社長コラム 2020.03.12 熱量の高いLIVEイベントをデザインするための3つのポイント

翔泳社さんが主催するマーケティングイベント MarkeZine Day に登壇させていただきました。
テーマである「見えないものを視る」に賛同したからです。
そこでお話したこと、お伝えしきれなかったことをこちらで!

『BtoB人気イベントの立役者が集結! イベントマーケティングを成功に導くポイントとは?』
が私たちのセッションのテーマで、SmartHR 岡本さんのモデレイトで、プレイドの川久保さんとご一緒させていただきました。

なんと、立役者です!(笑)

LIVEイベント自粛の最中で、イベントについてのディスカッションをオンラインでやるという「旬と言えば旬」であります。
開催される予定だった会場でカメラを前に話す、いわゆる無観客試合です。
LIVEイベントの登壇と比べ、汗をかく場所と温度が違う体験をしました(冷汗)。

オンラインの先にいるどなたに伝えたかったのかと言えば、
BtoB企業で、主催型のイベントを担当している、もしくは経営からイベント開催を命じられたマーケティング関係の方です。
「ほんの少しでも具体的にお役に立てるお話になれば良いなぁ」と思いました。

 

⒈    Bigbeat LIVEについて

私たちBigbeatは、広告会社として恐らくは類を見ない主催イベントを3年間、毎年8月に開催しました。
Bigbeat LIVEといいます。

LIVEロゴ

広告会社はオリジナルの製品やサービスを持たないので、何かを売り込むためのイベントではありません。
登壇していただいた企業の製品紹介もしません。

開催にあたり、当初は物議を醸しました。ネガティブな意見が大半で、
例えば

『広告会社がこのような主張をするのは甚だ疑問』
『誰の何のためのイベントなのか全くわからない!』
『怪しすぎる、即刻やめた方がいい!』

*ここで商売をしない、つまりリード目的のイベントではないと明言したため。

親しい方は特に心配してくれました。

また社内からも、

『決算時期に(当社は8月決算です)こんな大きなお金を使うのか?』

*本イベントは協賛や入場料を募らず、全て自腹です。
『タダでさえ忙しい時期に。。。』
*イベントの仕込み時期、4月から6月は当社のビジネスのピークシーズンと重なります。

ウチソトの意見を一言で言えば『身の程を知りなさい!』という事でした。

このような意見をいただきながら、
「なぜ開催を決めたか?」「どんなことに注意が必要だったか?」「やった結果、どうだったのか?」
を少しご説明できればと思います。




まずは開催を決めた理由です。

4年ほど前、2016年夏に遡ります。
個人的な話です。Bigbeatの経営を20年以上やり、50代も半ばを迎えてこれから何を目指してやるべきだろうか? 広告会社が日本の未来に少しでも役に立つ事ってなんだろう?を考えました。

海外、特に中国や東南アジアの大都会から東京に帰ると、とても静かで、そして人々に笑顔が少ないように感じることがあります。一方、地方はどんどん寂れていきます。私の故郷高知県は人口が70万人を切ってしまいました。ワクワクな空気を増やすことが広告会社の存在意義だと信じております。少なくとも自分とその関わった人がワクワクすることを何かやろう!と決意しました。

決意はしたものの「で、何やんの?」はなかなか決められません。
実際のイベント開催までは、約1年以上かかったのです。

テーマは『マーケティング』
多くの日本企業、特にBtoB企業はマーケティング機能が経営に活かされていないことが多いです。営業担当役員や技術役員は存在しても、マーケティング担当役員、いわゆるCMOがいる企業はまだ少数であることがそれを物語っています。

グローバルマーケットにおいてマーケティングが活用されていない経営は極めて不利です。米国を中心としたグローバル企業はマーケティングをど真ん中に経営戦略を立てています。マーケティングなしでそんな企業と戦うのは、恐ろしく時代遅れな例えをすれば『竹槍でB29を落とす』ようなものでしょう。
日本市場もグローバルマーケットの一つです。

私は「マーケティングは経営の最高の機能である!」と思っております。「どんな機能か?」と言えば、「選ばれる、選ばれ続けるための機能」です。デジタルで選ばれることをデジタルマーケティングと言います。イベントで選ばれる場合はイベントマーケティングですね。もちろんそれぞれ単独で行われるのではなく経営の機能として戦略的に実行されます。

『マーケティングは経営の最高の機能なので、これを活かせば私たちの働き方は変化し、もっとワクワクが増える、はず!』
と考えました。

このテーマに賛同いただける経営者やマーケターを中心に、一緒にLIVEイベントを開催し、そこで考えて、つながっていく場を数多く提供すること。これは、私たちが広告会社として選ばれていく、私たち自身のマーケティング戦略なのです。
ですので怪しいわけでも、慈善事業でもありません。



そして、このイベントの1番の目標は、来場者数やもちろんその場でのリードの獲得ではなく
『Bigbeat LIVEっていいよね、うちでもあんなイベントがやりたい!』と感じてもらうことです。


長々と『なぜ開催を決意したのか?』を書きました。
なぜかと言えば、結局この真ん中の想いがイベントを開催する意味であり
そのイベントのデザインが熱量につながっているからです。

主催イベントは経営的には大きな投資です。
だからこそ、なぜやるのか? どうなったら成功なのか?
を担当するマーケターが経営陣としっかりニギることが最重要です。

 

⒉    イベントの本質とは何か?

上に述べた、なぜやるのか?がはっきりとしていることが前提です。

その上でイベントをデザインしていけば、イベント会場には自社の経営がそこに映し出されます。過去から現在までの経営、そしてこれから向かうべき道しるべのようなイメージです。

経営とは、”経(仏教のお経と同じ意味です)” つまりは ”大切なこと”を、”営む” すなわち ”実行していくこと”です。企業に大切なこととは、その理想や理念であり存在している意味です。主催イベントには、その経営の結果が反映されます。
いらっしゃっていただきたい人は毎年参加しているか? 
パートナーさんはどう感じているか?
そして参加された方はどんな思いを持って帰られたか? 今時であればTwitterなどSNSでその答えを知ることもできます。
もちろん、いい話ばかりではなくマイナスのギャップを感じることもありますね。その事実は未来への道しるべとなります。

BigbeatLIVEで創りたかったシーンを1枚切り取ったイメージが以下の写真です。



当日のセッション終了直後に、オリジナルで造ったクラフトビールを片手に、登壇者、参加者そして当社の仲間たちが会場で乾杯しました。この場で誰がどんな想いでいるのか。ここには、まさに1995年から20数年の経営のこれまでと、これからの未来が現れています。

もう一つ同じくらい経営に大きな意味を持つものがあります。それはインナー、社員たちの関わりや意識の問題です。
私たちは登壇していただく方々を自分たちで探し、お願いに行きます。
そこでは「このイベントをなぜやるのか?」。その意義や自分たちの思いを一人一人が話さなければなりません。
これは結構難しいことです。
また、会場では、多くの顧客の顔を見たり話をすることもできます。
日々自分たちの仕事はどんな意味を持つのか?
どんな人のために働いているのか?まさに五感で感じることができるのです。もちろんマイナスのギャップにも気づきます。

Bigbeat LIVEは、担当者がこうやって胴上げされるのが恒例です。


(オメデタイ経営です)

 

⒊熱量あるイベントのつくり方




前に述べたように、なぜそのイベントをやるのか?とその開催の物語つまり成功の一枚のイメージがあることを大前提で言えば、これはもう、登壇していただく方(それが社内でも外の人でも)の熱量次第です。「資本金や売り上げがいくらで、、、、」みたいな自社の紹介を長々される講演はつまらないです。自社紹介はもちろん必要ですが、私が参加者であれば、知りたいのは目の前の貴方のこと、貴方の思いや、熱です。そのために会場に足を運んでいるのです。
Webに出ているような会社概略は面白くないですね。

主催者が伝えたいことを、冷まさず、より熱を持って伝えていただける、そんな講演者、登壇者を選ぶことと、その方々により熱量を持って登壇していただけるように準備すること、これが熱を持ったイベントを作るための主催者として最重要なことです。

これがなければ、どんなに立派な会場で、装飾や演出にコストをかけても、高額なギャラで著名人をお招きしても、懇親会で有名寿司店がサービスしても失敗します。 

と、恐ろしく偉そうな事を申しましたが、これを私たちは失敗から学びました。 当初、マーケティングについてこれだけ熱く思ってイベントを開催するのだから、マーケターや経営者はこの思いをわかってくれるはず、を前提で進めてしまい、多くの登壇者の皆様にご迷惑や不快な思いをさせてしまったのです。

 一番重要な事です。 重要な事はやってみて、失敗して初めて身に染みてわかるものですね。

 具体的に、私どものイベントでは、「著名人だからお願いする」はやっていません。「自分たちの伝えたい事をどなたならより強く、代弁していただけるか?」。そのために日頃のアンテナを張って色んな方の発信を受け取らねばなりません。周囲の近しい人に「こんな事を考えているので、どなたか紹介してもらえないでしょうか?」も欠かせません。

そして何より大切なのは、主催者の責任者が直接お話しを伺い、こちらの思いを伝える事です。 


*見るからに熱量の高い登壇者(笑)


あとは、イベント開催前に一席持つ事ですね。個人的にはこれが一番と思ってます(笑)。高知では、宴会のことをオキャクと言って、だいたい大切な事を成す際には、事前にオキャクで盛り上げる事になっております(?)。
毎回高知の明神丸からカツオを取り寄せ、私自身がタタキをつくりました。

 私も今回、翔泳社さんのこのイベントのテーマ『見えないものを視る』に強く賛同し、何より、担当の福島さんの熱意を感じたので、恥ずかしながら、ぜひ登壇させていただきたいと思いました。

 
*登壇者の皆様と

 

最後にメッセージ

BigbeatLIVEのモットーは『勉強になりました、は敗北の言葉』です。
つまり、聞いただけではなく具体的な行動をして欲しい。
具体的な行動につながる何かを得られるイベントにしたいと思ってます。

それは今回も同じです。オンラインの向こう側で「どんな風にしたらイベントがうまくいくのか?」という思いで参加していただいている方からの『いい話です、勉強になりました!』という反応は、例えたくさんいただけたとしても発信者側としては敗北です。
お一人でも良いので、今日の話をヒントに具体的な行動をされて、それにより何かが変化した!がゴールです。

どうでしょう、そんなシーンを想像したらワクワクしませんか?
そんなイベントを主催する会社の製品やサービスは選ばれると思いませんか?
そんな機会(イベントもその一つです)をデザインする人がマーケターであり、
マーケターの想いを具現化するお手伝いをするのが広告屋の醍醐味です。 

・主催者の思いが強く表現される、誰より担当する自分自身がワクワクするイベントを! 

・その一番ワクワクするシーンを一枚の絵として事前に想定する!

・登壇者、講演者に熱い思いが伝わるかどうかが成否を分ける!


という3点をお話ししました。

そして、このような主催イベントは短期的な投資目線ではなく中期的、3年程度のスパンの投資で考える事、ここを経営とニギる事は非常に重要です。
 


最後に、具体的な提案として、
「駅からイベント会場まで看板持った人を立たせる事は、やめませんか?面白くないことの象徴です。」

と提案させていただきました。あの行為はもちろん主催者が来場者への“おもてなし”として行われているものです。時と場合により必要なイベントもありますね、ごく稀なケースで。
私は看板持って立つ人を見るたびに、世の中で叫ばれている『働き方改革』と現実のギャップを感じるのです。まさにやらなくて良い仕事だと思います。

イベントの成否は、主催者の強い思いがまず必要です。「主催者がワクワクするかどうか?」であり、数字的なものやKPIは後付けでも良いと申しました。
「名刺一枚いくら?」のイベント発想からは、熱量の高いイベントはデザインされないからです。

もちろん、事業会社がビジネス領域でやるわけですから、慈善事業でも遊びでもありません。当社も3年間投資することで、営業利益の改善、コンペ率の低下とそれに伴う残業時間減など明らかな数字的改善を実現いたしました。マーケティングとは選ばれることだ、の実践です。

ワクワク&ハラハラのLIVEイベントをやりましょう!
いつでもお手伝いに参上いたします。




 
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