マーケティング 2022.09.29 暑い、熱いぞタイ!伸び代だらけのタイのスタートアップ事情


コップンカー、ニシタイ臨時記者のK.Tです。

「なぜ、いきなりタイの挨拶…?」と思われた、読者の皆様!実は、ビッグビートは東南アジア地域での現地マーケティング活動の支援もしております。
2018年にはタイにBigbeat Bangkokを設立、また東南アジアのBtoBマーケティングに関して情報発信をするオウンドメディア「ピリピリ」も運営しています。

コロナ禍前は、東南アジア地域でも積極的にご支援をさせていただきましたが、コロナ禍の影響で東南アジア市場に向けたマーケティング活動が減少し、ご支援の機会も減ってしまいました。しかし、最近では日本、東南アジア各国がコロナの入国、出国規制を撤廃するなど、東南アジア市場に向けたマーケティング活動が活気付きつつあります。特に、日本のスタートアップ企業が東南アジアへの進出する事例も、コロナ禍以降で聞く機会が増えてきました。

こうした背景もあり、私もタイ バンコクで開催された、タイや東南アジア地域のスタートアップ企業が参加するイベント「Techsauce Global Summit 2022」を視察に行ってまいりました。なかなか、普段知ることのない、タイのスタートアップ事情について、イベントの様子も織り交ぜつつ紹介させていただきます。


※撮られ慣れていないためぎこちない笑顔のK.T記者
 

1.国のデジタル化の推進と高い普及率


まず、タイのデジタル市場について語る上で外せないのは、「タイランド4.0」です。タイランド4.0は、タイの経済や社会におけるデジタル化を加速させることで、タイを従来の農業や工業を中心とした産業中心とした社会から、付加価値創造社会へ移行させるというビジョンであり、今後20年間に先進国入りすることを目標とする、かなり野心的な長期ビジョンです。こうした国家計画を推進するにあたり、自国のスタートアップ育成、外国企業の先進技術・デジタル技術を積極的に誘致に重点を置いています。 

一方で、タイ国民におけるデジタルの普及は進んでいるのでしょうか。実は、タイは日本と比べてもはるかにスマートフォンが普及しており、スマートフォンの所有率は、驚異の99%と言われています。接触時間も長く、タイ人がインターネット・スマホに触れている時間は、「8時間44分」で、そのうちソーシャルメディアには「2時間48分」も触れています。特にタイではFacebook、LINEが人気で、タイの電車内でも、果てはタクシーの運転手さんが運転中に(!)、この2つのSNSを行き来しながらスマートフォンを操作していました。

このように、タイ政府の国策と高いデジタル普及率もあり、タイのスタートアップは近年非常に増えてきており、その数は1,000社ほどと言われています。勢いは数だけではなく、評価額が 10 億米ドル以上のスタートアップとして定義されるユニコーン企業も、既にタイでは3社もいます。


•    Flash Group:2018 年に設立されたロジスティクス企業であり、タイ初のユニコーン企業。
•    Ascend Money:地元のコングロマリットCP グループのフィンテック部門としてスタート。タイの2番目のユニコーン企業。
•    BitKub:タイ最大の仮想通貨取引所。タイ国内で3番目のユニコーン企業。


こうしたタイのスタートアップ市場の盛り上がりはまだまだ加速すると推測されます。
 

2.タイのスタートアップの祭典

ここまで、タイのスタートアップ事情を紹介しましたが、実際のところタイ現地はどのような状況なのでしょうか。私が視察したタイや東南アジアのスタートアップ企業が参加するイベント「Techsauce Global Summit 2022」(以下、TSGS 2022)を基に紹介して参ります。
TSGS 2022は、タイヤ東南アジアのスタートアップ企業が多数出展するタイ国内最大級のイベントです。今年は2022年8月26日(金)~8月27日(土)にThe ICONSIAM(アイコンサイアム)で開催されました。主催はタイのテクノロジー、ビジネスに関する情報メディアを運営するTECHSAUCEになります。


TSGS 2022 メインビジュアル:https://summit.techsauce.co/

コロナ禍の影響で、今回3年ぶりに開催となりましたが、2019年は全体来場者数が15,000人、スタートアップ企業は1,500社以上参加、投資家:400人以上が参加するなど、日本国内と比べても、その規模は非常に大きなイベントになります。(*2019年度開催結果)

「TSGS 2022」では、毎年注目のデジタルトレンドが発表されます。今回、主催者から発表されたのは「Fintech」「DEEP TECH(深層学習)」「NFT」「AI」「メタバース」「スマートシティ」などが挙げられました。実際、出展している企業のサービス内容もテーマに関連しているものが多く、多くのプレイヤーが上記のテーマの市場に参入しているようです。以下は、主催者による今回の出展企業のジャンル別の分類です。

・ブロックチェーン…8社
・Fintech & insurance…16社
・Food/Agri/biotech…5社
・Health care…6社
・Lifestyle/commerce/education…10社
・Living tech…3社
・Marketing/digital services/business solutions…58社
・Music/ Entertainment/Sport…2社
・Others…36社
・Transportation & automobile…11社
・Traveling & hospitality…3社

出展企業合計…158社

出典:https://summit.techsauce.co/exhibitor/


ジャンル別としては、「Marketing/digital services/business solutions」が最も多く出展されており、次点で「Fintech & insurance(フィンテック&保険)」の領域が多く出展されていました。主催者側の独自の分類によるものなので、一概には言えませんが、出展企業の数から、タイのスタートアップ市場では、「Marketing/digital services/business solutions」「Fintech & insurance」が特に注目されている領域であることが推測されます。

会場内の装飾も派手なものが多く、特に目を引いたのは「TSGS」の文字をくり抜いた巨大なオブジェ



実際、どのようなサービス内容提供している企業が出展しているのでしょうか。出展企業の1社を紹介します。オンラインでの英会話サービスを提供している「Glolish」です。「Glolish」は英語と中国語の2カ国語を習得できるオンライン学習プラットフォームで、多くのタイ人が本サービスを利用して英語学習をしています。
(※詳細はこちら)

他にも、MA・CRMツール、など、日本でも見るようなサービス内容の事業を提供するスタートアップが、今後もタイで増加することが見込まれます。

一方で、成長するタイのスタートアップ市場に日本企業は進出していないのでしょうか。今回のTSGSでは、単独出展している日本企業はありませんでしたが、JETRO(日本貿易振興機構)が”J-startup”というスタートアップ企業の育成支援プロジェクトをテーマにしたブースを設け、日本のスタートアップ複数社合同で出展していました。また、本イベント以外にも、規模は劣りますが”タイのIT week”のような展示会に、SIer企業の現地法人から、スタートアップ企業まで、様々な日本企業が出展している場合もございます。

なお、本イベントでは、下記の企業が出展していました。

・株式会社アジラ (Asilla, Inc.) 
・ UPWARD株式会社
・クレジットエンジン株式会社
・Zenihub
・ソラミツ株式会社
・Desume
・PEEL LAB K.K.
・レイ・フロンティア株式会社/Rei Frontier,Inc

※五十音順 

今後も、「タイランド4.0」を基に、タイのデジタル化の推進は進められていきます。そのエンジンとして、タイのスタートアップだけでなく、日本のスタートアップ企業の力も求められているはずです。多くの日本のスタートアップがタイ市場で活躍する姿を夢見て、今後も東南アジア、タイ市場に関する情報発信と現地でのマーケティング活動の支援をしてまいります!

そして、タイに関する記事は次回も掲載予定との様子…、お楽しみに!
それでは、サワディーカップ!


 
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