Bigbeat 2019.11.01 ウィリアム・モリスおたくの私が広告会社に入ったワケ |グローバルチーム・松本

「ビッグビートの部屋~PEOPLE~」へようこそ
仕事もプライベートも楽しむビッグビート社員たちのウラ側(オモテ?)を、ちょっぴりお見せするコーナーです。
(注)時々マニアなネタも飛び出します

Today’s ~松本の部屋~
自身のルーツは「海外!?」
現在、海外でのビジネスを拡大させるために全国に奔走するビッグビートのグローバル(ASEAN)チームメンバー・松本のルーツに迫ります。

 

愛すべき第二の故郷・イギリス


イギリスといえば① ビッグ・ベン…!

——ビッグビートでの仕事は?

松本:

ビッグビートのグローバルチームにて、主に国内企業のASEAN進出サポートを行っています。

——仕事以外で夢中になっていること、好きなものなどはありますか?

松本:

好きなもの、と聞かれれば、ひとつは「イギリス」です。
5〜9歳の頃に両親の都合でイギリスに住んでいたので、私にとって第二の故郷だからなのかも知れません。

イギリスについてよく聞くのは、「飯が不味い」「天気が悪い…」「電車が定刻通りに運行していない」などでしょうか。でも、最近は美味しいレストランなども増えて、サービス面も向上しているんですよ!笑
少し「ダサい」イメージのあるこの国ですが、私を魅了するのはその歴史と文化です。そのなかでも、「19 世紀」は私にとってイギリスを愛してやまない理由のひとつですね。


イギリスといえば② 赤のTelephone box…!

 

150年たっても新しい魅力にあふれるモリス

松本:
イギリスといえば、ロンドンなどの都会も魅力的ですが、私はどちらかというと田舎のほうが好き。
数ある田舎町のなかでもお気に入りの場所が、イギリス南部に位置する、オックスフォードシャー州・コッツウォルズです。観光地としては定番なので、有名どころではあると思います。

コッツウォルズ地方にはいくつかの村が点在しているんですが、ケルムスコットという村にある「ケルムスコット・マナー」は、私にとって原点となる場所です。
「ケルムスコット・マナー」は、ウィリアム・モリスが住んでいた家で、モリスが「地上の楽園」と呼んだこの邸宅には、いまも彼がデザインした作品が飾られています。それは、もう本当に素敵なんです・・・実際に見たときの感動は忘れられません!

——壁紙で有名な「ウィリアム・モリス」ですね?

松本:

はい。ウィリアム・モリスは19世紀イギリスを代表するデザイナー 兼 詩人です。いまでいうアーティストでしょうか。壁紙とステンドグラスが有名ですが、カーテンやクッション、ベッドカバーなどのファブリック製品もありますよ。

モリスのエッセンスが入ることで、そこに芸術的な空間が生まれます。そんな彼の作品たちが、「空間を創ること」「無から有を生み出すこと」の意味や魅力を私に伝えてくれました。この体験は、いまなお私が仕事をするうえで大きなモチベーションになっています。


「ケルムスコット・マナー」

松本:
壁紙の始まりには諸説ありますが、世界最古の壁紙は 1509 年製の英国の壁紙だといわれています。それが、19 世紀ごろになると、機械を使ったプリント形式で大量生産が可能となりました。これをきっかけに、それまで室内装飾の主流だった絵画やタペストリーなどに代わって、手頃で自由度の高い壁紙が流行り始めたんです。

モリスは、そんな大量生産型が普及し始めた時代に、あえてオリジナルデザインを木版刷りで丁寧に手づくりしていった人物です。モリスの商品は高額でしたが、その美しさと芸術性で当時のイギリスの上中流階級の間で大ヒットしました。まさに、いまのビジネスに置き換えると、商品の「差別化戦略」が功をなした結果ですよね。


ウィリアム・モリスの代表作「いちご泥棒」
 

「デイジー(Daisy)」

——壁紙はサイズが大きく、オリジナルデザインを手刷りで…というと大変なイメージですが、パターンをつくってしまえば何メートルでも刷ることができるので、ビジネス向きの商材だったかもしれませんね。

松本:

買い手側からしても、壁一面では高額になる壁紙も、部屋の一カ所のみ異なる柄にしたりと手頃に楽しめるのも利点。これまでのように高級な絵を飾らなくても、カジュアルに芸術と空間装飾を楽しめるし、気分次第で部屋の雰囲気を変えられるのですから自由度も高いですよね。
空間をコーディネートすることは一種の自己表現でもあるし、また、少しのこだわりとアイディアで、住人や来訪者を幸せな気分にしたり、新たな発見やヒントを与えるこもできます。空間が持つ力や可能性は無限大なんです!(興奮)

ビジネスの視点でいえば、モリスの「生活と芸術の融合/統一」という着眼点 は素晴らしいと思います。
当時のイギリスは、貿易などにより世界で圧倒的な経済力と影響力をもっていましたが、同時にモリスの主義や思想(「高品質な手工芸」と「生活と芸術の統一」)も各国に広まっていきました。これが「アーツ・アンド・クラフツ運動」という芸術運動となって、ヨーロッパやアメリカ、日本のデザインにも多大な影響を与えたのですが、個人や企業のビジョン・製品が人々の生活文化にまで影響を与えた点も、とても興味深いポイントです。

——人々の日常生活に浸透したことでビジネスとして成功し、長く愛されるブランドになったのでしょうか。

松本:

それも重要なポイントだと思いますが、モリス亡き後も、MORRIS & CO. は時代にあわせて柔軟に変化し、ユーザーの満足度を高め続けているところに、150年以上も前に端を発したインテリアブランドが現在も選ばれ続けている理由があるのではないでしょうかもちろんその根幹には、モリスにしかない素晴らしいデザインがあることは言うまでもありません。

私はDIYが好きなので、空間装飾アイテムは常にリサーチしていますが、モリスの壁紙はデザインも豊富で、飽きることなく楽しませてくれます。いかに “飽きさせない” “惹きつけるか”というのは、ビジネス商戦でも永遠のテーマですよね。その点、モリス柄、と勝手に命名しますが、はコラボ商品なども多く、まったく飽きません。新作やコラボ情報が出るたびに駆けつけては、モリスの新たな世界観を感じています。

——松本さんも、モリスを生活に取り入れていますか?

松本:

少しだけですが・・・。

ただ、近年はアパレルブランドとのコラボもあるので、ファッションでも取り入れられます。「H&M」とのコラボでは、モリスの傑作 Love is Enough、Lily Leaf、Marigold、Pimpernel(ピンパネル)などの過去の柄と、現代のデザインの融合が絶妙に表現されていました。ファストファッションとのコラボは意外でしたが、世界観も広がり、かなり印象に残りましたね。また、「LOEWE(ロエベ)」とのコラボでは、ロエベのデザイナーが取り入れたパンクロックなイメージ×モリス柄というのが斬新でした。今後もコラボに期待です!

 

一冊の本が「いまの私」に導いた

——なぜ、そこまでウィリアム・モリスにハマったの?

松本:

大学時代にデザイン関係の本を物色していた際、たまたまイギリス関連の書籍を見ていて手に取ったのがモリスにまつわる作品集でした。本からも感じ取れる作品の素晴らしさに感動し、そのまま卒業論文のテーマに(笑)。ケルムスコット・マナーを訪れたのも、その研究のためです。以来、半分追っかけ状態で何かしらの情報を追っていますね。

——モリスが、松本さんにどんな影響を与えましたか?

松本:

モリスの作品を通して、デザインや、ものづくりの世界に魅せられ、そうした世の中に彩りを添える業界に携わりたいと強く思うようになりました。広告業も、無から有を生み出したり、すでにあるものをより輝かせたり、まさに無限大の可能性を秘めていると思います。

私たちは、日々、クライアントの課題解決と向き合っています。そんなとき思うのは、クライアントがどうなってほしいか、どうなりたいかというゴールやビジョン、そのための「絵が描けているか」が重要です。
絵を描くこと、描いた絵を共有するためには、自身の表現の幅を広げることが欠かせません。これからも興味や関心の幅を増やしつつ、モリスのように、それらを仕事とライフスタイルに融合していきたいと思います。
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