役員金子:AIDMAアドマンの独り言 2017.05.09 「ラブレターには胸いっぱいの愛を込めて…」
ある美容原料を作っている会社からの相談があった。
新しい美容成分を開発したので売り出したいと…
彼らは最終製品メーカーではないので、その美容成分を飲料メーカーや化粧品メーカーに採用してもらう立場だ。
しかしメーカーにとっては、消費者に知られていない新しい美容成分は採用しにくい。
そこで、私たちはこの美容成分についてのオウンドメディアを立ち上げた。
メーカーに向けてラブレターを書き始めたのだ。
2人の女性を起用して、日々の生活をブログ形式で紹介をしていくものだ。
ひとりは30代の女性で、「美容成分」を塗ってもらい、
もうひとりは50代の女性で、「美容成分」を食べてもらうという設定だ。
この美容成分は、”塗る”ことで肌の潤いに効果があり、
”食べる”ことでは、関節痛などに効果があると言われているのだ。
2人の日々の生活だけでなく、「美容家による美容法伝授」、「美容成分が出来上がるまでの工場見学」など様々なコンテンツも用意した。
美容雑誌やブロガーなどから取り上げられたこともあり、多くの一般女性たちにも注目されるものとなったのだった。
一方、展示会でもこのオウンドメディアのコンセプトとトンマナをそのまま展開した。
同じ成分でも、塗ること、食べることで違う効果をもたらすことを訴求したのだ。
すでにこのオウンドメディアが一般女性から一定の反響があることも認知されていたこともあり、
初めてのお披露目だったにも関わらず、多くのメーカーからの引き合いを創ることができたのである。
今では、様々な化粧品、飲料がお店に並んでいる。
近頃、流行っている「デジタルマーケティング」は、アドテクを代表とするデジマツール導入主義という印象もあるけれど、ツールを入れただけでは何かが変わる訳でもなく、「君が好きだあ!」は伝わらない。
つまりデジタルマーケティングというのは、「デジタルな時代の中で、どうやったら“君が好きだあ“を伝えられるか?」ということではなかろうかと思う。
そういう意味では、前述の例はデジタルな時代にあって、B2Bのマーケティングはどうあればよいのか?のひとつのアプローチ方法ではなかろうかと感じている。
B2Bの展示会は専門的な内容であることもあり、来場者もおのずと業界関係者となる。
出展社にとって見てもらいたい人はさらに絞られるはずだ。
ならば見てもらいたい人たちに「あのブースを見に行く」という目的を持って来場してもらいたいものだ。
最近のご提案で頂くRFPには、「KPI:名刺獲得●●●●枚」と書かれていることが多い。
「来たぞ、来たぞ、典型的なオリエンシート!」と私たちは小躍りをするのだ。
「展示会こそコンテンツだ」と思っている私たちはRFPをはみ出したご提案をするのだ。
名刺獲得数だけを目的とする出展はやめませんか?という提案だ。
最高のラブレターを書くのだ。
お金もチョットだけ掛かるけどね(笑)