持ちが増していくのだと考えます。企業からのアウトプットの1つひとつがつながり、多くの方から共感を生んでいるのは、その裏側にあるコミュニケーションの設計・デザインがきちんと機能しているからでしょう。

過去4回のBigbeat LIVEを開催してきましたが、このイベントをきっかけに知り合った方同士が一緒になって勉強会をしたり、相談ができる関係になったと耳にすることがありました。このイベントに共感して自発的な行動につながっているという点で、それを知ったときとても嬉しい思いでいっぱいになりました。しかし、それが誰でどんな人かというところまでは、その方たちの顔が思い浮かぶレベルで把握できているわけでないのが正直なところです。また、その方たちもBigbeat LIVEへの共感にとどまり、ビッグビートそのものへの共感にまでは至っていないと感じます。私たちのアウトプット1つひとつを結びつけること・デザインすることを、もっと強化していかなければなりません。
そのために、私ができることは「言葉」で表現することであり、さらにクリエイティブへと落とし込む力をつけていかなければならないと感じます。私の伸びしろがビッグビート自身の伸びしろだと半分本気で考えながら、この記事の執筆も含め、日々の業務に取り組んでいます。





「顧客の成功」を使命として、お客様が本当に得たい成果に向き合い、お客様からの声に耳を傾け、一緒になって伴走していくこと。そして、私たち自身の想いをアウトプットの1つひとつにきちんと表現して、共感を高めていくこと。どちらも顧客との対話につながるヒントだと感じます。

モデレーターとして牟田口さん・丸田さんのお話を丁寧に引き出し、とてもわかりやすいセッションにしていただけたカスタマーマーケティングmeetup 主宰の長橋さんより、「お客様との関係をきちんと築いていくために何ができるかを考えて向き合っていくことで、COVID-19のような突発的な何かが起こった際にも、お客様の方から自発的な行動が生まれて助けていただけたり、お客様と一緒になってこれからを考えていくことができますね」とまとめの言葉があり、このセッションは締めくくられました。



 
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