マーケティング 2019.09.10 生き残るためのキーワードは「行動」と「タグの掛け算」 【Bigbeat LIVEレポート⑥】

8月2日に開催され、大盛況のうちに幕を閉じたBigbeat LIVE。広告会社が主催するプライベートイベントとして、国内マーケターが集結する国内最大級のマーケティングイベントです。3回目となる今年のテーマは「Go for it!」。
このレポートでは、3rd Stage「マーケターとしての軸を設定する」で行われた、ホストと登壇者4名による熱い想いのこもったパネルディスカッションの模様をお届けします。

3rd Stage 前編はこちら


 

軸は1本じゃなきゃいけないなんて、誰が決めた?



徳力さん
今回、マーケターの軸がテーマということで。まず僕から質問させていただきたいと思います。

Q: 今の自分に至るまでに1番影響されたできごとは何でしたか?

植山さん
転職先のスタートアップの社長に「お前はアホや」と言われ続けて、挫折したときですね。“自分を変えたい”と強く思って、本をたくさん読むようになりました。『7つの習慣』を読んだんです。そこからグロービスに行って、猛烈に勉強して、勉強したことを仕事に使いまくっていたら、どんどん変わっていきました。

山口さん
僕も“歩く『7つの習慣』”と呼ばれているんですよ(笑)僕は外資系のお客様が原点です。カルチャーがまったく違うところで、毎日しごかれて。今、思えば、あのときに“理詰めで考えること”と“議論を戦わせること”の大事さを刷り込まれた気がします。いい原点を作ってもらえましたね。

島袋さん
僕は大学4年間付き合った彼女と結婚して社会人になったんです。だから“隣にいる人を喜ばせたい”というのが原点であり、“身近な人をどう喜ばせられるか”が僕の軸です。

長橋さん
ショートタームで言うと、たまたま発信したnoteの反響があって、今までやってきたカスタマーエクスペリエンスを深めたいと思ったことが、今の環境に身を置いたきっかけです。ロングタームで言うと、子どもを産んだことですね。子どもを産んで時間の制約ができて、とにかく会社にいる間にできることをひたすらやっていたので、それだけ無理をして働いているのに仕事がつまらなかったら、やっている意味がないじゃないですか。だからこそ自分がやる意味がちゃんとある仕事がしたいと思うようになりました。



徳力さん
面白いですね。植山さんと一緒で、どん底のときのほうが“自分が本当にやりたいことって何だっけ?”と軸を考えるいい機会になったと。では次に、Twitterから質問をいただいているので、そちらを取り上げたいと思います。

Q: 「最近、複数の専門分野を持てという声もありますが、複数の専門性VS一貫したキャリア、どちらを目指されていますか?」

はたして壇上の4人はそういう二択で考えているのか、というところがポイントかもしれませんね。

植山さん
1つの分野を世界でトップ1%にいたら、たぶん食べていけるんですよね。でもそれって大変。そうじゃなくて、例えば僕はインターナショナルグロースでトップ20%にいたとして、他のデータサイエンスや非英語圏でグロースできるといったキャラもあるので、この3つを組み合わせたらあんまりいないよね、と。そんな風に複数を組み合わせてサバイブできるようになりたい。もう1つ話すと、グローバルで通用するには、「俺は何ができると言えること」と「数字で裏付けられる実績があること」の2つが言えればいい。そうやって生き残ろうと思っています。



長橋さん
私はこの7月から欧米系のRPAの会社に入ったんですけど、次は外資にチャレンジしようというのは前から決めていました。なぜかといえば、英語でビジネスができると、その後の可能性がものすごく広がるし、日本企業がダメになったときのリスクヘッジになると思ったからです。なので、複数の専門性というのは職種の並列ではなくて、いろいろなベクトルの要素の掛け合わせでいいと思うんです。私なら趣味でやっているヨガとか、グラレコもそう。今は趣味だけど、いずれ仕事に入ってくるかもしれないし。

山口さん
僕も近い。実は14年半ほど単身赴任をしているので、土日に時間はあるんですけど、シームレスで仕事とつながっていて、めちゃめちゃ忙しいんですよ。本を読むとかいろいろなところに行くとか。自分の中の振れ幅が大きいほど判断がしやすくなるので、いろいろな景色を見て、いろいろな人に会っておいたほうがいいかなという感じですね。

島袋さん
自分のタグというかラベルというか、インデックスを付けることは武器になると思っています。僕はパルコで商業施設運営をしていたので、防災センター要員講習も受けていますし、食品衛生管理者の資格も持っていますし。かつ、ソーシャルやアドテクもできる。さらにアプリのラベルが欲しくて、今の会社に入りました。

徳力さん
この質問は日本企業の方からよく挙がるものだと思うんですね。今までの日本はゼネラリスト人事だったのに、最近になって急にスペシャリストにならなきゃいけないと言われて、みなさん0 or 1の思考になりやすい。本当は組み合わせが大事なのに、スペシャリストを名乗るためにはキャリアがブレちゃいけないんじゃないかと思い込みがちなんだと思います。

個人的には、日本の部活文化が結構影響してると思っています。野球部がサッカーしてたら怒られる、みたいな。道を極めるのに失敗したら、即アウトとか。ビジネスにおけるキャリアを考える上では、この価値観は、真剣に考え直したほうがいいと思います。

 

マーケターとは“自分が会社のマーケティングにどう役立てるか”と考えている人



徳力さん
次の質問です。

Q: 自分のことをマーケターだと違和感なく名乗れるようになったタイミングはいつでしたか?」

そもそもみなさん自分をマーケターだと定義していますか?

植山さん
してないです。

長橋さん
していません。

徳力さん
これも、日本のマーケティングあるあるですよね。僕はマーケティングを市場創造と定義したほうがいいと思っているタイプです。市場創造しようと思ったら、会社全体で考えないといけない。マーケティングはマーケターだけがやればいいというものではないんですよ。どこの所属であろうと関係ないんです。“自分が会社のマーケティングにどう役立てるか”と考えていることこそが、マーケターの軸を立てるということなので。それに付随した質問を取り上げたいと思います。

Q: 10年後、どんな仕事、ポジションにいると思いますか?
Q: キャリアアップの最終目標は?会社経営に興味はないのでしょうか?


山口さん
実は31歳のときに会社のパンフレットに載ることになって、この質問を受けたことがあるんですよ。でも当時は仕事でめちゃめちゃつらいときで、苦し紛れに出した答えが「山口さんみたいになりたいと言われる人になりたい」でした。それからは人のいいところを集めてコラージュすればいいと思うようになりました。だから目指す特定のポジションも仕事もないですが、10年後にどこにいるかはわからないけれど、人にエネルギーを与えることをやり続けていたいですね。



島袋さん
正直、10年後にアプリがあるかどうか…。

徳力さん
そもそもスマホが出てきたのも、つい最近のことですからね。

島袋さん
なので、10年後は今はない仕事に就いている気がしますね。そのための準備運動なのかなって。そのときのロールは、まだプレイヤーなのか経営者なのかはイメージがつかないというのが素直な感想です。

長橋さん
私も全く同じことを言おうと思っていました。むしろ10年後には、今ない仕事、今ないポジションに就いていたいなと思っていて。そもそも私のやっているカスタマーマーケティングの仕事って、確実に10年前にはなかったし、想像もついていなかったと思うんですよ。RPAの技術自体も当時はそういう名前じゃなかったので。想像がつかないところにあえて行きたいですね。

植山さん
僕は10億人のうち8億人くらいに笑顔を与えられるようになっていたいですね。そのために「インターナショナルグロースをやるなら、こいつやね」とグローバル市場で思われるようになっていたいです。そのとき1社で勤めているのか、複数の会社を手伝っているのか、わからないですけど。

徳力さん
植山さんはスペシャリスト志向なんですかね。御三方はどちらですか?

山口さん
究極は大学の先生になりたい。京大ドクターの親父を越えるためには、それしかないかなと。いろいろな人と関われるし、若い人の人生を変えるのが面白そうだなと思っています。

徳力さん
面白いですね。



島袋さん
僕は現役で、まだまだプレイヤーとしてやっていきたいので、スペシャリストなのかな。

長橋さん
私はマネジメント志向があるわけではないのですが、新しいことをやろうと思って、ワクワクできる何かがあって、そこにチャンスがあれば飛び込んでしまう気はします。

 

令和の時代を生き抜くために、行動することから始めよう

徳力さん
それでは最後の質問です。僕は昔、セミナーに参加するときに、聴衆とスピーカーは全く別の人だと思いこんでいたんですよね。僕は一般サラリーマンだから壇上には上がれないと。でも壇上と会場って、実はめちゃくちゃ地続きで、参加者のみなさんの中にもこっちに上がったほうがいい人はたくさんいると思うんです。ただ何か発信してみるとか、一歩踏み出してみることさえしてもらえれば、つながるはずです。1年あったら十分に変えられると思うので、明日からは何か行動を変えていただきたいと思っています。
ということで、最後におひとりずつ、参加者のみなさんがマインドセットを少し切り替えられるようなヒントをいただいて、締めにしたいと思います。

島袋さん
本当にフラットだと思います。名刺交換しなくてもTwitterでフォローしていただいてもFacebookに申請いただいても構いませんので、ぜひ地続きでいきましょう。

長橋さん
徳力さんのおっしゃる通り、Bigbeat LIVEはここの垣根が限りなく低いので、私もこんな壇上でお話しさせていただくとは1年前に思ってもみなかったですし。言われ尽くしていますが、発信すると自分に返ってくるという小島さんの言葉は、本当に真実だと毎日思っています。



山口さん
行動に移すって、大事だと思うんですね。他人から見たらくだらないことでもいい。それをどれだけ続けられるか。僕は去年のBigbeat LIVEで人生が180度とは言いませんが12度くらい変わりました。だとすれば、みなさんも絶対にできるはずです。

植山さん
僕も行動することは本当に大事だと思います。行動し続けたら人生を変えられる可能性が増えますが、行動しなければ絶対に変わらないです。行動するためには、強い想いが必要になってきます。僕がやっている1つの方法は、死ぬまでにやりたいことリストを嫁と作っているんです。2020年までにサンフランシスコに移住という目標だったのが、2019年にシドニーになっちゃいましたけど、まぁいいかなと。要は長期的になりたい自分を真剣に考えてみるというのは、すごくオススメです。“時間もお金も場所もすべての制約を取っ払ったら、何をやりたいか”を考えてみるといいかな。そうしたらなりたい自分が描けて、そのために何をしようかと考えられて、行動に移すモチベーションが生まれるはずなので。僕で助けられることがあったらツイートしてください。

徳力さん
今、時代がめちゃめちゃ変わったんですよね。インターネット前後で全く別の時代になっています。昭和の時代からインターネットが来て、我々ビジネスマンの仕事のやり方も劇的に変わっているはずなんですけど、実は仕事の現場はあんまり変わっていない。特に大企業は、昭和の仕事のやり方が残っていて技術的には全く違う世界にいるのにパラレルワールドのようになっていると思います。たぶん今日ここに来ないようなみなさんの苦手な上司は、昭和の世界に生きていると思いますが、実は我々はもう令和の時代にいて、これだけ個人が使えるツールがある状態にいるんですよね。ぜひ皆さんも一歩を踏み出して、この後の打ち上げもフラットに楽しんでもらえればと思います。今日はありがとうございました。


 
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