マーケティング 2018.09.03 Bigbeat LIVEレポートVol.5- 総括とBtoBマーケターの「おきゃく」



今年の夏もBigbeat LIVEが終わりました。「『勉強になりました』は敗北の言葉」をスローガンに、ビッグビートが全社を挙げて挑んだ本イベントで、誰かの何かを変えることはできたのでしょうか。今、改めて代表取締役の濱口豊が、Bigbeat LIVEを振り返るとともに、来年への意気込みを語ります。
(聞き手・執筆:野本纏花)
 

主催者になったからこそ、見られた世界 

—Bigbeat LIVEを終えて、いかがですか?
 
濱口:去年もそうだったのですが、本当に1日を通して会場の熱量が落ちないイベントになったと思います。1st Sessionはアカデミックな雰囲気、2nd Sessionはコール&レスポンスを交えた強制参加型、3rd Session3は笑いが絶えない状態と、それぞれホストの3名の個性によって、10時間近い長丁場のイベントでも、最後まで寝ることなく(!)、来場者のみなさんにお楽しみいただけたのではないでしょうか。



—Bigbeat LIVEの開催は今年で2回目でしたが、去年と今年で違ったところはありますか?
 
濱口:今年は実際にマーケティングをされている9名の方にご登壇いただけたので、よりリアルなLIVE感が満載のイベントになったと思います。
 
—開催までの過程で苦労されたのは、どんなところでしたか?
 
濱口:僕らは広告会社ですから、素晴らしい役者をそろえて、最高のパフォーマンスができるステージを用意することが役目です。「Bigbeat LIVE準備中!―イベントづくりの裏側をお見せします」の記事でも少しご紹介しましたが、1ヶ月半前にこんな状態だったので、どうなることかと思いましたが、おかげさまで名優に集まっていただけたので、僕らが下手な脚本を書くよりも、自由にやっていただくほうが良いものになると確信していました。


開催1カ月半前、ホストとマーケティング実践者9名のみなさまとのキックオフ。

ただ、僕らがやろうとしていることをお客様に正しく理解してもらうことは、思っていた以上に難しいことだったと感じました。

「なんで広告会社がこんなイベントをやるの?目的がわからなくて怪しい」
「行ったら何か売りつけられたりするのではないか」
「どうせ登壇者のPRの場として協賛金を取っているのだろう?」

といった、僕らからすれば信じられないような疑問が寄せられたりして…。100人いれば95人の方がわかってくれていたとしても、主催者としては残りの5人にも理解してもらえるよう努めなければならない。シャンプーの詰め替えボトルに「これは飲み物ではありません」と記載されているのと同様に、僕らも主催者責任を果たすために、細かな表記にまで配慮する必要があったことを学びました。これまで人のふんどしで相撲を取ってきた広告会社の甘さを感じましたね。そうした気づきを、今後のサービスに生かしていきたいと思っています。
 
—ホストや登壇者の方々が「マーケティングで経営を変える」というBigbeat LIVEのテーマに共感されたからこそ、高いコミットで熱量のあるイベントになったのだと思いますが、そのために工夫をされたことはありましたか?
 
濱口:そうですね。ベースとして、イベントのテーマに大きくご賛同いただけたことは、とてもありがたいことでしたし、成功の大きな要因になったと思っています。あとは、できる限りオープンな場で議論をしていこうということで、「Bigbeat LIVE準備室」というFacebookグループを作って、そこでホストと講演いただくみなさんと議論を重ねていきました。公開処刑のように叱られたこともありましたが、ご意見は真正面から受け止めるようにしました。登壇者のみなさんからのアイデアやアドバイスを企画に反映し、よりよいものへとブラッシュアップすることができ、とても感謝しています。
 
—Bigbeat LIVEの当日には、“登壇者の中から自分がフォローしたい人を決めてFacebookで投票する”という企画もありましたが、あのアイデアも準備室の中で生まれたものですか?
 
濱口:はい。「とにかく『勉強になりました』で終わらせないイベントにしよう」ということで、来場者だけでなく主催者をはじめ、LIVEに関わるみなさんの行動を促す第一歩として生まれたアイデアです。
 

多くのマーケターを突き動かしたLIVEのチカラ

—イベント終了後に「おきゃく」というBigbeat LIVEの来場者を集めたFacebookグループを立ち上げていらっしゃいますよね。「おきゃく」というグループ名にされた由来を教えていただけますか?
 
濱口:僕の故郷が高知県で、高知では宴会のことを「おきゃく」と呼ぶ文化があるんです。高知県の人は、“実現が難しそうに思えることでも、人の気持ちでなんとかなる”と思っている節があって、まずはみんなで皿鉢料理を食べながらお酒を飲めば、物事が前に進むと信じている。マーケティングで経営を変えるためにも、マーケターのみなさんに連携してもらうのが一番だろうと思い、その「場」であるFacebookグループを「おきゃく」と名付けました。

 

—「おきゃく」にはBtoBマーケターなら、誰でも参加していいのでしょうか?
 
濱口:そうですね。マーケティングの実務で“struggle”されている方と、マーケティングで経営を変えようと考えていらっしゃる経営者のみなさんに集まっていただきたいと考えています。とはいえ、営業行為があると場がしらけてしまうので、それはご遠慮いただくようにお願いしていますが、それ以外であれば、自由にコミュニケーションしていただけるオープンな場にしていきたいと考えています。あと、コミュニケーションが円滑になるよう、Facebookを本名でご利用されていて、顔出しされている方という条件は設けています。


Facebookページ 【ビッグビート主宰 BtoBマーケターのためのコミュニティ「おきゃく」】より

—実際に「おきゃく」ではどんなコミュニケーションが生まれていますか?
 
濱口:現時点(9月3日現在)で470人の方が参加してくださっているのですが、Bigbeat LIVEでは1日を通して、とにかく何かしらの行動を起こすように促してきたこともあり、「普段はオープンな場で発言するのは控えているけれど、Bigbeat LIVEでこんな風に感じたので、勇気を出して投稿します」といった方や、「さっそく社内でこういう行動を起こしてみました」と報告してくださる方がたくさんいらっしゃいます。
 
—「おきゃく」の今後の展開は、どのように考えていらっしゃいますか?
 
濱口:Facebookの「おきゃく」は社内で“デジタルおきゃく”と呼んでいて、今後“生おきゃく”として、Bigbeat LIVEにご登壇いただいた方を1名ずつお招きして、それぞれのフォロワーの方とともに交流ができるオフ会をやっていきたいと思っています。第1弾は9月中旬を予定しているのですが、“生おきゃく”に来ていただいた方の中から、来年のBigbeat LIVEにご登壇いただける方が出てきたら、最高ですね。
 
—すでに来年の夏に向けて、動き始めているのですね。Bigbeat LIVEという自社主催イベントを開催するようになって、社内で何か変化はありましたか?
 
濱口:そうですね。インナーブランディングの効果が非常に高いと感じています。会社がひとつになれる貴重な機会になっていますね。僕はBigbeat LIVEが終わってから、夏休みでドイツへ行ったのですが、旅先から「Bigbeat LIVEで紹介された本をみんなで読もう」と、今回主体となって動いてくれた企画メンバーに伝えたところ、「もう動いてます」と返事があって(笑)僕が連絡する前から、準備を始めていたらしいです。それらの買い集めた本を“マーケティング文庫”として社内で貸し出すようにした結果、本を読んだ感想や学びをアウトプットする人が増えています。Bigbeat LIVEはビッグビート自身の変化のためにも、大変意義のあるものになりましたね。


ビッグビートのマーケティング文庫(仮置き場)

—それでは最後に、来年の開催に向けた意気込みをお願いします。
 
飯室さんから、2020年には2020人の来場者を集めろと言われているので、そのためにはコトラーを呼ぶしかないと思って、コトラーへのルートを一生懸命探しているところです(笑)人数が多ければいいというわけでもないですが、それくらい成長できるものにはしていきたいですね。あとは来年はキッチンカーを呼んで、本当のフェスのようにできたらいいなと。僕は計画通りガチガチに進めていくタイプではないので、これからも面白いなと思う方向にどんどん駒を進めていきたいです。コトラーが呼べなかったとしても、呼ぶための努力をする中から、何かしらの示唆は得られるはずじゃないですか。そもそも一昨年の時点では、ビッグビートが500人規模のマーケター向けのイベントができるなんて、僕自身も含めて誰も思ってもみなかったけれど、それが現実になっている。来年は「おきゃく」に参加してくださっているみなさんの中からも「こんなセッションをやってくれ」とか「俺にもこんな話をさせてくれ」といった声を集めて、一緒に作り上げていくことで、今年よりもさらに熱量の高いイベントにしていきたいですね。

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※当日の様子は「#BigbeatLIVE」でたくさん発信されています。どうぞご覧ください。
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