社長コラム 2018.08.07 チャリンと鳴らすマーケティングを!ハマグチの徒然

ビッグビート代表の濱口です。

昨年に続き、2018年も8月1日に2回目のBigbeat LIVEを開催しました。

『マーケティングで経営を変える!』をテーマに、400人を超えるBtoB企業の経営者・マーケターの参加者と、12名の登壇者、そして主催運営する私たちBigbeatが一体となるイベントを目指して、迎えた当日。3部構成、12名の皆さまのお話はいずれも興味深い内容でした。各セッションの講演レポートは順次こちらに掲載して参ります。また、全編をひとつのストーリーとして編集したものも何かしらの形でパブリッシングしたいと考えております。いずれも少しお時間ください。

さて、今回は、当社のような広告会社がなぜこのLIVE・イベントを主催するのか、2回の開催過程でどんな気づきがあったか、など、言い出しっぺである私の想いの徒然を述べさせていただきます。よろしかったらお付き合いください。


 
メディアでもない、しかも無名の広告会社がこんなテーマでイベント開催? アリエナイ。すぐに会場キャンセルして登壇者に謝って中止した方が賢明!
 
新たなプロモーションイベントの体裁? 講演者の会社から協賛金貰ってるんでしょう?
 
このなような、『なぜやるの?』という疑問やアドバイスを、主に親しい方々からいただきました。特に同業者、先輩経営者の方々からいただくことが多かったです。
 
昨年、今年とも全くの自主興行です。

メディアの告知のご協力や、企画面でのアドバイスは皆さまからありがたくいただきましたが、金銭的スポンサードはどちらからもいただいておりません。(余談を言えば、ご登壇の皆さまへのお礼も些少で恐縮する次第です。)
 
広告会社は自らの製品やサービスを開発する事は稀で、クライアントの側にいてエージェンシーとしてコミュニケーションを創り出すのが主たるビジネスなので、「黒子のような存在であるべき」との考えが主流です。
 
そんな広告業界、そして自社の在り方についてを起点として、この国の未来について考え始めたことが Bigbeat LIVE開催のきっかけとなりました。
 
私たちのビジネスは、表現をして、それを必要な人に伝えることで、伝えられた側に何かしらのアクションを発生させることです。
TVコマーシャルもWEBも電車内の広告、展示会のようなイベントも原則は同じ。
誰に何を伝え、結果どのようにアクションしてもらうか? をデザインし実行する。
それらは全てクライアントの経営戦略、マーケティング戦略に基づいたマーケティング4Pの1つのP(promotion)からのアウトプットです。

『100円落としてもなんか音がするけど、君から買ったこの広告はチャリンとも鳴らないねぇ、ハマグチくん!(苦笑)』

20代の頃、クライアントの旅行会社の社長さんから言われました。私がプランした新聞広告が無反応、全く電話が鳴らなかった時の会話を今でも覚えております。ビジネスとしては(笑)では済まされません。※もちろん多くの成果もありましたので、お取引は継続しました。
 
シンフォニーマーケティング代表の庭山さんは、『千円入れたら1万円出てくる(ようにする)のがマーケティング!』とおっしゃいます。

誤解を恐れずに言えばこのように、千円入れたら五円玉5枚くらいに両替される事もある(場合により何も出てこない、チャリンとも鳴らない)、それもマーケティングの結果だと思います。

ここだけ取れば、マーケティングは宣伝広告で、宣伝広告は一か八かのギャンブル?と思われるかもしれません。

違います、ギャンブルではなくマーケティングなのです。ギャンブルではなく経営なのです。マーケティングは経営上では人財に並ぶ投資です。税務上は全額経費計上できる素晴らしい投資です。
 
広告会社サイド視点からのマーケティングは
自社の最たる顧客は誰かを想定し、その顧客が自社製品、サービスに触れた際の感動のシーンを一枚の絵のすることである』と定義します。(by濱口)

特に「一枚の絵にする」というところが広告会社の目線であり、存在意義です。
「一枚の絵」とは、想定顧客の感動のシーンを切り取ったイメージです。もちろんそれは、15秒の動画でも、一言のコピーでも同じ意味です。
ここをしくじると、いや考えずにやると、それはギャンブル。かなりの確率で失敗します。
『チャリンとも鳴らない』事態を引き起こす可能性が大です。
 
以下はBtoBマーケティングの活動の定番である、例えば展示会においてのRFPあるある事例。
 
□出展の目的は以下の3点
・新規顧客の獲得
・既存顧客の満足度向上
・知名度の向上
□KPI:名刺1000枚
□テーマは特にないので広告会社らしいアイデアで自由に提案して下さい
□予算は、〇〇百万円 (5社競合、コンペ費用なし)
 
少々誇張した表現ですが珍しくない事例です。これはマーケティングの定義から全く外れているのですが、私どもはじめ多くの広告会社やイベント会社は「イエッサー!」と2週間ほどプレゼンテーションの準備に励みます。ブースデザインの良し悪しで、だいたい3割前後の確率でそのビジネスを受注し、懸命に展示会イベントを企画制作して、1000枚の名刺とともに納品します。めでたしめでたし!

…実はあまり「めでたし」ではないビジネス、労働生産性。
クライアントの担当者さんと私たちが懸命に作ったそのイベントは労力、コストと比例して経営や世の中のお役に立っているのだろうか?と考えます。クライアントの投資はその先の顧客のお役に立っているのでしょうか?『チャリンとも鳴らない』ほどひどくはない思うのですが……
 
これは特にBtoB領域でマーケティングが機能していない代表例です。展示会だけではありません。PVを稼ぐだけのコンテンツマーケティングや客寄せパンダ頼みのカンファレンスイベントなどでも、そんなシーンに立ち会う事があります。広告会社も共犯です。
 
ついでに言えば、コンペで敗れた4社(だいたい7割負ける)は2週間かけたコストを次のどこかの案件で回収しようと躍起になります。広告会社の経常利益は良くて3%ほど(良くてです)。6~7割は負けるわけですのでプレゼンにかかるコストはトータルすると大変です。
うーーん、誰がHAPPYになるのでしょう?
 
それは誰の何のためにやるのか?どうなったら成功か?顧客の成功とは何か?から考えていけば、「カッコいいブースを造る」「無差別に1000枚の名刺獲得」は多くの場合は最終目的ではないはずです。
 
私たちはマーケティング戦略に基づいたプロモーションの成果について責任を持つ広告会社になりたいと考えています。クライアントのマーケティング投資の成果を共に考え、責任をもつということです。案件ごとのコンペはそうではないので、ある意味無責任かもしれません。マーケティングによる、コミュケーション、プロモーションの『成果』を買っていただきたい!その設計と実行ができなければ、広告会社は要らないのです。展示会やWEB、広告の制作はそのサービス領域におけるアイテムなのです。

この理想を実現していくためにはクライアント企業のマーケティングが正しく機能することが前提です。いや、その前の大前提は私ども広告会社が成果を出せるのか?少なくともその姿勢を表明しているかですね。

マーケティングを訳したらプロモーションや宣伝広告、になってしまっては結局は綺麗にブースをデザインしておしまい、となります。チャリンと鳴るか否かは神頼みに近い。
 
『アメリカ企業に比べて日本企業のマーケティングは10年以上遅れている』(庭山さん)

日米で活躍するマーケター、ニール・シェーファー氏も同様のことを言います。
何年という部分は感覚的なものだと思いますが、日米のBtoBマーケティング事情を良く知るお二人が口を揃えるのですから的外れではないでしょう。
 
マーケティングが経営の最高の機能として位置づけされていない、つまり経営リソースの投資がされていない事が一番の原因です。CMO不在はおろか、マーケティング部そのものがないケースも珍しくありません。自社内にマーケティング要員が不足している場合はアウトソースしてチームを組むことも選択肢の一つですが、アウトソース先のパートナーであるべき広告会社も上に述べたような案件ベースの納品に留まっております。
 
このような現状を『どげんかしたい』と思い、『マーケティングで経営を変える!』をテーマに経営者、ビジネスリーダー、そしてマーケターの皆さまに働きかけ、繋がる場を創っています。行動の起点、きっかけになる場です。

私の言葉だけではあまりにも弱すぎるので、強力な同志を探し、ご協力をお願いしました。
ホストの庭山さん、飯室さん、小島さん。そして、実際にマーケティングの力を確信して取り組まれている9社、9名の皆さまと合計12名でBigbeat LIVEを開催したのです。



ホスト3名、そして9社の皆さまにLIVE前にそれぞれお話を伺い、こちらのメディア「ニシタイ」にも掲載しました。外部のメディア(JBpress/ITmediaマーケティング)にも取り上げて頂きました。400名を上回る参加者と一体のイベントを開催し、その参加者を中心にFacebookでコミュニティを立ち上げました。こちらもすでに参加者が400名を超えています。「おきゃく」という名称で運営していきます。まだまだこれから、始まったばかりです。
 
もしこれでチャリンとも鳴らなければ、敗北です。
仮に、万が一そうであっても諦めず、マーケティングで経営を変えて、未来がよりHAPPYになる別の方法を考えます。
 
そんな変革を進める経営者、マーケターの近くに私たちがいることで、私たち自身の、広告会社の未来を変えていくと信じております。
クライアント(お客さん)とその先のお客さん(社会)、そして自らのHAPPYな未来のためのキーワード、それが『マーケティング』です。三方よしの発想です。
 
ご多忙の中このような広告屋の想いを受け止めて頂いた皆さまに感謝します。

ホスト役の、庭山さん、飯室さん、小島さん
 
午前の場をいきなり熱くしてくれた1stセッション
山川さん、倉橋さん、野島さん
 
常識を変えたコール&レスポンスの2ndセッション
川上さん、隅谷さん、坂野さん
 
2時間半、終始会場を笑顔にしてくれた3rdセッション
植山さん、鈴木さん、青山さん
 
皆さま、本当にありがとうございました。
おかげさまで最高のLIVEになりました!
このご厚意、ご協力に応えられるよう前進してまいります。
来年も8月1日に開催します。(したいです)
 
好き勝手な散文になり失礼をいたしました。


 
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