Bigbeat 2017.08.15 デジタルな時代の展示会のカタチ

春から夏にかけて、毎週のように展示会が開催されている。

そんな中、3つの展示会を見に行く機会があった。

「国際医用画像総合展(以下ITEM)」、「ITweek(以下ITW)」、「人とくるまのテクノロジー展(以下AEE)」3つだ。

結論としては、「ITEM」と「AEE」は、見やすい、分かりやすい。

一方、「ITW」は、うるさい、うっとうしい。

見たいものを、見たい人だけに見せている展示会と、

見たくない、聞きたくもない人も無理やりステージに座らせる展示会
ではないかと感じた。

 

違いを挙げればばキリがないのだが、今回は分かりやすいふたつの違いに着目してみた。

ひとつには、コンパニオンの立ち位置の違いだ。

ITEM」と「AEE」では、コンパニオンはブースの中におり、

来場者から求められない限り配布物を配ったりはしない。

もちろん客引きはしない。

だから、何のストレスもなく自由にブースに入って行ける。

ITW」では、ブースを大きくはみ出して、通路中央部分でノベルティの告知を大声で叫び、歌舞伎町顔負けの客引きをしている。

ひょっとして、このブースはノベルティとして配っている「ドリンク」を売っている会社なのではないかと思ってしまうくらいだ(笑)

名刺を渡さないとブースには入ってはいけないような雰囲気さえ漂う。

 

もうひとつは、プレゼンステージの有無の違いだ。

ITEM」と「AEE」では、ステージを使ってのプレゼンは極めて少ない。

ひとつひとつの製品を見てもらうことを目的としていて、プレゼンを見てもらうことを目的としていない。

プレゼンのコンテンツは、Webでも見せることはできるが、実際の製品はオンサイトでないと見ることができないわけだ。

何といっても、展示会場が騒々しくない。





ITEM」と「AEE」は、学会併設型の専門展示会であるのに対して、「ITW」は、複数分野の展示会を同時開催する複合展示会だという背景の違いはある。

しかし、顧客目線、来場者目線で見て頂くという姿勢は明らかに違う。

確かに複合展示会なので、全体の総来場者数は相当な数となる。

でも、本当に自分たちのビジネスを必要と思っている人たちなのだろうか?

選んでもらうブース、見たいと思ってもらうブースでなければならないと思うのである。

 

懇意にさせて頂いている、あるマーケティングコンサルの方から伺った話の受け売りで恐縮なのだが、

企業に情報をコントロールされていた時代が、
デジタルによって「ユーザーが企業にコントロールされなくなった」ことにより
「コミュニケーションの民主化」が始まったのだ

と言っていた。

つまり、情報はユーザーに見つけてもらう、選んでもらわないと買って頂けない時代になったということだ。

 

なるほどなあ、と思いつつ、先日、「設計・製造ソリューション展」という展示会に足を運んでみた。

多くのブースが相変わらずの残念なアプローチだった中、チャレンジングな試みをしている、ある会社のブースに出会った。

大きなブースにも関わらず、プレゼンステージが無い!

客引きのコンパニオンも居ない!

デモを見せる何台ものPCがズラッと横一列に並んでいるだけだ。

そして、そのPCの前には、説明を聞くために来場者が並んで待っている。

明らかに来場者目線で設計されていると感じた。

実は、この会社は、毎年、大きなステージをグルグル回して、手持ち看板まで活用し、ブースを遠く離れてまで強引な客引きをすることで有名なブースだった。

誤解を恐れずに申し上げると、ブランドを貶めてしまいかねないほどの“品の無さ”があったのである。

 

恐る恐るブースのご担当者にお話を伺ってみたところ

「やっと気が付いたんですよ」と一言。
 

「コミュニケーションの民主化」の流れは、
なにもデジタルだけの話しではなく、
リアルイベントの展示会でも起き始めている。

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