マーケティング 2019.04.19 〈ブランディング×マーケティング〉生・おきゃくvol.7レポート

生・おきゃく Vol.7 開催!

生・おきゃく Vol.7のテーマは「ブランディング × マーケティング」。
会場であるビッグビートのプレイスタジオには約20名のBtoBマーケター(内、初参加者は約5名ほど)が集いました。

マーケティングと密接な関係にある「ブランディング」についてお話しするのは、株式会社イマジナ 代表取締役社長 関野吉記さんです。
まず関野さんに「企業の成長に貢献するブランディング戦略」について語っていただき、その後ビッグビート マーケティングディレクター 野北瑞貴が当社で実践しているブランディング × マーケティングを紹介しました。

≫株式会社イマジナについて
 

採用、理念、PR……ブランドの不統一が訴訟を招く!?

関野さんが社長を務めるイマジナは、国内外2,600社以上へのブランディング実績を持ち、ブランド価値を高めることでクライアント企業の事業成長を支援する専門コンサルティング企業です。
 


もともと25年前にニューヨークで事業をスタートした時には、人事コンサルティング事業が中心でした。
グローバル環境下の人材雇用と人材マネジメントは、日本のそれとはルールがまったく異なっており、これがもとで訴訟に発展するケースが少なくありません。関野さんによると「北米に進出している日本企業のうち、現地従業員から訴訟される確率は70%ほど」とのことです。

なぜ日本企業は、現地の従業員から訴訟されるケースが多いのでしょうか。

関野さんは「多くの企業では、採用で語る言葉、企業の理念やマネジメント、外に向けてPRする言葉、こういったものをバラバラで設計しています。本来は統一感をもって進めていくべきですが、個々にメッセージを組み立てるため、辻褄が合わない点や矛盾が出てきます。それがつけ込まれたり、揉めたりする原因になる。日本国内なら大きな問題にならないことでも、多民族国家の北米では訴訟に発展することが多いのです」と説明します。
 

根本からブランディング戦略を立てることがなぜ必要か



いくら綺麗な店舗で形を整えようと、美辞麗句な広告宣伝を展開しようと、従業員が自社に誇りを持って働いていなければ、うわべで作ったものはすぐ壊れてしまいます。そうした事例を多数見てきた同社が大切にしているのは「ブランドは社員から生まれる」という真理です。
人材採用や社員教育、マネジメント、PRとブランディングがつながっていることで、その企業が持つ唯一無二の価値が作られていく——、これがイマジナの考えるブランディング戦略です。

最初に取り掛かるのは、企業のコンセプトやカルチャーを明確化すること。
そこからブランドストーリーを作り直し、わかりやすく共有・共感を促すことばで理念を表し、採用戦略や報酬設計、マネジメントのやり方まで組み立てていくそうです。
もちろん、簡単にはいきません。規模でいえば、「従業員1,000人以下の企業であれば3年、200人以下でも2年ほどは必要です」と関野さんは説明します。

理想としては、創業の時から企業理念や自社の価値を明確にし、その理念に基づいてブランドを設計していくことでしょう。ところが多くの企業は、伸び盛りの勢いそのままに海外に進出し、現地の人が共感できる理念や価値を訴えられず、壁にぶつかり撤退してしまいます。さまざまな人種や文化、価値観を持つ海外に進出する場合、日本国内のように「阿吽の呼吸」や「いわなくてもわかる」は通用しません。だから時間をかけて、根本的なブランディングを組み立て直す必要があるのです。
 

ブランディングで「勝つ」ための2つのポイント

講演ではさらに、ブランディング戦略の立て方や、優秀な人材が集まる企業作りのノウハウまで話が進みました。そのなかから1つ、共感されるブランドを作る上で、イマジナが実践しているポイントを2つ紹介しましょう。



関野さんは、「従業員やステークホルダー、顧客が自社ブランドに共感・共有するには、ストーリーが重要です」と訴えます。

たとえば、大人になっても童話や昔話のストーリーと共に勧善懲悪ルールを記憶しているように、わかりやすいブランドストーリーで自社の価値や理念を説明できれば、それは多くの人の記憶に残ります。「難しい言葉やかっこいい単語である必要はありません。わかりやすい言葉で組み立てたストーリーがあれば十分です」と関野さんは説明します。
そして、採用時からその会社を卒業するまで一貫したブランドストーリーを体現できる体制を社内に築いていく。これが「インナーブランディング」と呼ばれる施策です。

一方、そうした自社の思いを外部に伝えていく「アウターブランディング」でも、一貫したストーリーが大きく貢献します。この両輪を回していくことで、ブランド価値を上げていくわけです。

もう1つ大事なポイントは、「すぐやる」こと。

目先の営業案件の対応や資金繰りなど、事業を回す方を優先しがちですが、優先度が高い仕事を重視することが正しいとは限りません。むしろその部分で他社との差はつかないのです。
「だからこそ、すぐやる会社が勝つのです」と関野さんは断言します。

そして具体的なクライアント企業の社名や実例を交えつつ、事業成長を促すブランディング戦略の具体的なノウハウを惜しむことなく公開し、大盛況のうちに講演を終えました。
 

ビッグビートが展開するブランディング × マーケティング

続いて登壇した当社のマーケティングディレクターの野北は、まさに当社においてインナーブランディングとアウターブランディングに取り組んでいるところです。

ですが、本人いわく「それがなかなか難しい」とのこと。
ブランドを体現する「ブランドアイデンティティ」と、その価値である「ブランドバリュー」の2つがブランドを構成すると考えており、ブランドが認知されている状態とは、この2つがイコールで結ばれることにある状態をいいます。たとえばコカコーラのボトルやロゴを見て、清涼感を感じるというイメージです。
 


このイメージを確立するには、「形を作って終わりではなく、社員一人ひとりがそれを体現し続ける、つまり継続性が必要です」と野北は語ります。当社は、自社の目的や戦略、そして具体的な事業内容を体現するものとして「ビジネスに物語を」というキャッチコピーを作っています。
また、DNAブックを作り社員に配ることで理念やビジョンの共有をしております。しかしながら、実際に社員にヒアリングしてみると、代表の濱口の想いと社員個々人の想いにズレが生じていたり、まだ社内に十分浸透しているとはいえません。つまり、今後改善の余地がたくさんあるということです。

一方、アウターブランディングとしては、この「生・おきゃく」も含め、当社のコミュニケーション活動である「Bigbeat LIVE」やFacebookコミュニティ「おきゃく」、コーポレートサイトやオウンドメディアに至るまで、どういうストーリーを載せるべきか、ずらしてはいけないポイントは何かを決めています。

実をいうと、この「わかりやすく共感できるストーリー作り」は現在試行錯誤中です。ただ、ビッグビートのブランドとして「これは違う」というラインはあるので、それを削ぎ落とし、ブランドとして提唱していくストーリーを作っているところです。

顧客にどう選ばれたいのか、私たちはどのようなブランドなのか、そのアイデンティティとバリューをわかりやすく伝えることがマーケティング活動です。
最後に野北は、「ブランディングとマーケティングは共に『企業が選ばれ続けるための活動』。この両輪を整備しながら、今後もブランディング × マーケティング活動を続けていきます」と宣言しました。
 

変わりたいなら、いま行動するしかない!

野北の話をきっかけに、会場は一気に「課題や疑問を赤裸々に打ち明けてもいい」とリラックスした雰囲気に変わりました。
 


続いての質問タイムでは、「大企業のブランディング作りは難しいことが多いというが、その理由は?」「何をすれば従来のやり方から脱却し、企業のマインドが切り替わるのか」といった質問から、「営業偏重の自社の体制をブランディングで刷新するには」「マーケティングとブランディングの境目がわからない」といったものまで、参加者の声が次々と寄せられました。

関野さんは「大企業は意思決定者の周囲に利害関係者が多く、なかなか意思決定がなされない傾向があります」としながらも、それを解決するポイントとして調整役(ファシリテーター)の重要性を訴えました。
「調整役としては、気配りができ、そして人当たりが良くて多くの人から受け入れられる人材が適任だと思います」(関野さん)というアドバイスも。ブランディングとマーケティングの違いについては、「何もわざわざ分ける必要ないのでは」というスタンスです。

大事なことは、何かを変えたいのなら、いま行動するしかないということ。
その力強いメッセージに、大きくうなずく参加者の方も見受けられました。
 

生・おきゃくの真髄、懇親会の様子を公開!



続いては、本来の「おきゃく」を体現する懇親会の時間です!

メインは高知名物の「カツオのたたき」。代表の濱口が高知の水産業者から特別に仕入れたもので、公にはできませんが「これが楽しみで生・おきゃくに参加する」というマーケターの方もいるくらいです(!?)
 


そのほか、関野さんが留学されていたロンドンの名物・フィッシュ&チップス、お寿司などのおつまみが並び、ビールや焼酎、土佐の日本酒などが振舞われました。もちろんお酒が飲めない方に向け、ノンアルコール飲料も用意しております。



おいしい料理にお酒が進み、マーケターの方の表情も徐々に和やかに。関野さんに「うちの会社はどうすれば変わるのか」を真剣に質問したり、初めて顔を合わせたマーケター同士で意見交換を図ったりなど、楽しい歓談の時を持ちました。

生・おきゃくは、難しいテーマを堅苦しく議論し合う場ではありません。課題を共有して一緒に成長していく場です。講師の方も参加者も、そしてビッグビート社員も同じ目線で、宴を楽しみ、明日の行動を変えていく楽しい場です。
これを読んでいるみなさんも、ぜひ次回の生・おきゃくにご参加ください! お待ちしております。
(取材・執筆 岩﨑史絵)


 
「生・おきゃく」って?「おきゃく」とは、土佐弁で「みんなで集まり、飲んで食べて踊り、歌い、楽しい時間を共有する」という意味。
当社代表である濱口の出身地・高知県にちなみ、BtoBマーケターの方が集い、ナレッジを共有したりみんなで課題や悩みを話したりするコミュニティを「おきゃく」と名付けました。

現在、BtoBマーケター約500名が集うFacebookコミュニティ「おきゃく」を運営すると共に、実際に集まって、課題や悩み、ノウハウや事例をライブで共有するイベント「生・おきゃく」を定期的に企画・開催しています。

~生・おきゃくの2つの約束~
1. 「勉強になりました」で終わらせず、FacebookやTwitterを使って、気付いたことを必ずアウトプットする
2. 質問や疑問は全員の前で問いかけ、共有する
 
 
 

 

 『生・おきゃく』Vol.8
〈マーケティングトレース〉4/23(火)&5/8(水)2日間 開催!


 【概要】
1日目:2019年4月23日(火) 19:00~21:00(受付18:30~)
2日目:2019年5月8日(水) 19:00~21:30(受付18:30~)
(※本イベントは1日目、2日目の両日の参加が必要になります)

≫≫イベント詳細・お申込みはこちら ※本イベントは終了いたしました
≫≫マーケティングトレースの様子
 

 『生・おきゃく』~Bigbeat LIVE開催決定記念Meet-up~
4/25(木)開催!


マーケターの真夏の風物詩「Bigbeat LIVE」を2019年も開催します!
Meet-upでは、Bigbeat LIVEの内容を一部ご紹介するとともに、
ゲストにDropbox Japan株式会社 植山 周志さんを迎え、講演いただきます。ぜひご参加ください。

 【概要】
2019年4月25日(木) 19:00~21:30(受付18:30~)
≫≫イベント詳細・お申込みはこちら ※本イベントは終了いたしました

≫≫Bigbeat LIVEについて
 
 
 
【NEWS】ビッグビートから新刊が出ました♪
最前線で走り続けるトップマーケター12名を招聘して行われた、ビッグビート主催のカンファレンスイベント「Bigbeat LIVE」(2018年開催)。そこで語られた、トップマーケターたちによる「現在進行形の挑戦」をテーマにした全講演を一冊に凝縮!マーケター必読書です!
『Bigbeat LIVE BOOTLEG 2』濱口豊【著】
Amazonにて発売中!

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