社長コラム 2019.05.02 『JAPAN RECOMMEND』タイで化粧品の展示会企画にチャレンジ!

BigbeatはUBM社と『ASEAN Beauty』という展示会における協業の契約を結びました。

UBM社はイギリスに本社を置くメディアグループで、世界各地でトレードショー、展示会を主催しています。『ASEAN Beauty』は そのグループであるUBM Thailandが主催する美容、化粧品業界向けの展示会です。


ASEAN Beauty展示会

毎年5月初めにバンコクの国際展示会場で3日間開催され、約1万人の化粧品、美容関係のプロフェッショナルがタイ国内のみならず東南アジア各国から来場する、業界では最大規模のB2B展示会です。
そのような業界屈指の展示会にも関わらず、日本からの出展企業が極めて少ないことを改善するために UBM Thailandからご相談をいただきました。ちなみに、2018年日本企業の出展社数はわずか2社とのこと。

展示会を一番有効に活用できるのは、その業界に大きな変化が起きる前後です。
ITやテクノロジー系の産業ではいわゆるキャズムを超える前後数年が一番盛り上がります。最近で言えば、AIやIoTですね。

東南アジアの国々では、経済の発展と共にこの分野が伸びていることは容易に想像出来ます。
日本からの参加企業がこのように少ないことを聞いた際には、”すでに関連の日本企業の多くは東南アジアへの進出を果たし、ある一定のシェアを奪っているので、B2B展示会の役割は終えているのだろう”  と思いました。
ところが、その考えは間違っていました。

タイ国内での日本製化粧品のシェアは2%を下回ります。
ちなみに韓国のそれは20%に迫る勢いで、『ASEAN Beauty』への出展も韓国の企業は30社を超えています。


ASEAN Beautyで、KOREAパビリオン

UBM社から協業の話を伺った際、この現状を知り少し驚きました。
タイでは化粧品も『MADE IN JAPAN』は強いはずだ、と勝手に思っておりました。

私がタイ王国、バンコクを初めて訪れたのは1980年代半ばのことです。
バンコクはアジア諸国そしてインド、ネパールを目指すバックパッカーの拠点で、世界から多くの若者が集まっていました。バックパッカーと書けばまあまあカッコいい(?)ですが要は貧乏旅行者。たむろする宿は怪しい空気が満載でした。

以来30数年、タイは大好きな国の一つでちょいちょい訪れています。
東南アジアの代表的な都市としてバンコクが発展したのはご存知の通りです。その発展と日本企業の関係は深いもので、多くの製造業がタイに進出し、ドンムアン空港からのハイウェイの両側には日本企業の広告が並び、車はもちろん、電気製品や食品など多くの『MADE IN JAPAN』で溢れていました。

ところがこの数年、少し変化を感じます。
例えば、先日バンコクで利用した新しいホテルの部屋には日本製のTVや電気製品はありませんでした。バンコク市内で見られる広告でも日本企業の存在感は低下したように感じます。
タイだけではなく、今年訪れた中国や香港でも同じように感じました。
私はここにおいても、日本企業のマーケティング力の低さが大きな要因の一つではないかと考えます。
私どもが毎年夏に主催するイベント『Bigbeat LIVE』の講演で、シンフォニーマーケティングの庭山代表、アメリカの著名なインフルエンサーであるニール・シェーファー氏は共に『日本企業のマーケティング機能はアメリカ企業に比べ約10年は遅れている』と口を揃えます。

10年という単位かどうかはわかりませんが、米国系企業のマーケティングのお手伝いを20数年してきた私も、日本企業のマーケティングへの社内リソースの投資意欲は低いと感じます。70〜80年代、多くの日本企業が海外進出した当時より、グローバルビジネスについての情報は桁違いに多くなり、得やすくなりました。海外でのトレードショー、展示会に参加し進出するための、情報面においてのハードルは確実に下がっているはずです。しかし『ASEAN Beauty』に限らず海外での展示会への出展に多くの日本企業は積極的ではありません。
高度経済成長からバブル期まで続いた『クオリティの高い製品をローコストで作り、そこに強い営業組織があることが最重要である』という日本型経営のマイナス面です。

日本本社でもマーケティングへの投資は少ないわけですから、海外展開においてはなおさらです。海外で自力でマーケティングをしない、というかできない。特約店契約をしてマーケティングから販売まで現地の販売店にお任せになる事が多いのが現状です。

マーケティング主導型の企業は、まず『この国では誰に何が売れるか? 』を考え、そのためのストーリー創りから始めます。
マーケティングを最高の機能として考えた、マーケティングファーストの経営と言えます。
タイの化粧品市場において日本企業が韓国企業の1割ほどのシェアでしかないことも、B2Bマーケティング戦略の脆弱さが一つの原因ではないかと考えました。
前置きが大変長くなりましたが、このように考え、化粧品、美容関係の日本企業がタイ王国、そして東南アジアへ進出するきっかけとして、展示会『ASEAN Beauty』を有効活用し、マーケティングにおける一つの有効な戦略を創ることを目的に、UBM社と契約を交わしました。

広告会社はクライアントと共にマーケティング戦略を共有し、コミュニケーションプランを策定し実行することで、クライアントの経営を加速させることがミッションです。展示会はそのための、多くあるコミュニケーションツールの一つです。

私どもが目指すのは、展示会主催者が海外出展者を誘致するための窓口機関、いわゆる出展コマ販売のためレップ(日本の出先機関)ではありません。展示会をキッカケに、タイを始めアジア諸国への進出に効果的なマーケティング施策をすることです。
そのためには展示会に出るだけでは不十分なのですが、先に述べたように『海外での展示会に出るだけでも大変!』という現状を鑑み、事前と事後の施策と展示会当日のプランを組み合わせてオリジナルプランを策定しました。

それが『JAPAN RECOMMEND』です。


JAPAN RECOMMEND


キラリスタさんがJAPAN RECOMMENDについて説明しています。
個々の企業やブランドがそれぞれ小さなスペースで出展するのではなく
『JAPAN RECOMMEND』という共通のブランドを掲げての共同出展という形態をとっています。これはイベント当日の企画だけではなく、タイの有力なインフルエンサーであるキラリスタさんをアンバサダーに招聘した情報発信など、展示会を中心としたストーリーを描いています。


タイのビューティーインフルエンサー



キラリスタさんとミャオさん


JAPAN RECOMMENDのFACEBOOKページ


会期の半年前には、キラリスタさん、主催者であるUBMタイランドの責任者の方、化粧品業界の著名コンサルタントを東京に招いてホテルニューオータニにてセミナーを開催し、このプランを発表しました。


ASEAN Beautyのセミナーで、ビッグビートとUBM Thailandと講演者

『ASEAN Beauty』は5月2日から3日間開催されます。
最終日の5月4日はタイ王国の新しい王様が即位の日とのことです。
タイ王室と日本の皇室は親しい関係ですね。奇しくも、そんな両国の時代の変わり目の最中の開催です。


タイの国王様

展示会の模様や『JAPAN RECOMMEND』の成果、今後の展開につきましてはこちらニシタイやその他のメディアでもお伝えしてまいります。

以上、初日の朝、現場で感じたことの徒然でした。
 
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