BigbeatLIVE 2020.11.19 オンラインもオフラインも、それぞれにしかない価値がある【Bigbeat LIVE 2020 ~Day3~<前編>】
8月3日(月)~8月7日(金)の5日間、オンラインにて開催された『Bigbeat LIVE 2020』。
白熱した5日間の模様を、コピーライター小笠原の視点でお届けします!
白熱した5日間の模様を、コピーライター小笠原の視点でお届けします!
『Bigbeat LIVE 2020』の3日目は「チャレンジ セッション」と題して、マーケティング現場のStruggleに切り込む内容となりました。マーケティング・コミュニケーションの最前線で指揮を執られる方々や、情報を届けるという観点からメディアの方々が登壇されました。
今回は、毎年定例でオフラインイベントを実施していた企業で、イベントを取り仕切っていた3名が登場した『想いを届ける場づくりのこれから』のセッションの模様をお届けします。
【登壇者】
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 ITサービス企画統括部 部長代行 隅谷 崇 さん(★)
ウイングアーク1st株式会社 マーケティング本部TOFD部 部長 松久 育紀 さん
Sansan株式会社 新規事業開発室 兼 Sansan事業部 マーケティング部 シニアマネージャー 松尾 佳亮 さん
(★はモデレーターを担当)
知識を得るならオンライン、体験にするならオフライン
COVID-19による影響により、いわゆるBtoBのイベントは姿かたちを変えながら、私たちの生活のそばに息づいています。オンラインイベントが急速に社会に定着した昨今。登壇者の3名は、これまでのオフラインイベントでの知見と、オンラインイベントを実施した結果から、オンライン・オフラインそれぞれの強みを考察しました。左から、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 隅谷さん / Sansan株式会社 松尾さん / ウイングアーク1st株式会社 松久さん
Sansan株式会社の松尾さん、ウイングアーク1st株式会社の松久さんが、口をそろえてオンラインの強みだと話したことは、「参加する場所を選ばない」ということでした。その中でも特に、「参加のハードルが下がったこと」が語られました。参加のハードルが下がった分、チャンネルを切り替えるように同時に複数のイベントへ参加する人も増えましたが、たとえ参加する時間が15分だったとしても、その15分を集中して見てもらえるのであれば意義はあると、松久さんは語りました。
続けて、松久さんはオフラインの強みに言及しました。
「私は映画館で映画を見るのが好きなのですが、映画を見るということをただの “行為” ではなく “体験” にできるから好きなのだと感じます。セミナーの講演も同じで、多くの人と同じ空間で参加することによって、隣の人がうなずく姿や、終わった後にすぐ意見・感想を言い合える瞬間など、その場にいることで自分の体験の一部になることがたくさんあるのです。知識や情報のインプットであれば、オンラインイベントに大きなメリットがあると思う一方で、体験をつくりだすという観点であれば、オフラインならではの魅力が大きいと思いますね。」(松久さん)
まもなく冬に差し掛かりますが、COVID-19の脅威は続いています。3名のお話を受け、オンライン・オフラインのそれぞれの強みを理解したうえで、その強みを伸ばしたり、足りない部分をいかに工夫するかというのが、これからのイベントに求められていくのだと私は感じます。重要なのは、何を軸とするイベントにしたいかということです。セッションの中で、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の隅谷さんより、オフラインでの展示の機能をオンラインにすることに課題を感じると語るシーンがありましたが、オフラインの展示 “だから” 実現できることが必ず存在するのだと思います。まだしばらくはCOVID-19に立ち向かうために、オンラインでのイベント開催が優先されるでしょうが、オンライン・オフラインが同等の選択肢として選べるようになる頃には、なぜオンラインなのか・オフラインなのかが重視されるようなイベントの在り方になっていくことでしょう。
Bigbeat LIVEはこれまで、私たちの想いを乗せたコンテンツに共感してもらえたり、熱量のある場で参加者の方同士のつながりが生まれたりと、ある意味オフラインの強みを重視したイベントとして開催されてきました。今年はオンラインでの開催となりましたが、どこかその場の空気が感じられるような瞬間が生まれていたと思います。毎日オープニングで配信現場を中継したり、講演中に入り込む周りからの笑い声や拍手の音、さらには講演者と運営スタッフとの掛け合い(今回のセッションでも見られました)が起こったり。オンラインイベントにオフラインの持つ価値を取り入れることは、チャットやSNSなどのインタラクティブなツール、臨場感を感じるようなカメラワークといったテクニカルな要素以外にも、工夫できる部分がまだまだあるのではないかと可能性を感じます。オフラインの価値を取り入れたオンラインイベントは、これからのオンラインイベントの発展形の一つになっていくのではないでしょうか。
いいね!マークの付いた棒は、スタッフ全員に配られた。オンラインでも場を和ませたり、盛り上げるためのちょっとした工夫の1つ。
オンラインならではの価値を追求する
前章の最後にオフラインの価値を取り入れたオンラインイベントの可能性について述べましたが、このセッションの最後にはオンラインならではの強みをもっととがらせたイベントについてもアイデアが飛び出しました。松尾さんからは、VR視聴キットを参加者に送り、VRで視聴できるイベントを検討したとの話がありました。そこにはやはり新しい体験をオンライン上で行えないか、その可能性を探りたいとの思いがありました。オンラインに対してのリテラシーが向上している今だからこそ、マーケティング施策としてのオンラインイベントにはまだまだ発展の余地があると見ています。
松久さんは、画面を通して参加するからこそ、工夫できるポイントがあると語ります。講演者の入れ替え時間や、運営側で行うステージ・配信システムの転換時間など、オフラインのイベントでは参加者がただ待つしかない空白の時間が起こります。しかし、オンラインであれば休憩時間やそうしたスキマ時間さえも有効に活用できる。CMなどのショートコンテンツでイベントをさらに面白くできる余地があると、松久さんは話しました。
隅谷さんからは、さらにスケールを広げたアイデアも挙がりました。時差を越えることはできませんが、場所を越えられるのがオンラインの良さの一つなので、他国と同時開催のイベントも検討できるのではないかと語ります。また、オンラインイベント同士での交換や中継、ゲストとして割り込む…なんてことも一つの可能性として考えられます。
オフラインイベントでは、例えば大型モニター・プロジェクションマッピングといった映像技術や会場の造作など、イベントを演出する要素が独自の発展を遂げてきました。オンラインイベントでもこうしたアイデアから、新しいやり方や演出のヒントが生まれてくるのだと思います。
私個人としては、オンラインイベントだからこそ、クリエイティブの重要性を感じています。オフラインイベントでは空間全体を使ってイベントの演出をすることができますが、オンラインでは画面の中でしか表現ができない分、より強いメッセージにできるような言葉選びや、視覚的にわかりやすくできるクリエイティブの力が必要だと感じるのです。特に午前中から1日かけてのオンラインイベントを企画する場合、どうしても途中で集中力が途切れてしまったり、代わり映えのしない画面に飽きてしまったりと、前のめりに参加し続けてもらうことが難しく感じます。たとえスライド1枚の表現であっても、わかりやすく伝えることにこだわって、メリハリのある見せ方をしていくべきだと感じます。イベントへの期待感を高める、参加者に持ち帰ってほしいことを端的に表す。これらを実現するために、クリエイティブにこだわることは非常に有効だと感じるのです。
Bigbeat LIVEの視聴画面。左上には資料スライド、下にはテロップも入り、カメラ4台を切り替えて配信を行った。
視聴者を飽きさせないための工夫の一部は、ぜひ冒頭の動画を見て、皆さんにも感じていただきたい。
松尾さんがセッション中盤で語ったように、オンラインイベントはまだ決まった型がないからこそ、挑戦した者勝ちです。失敗しても仕方ない・失敗することもあるよねと許容される空気もあります。今こそ始める機会であり、新しいことにどんどん挑戦していけるタイミングです。その挑戦の際に私たちビッグビートが力となれるよう、オンライン・オフラインそれぞれの強みと、これからの可能性を探るような仕掛けが盛り込まれた提案を続けていきたいと考えます。これからのビッグビートに、ぜひご期待ください。